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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第52章 ダンジョン攻略

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第514話

『そこから3つ数えたら、すぐに避けるんだ』

『何をするつもりだ?』

『大きな石を飛ばす魔法を使う。当たっても、当たらなくてもヴァルキリーに隙ができる』

『ふむ、了解した!』


 ミミルの返事を待って、俺は射程圏内へと移動し、ジッとそのときを待った。悔しいが、ヴァルキリーも俺のことを認識していて、ミミルが如何に動いても視界に俺が入るように立ち回っている。

 なかなか一筋縄にはいかないが、それだけ第21層の守護者は高い知力のようなものを持っているということだ。例えば、第1層のオカクラゲやスライムはスイッチをオン・オフする電灯程度の回路だとしたら、このヴァルキリーはパソコンくらいの能力はあるんじゃないか、と思うくらいの差があるように感じる。


 ――どう動けばいい?


 俺が背中側に回り込もうとすると、ヴァルキリーはミミルと俺の両方が視界に入るように動くし、ミミルだけが移動しても同じように俺が視界に入るような位置取りをする。ならば、ミミルが動くと同時に俺が動けばいい。


 ヴァルキリーはハルバードの槍先を使ってミミルに連続して突きを放つ。ミミルは蝶や花びらが舞うようにひらりひらりとそれを躱す。ヴァルキリーが斧刃を上に向けて、斬り上げた瞬間。ミミルはそれを大きく左に避けた。

 ヴァルキリーは動かない俺を視界に入れられるよう、ミミルと同じ左へと動く。だが、そこで俺もミミルと同時に左へと、しかもより遠くに向かって走った。

 視界から俺の姿が消えたせいで、ヴァルキリーは石の目で俺を視界に捉えようミミルから一瞬だけ視線を外した。

 その機を逃すことなく、ミミルはヴァルキリーを中心に左回りに移動して魔力の刃を放った。無色透明な魔力の刃が背中に生えた翼の根元へと突き刺さった。


「ギャオオッ!!」


 ヴァルキリーが苦痛に呻くような音を出す。

 だが、ミミルの魔力の刃が刺さる角度が悪かったようだ。羽を切落すまでには至らなかった。

 ヴァルキリーは俺を視界に入れるのを諦めたのか、ミミルを正面にするように向き直った。


『イチッ!』


 ミミルがカウントを始めた。数字が増えるのは違和感があるが、俺もヴァルキリーの背中に向けて手を翳し、準備を始める。

 飛ばすのはボーリングの球ほどもある大きな岩。ラグビーボールのような楕円形に近く、だが両端が鋭利に尖った威力重視の岩の砲弾だ。


『ニッ! サンッ!!』

「――ロックキャノン!」


 ミミルが射線から外れるように右へ動くと同時、俺は秒速200メートルで岩の砲弾を撃ちだした。

 ミミルを追うように身体を捻ったヴァルキリーの腰に、一瞬で加速した岩の砲弾が飛来し、突き刺さる。


「ギャァアアッ!!」


 石でできているはずのヴァルキリーだが、岩の砲弾が当たった右腰の一部を破壊した。ヴァルキリーがハルバートを頭上に掲げ、俺の方へと向きを変えたそのとき、ミミルの魔力の刃がヴァルキリーの背中へと打ち込まれた。


「ギャァアッ!!」


 根元から2枚の羽が千切れ、ヴァルキリーが地面へと落下する。

 所詮、5メートル程度の高さではあるが、羽を切り飛ばされたことで僅かだがバランスを崩したヴァルキリーは、顔面から地面に落ちた。


『しょーへいっ!』

『おうっ!』


 俺は腰に差した2本のナイフを抜いて、魔力を込めた。

 赤銅色をしたナイフが、緋色に輝く。


 あと1歩、もっと、もっと魔力を――無我によって引き伸ばされる時間の中、俺は魔力を込め続け、そしてナイフを振るった。


 ピシッという音と共に、黄色に輝く剣閃がヴァルキリーの首を通り抜けた。そう、まるで絹ごし豆腐でも切るかのように、何の抵抗もなく、あっさりとだ。


 俺は勢いのままヴァルキリーの身体を飛び越え、背を向けた状態で着地した。同時に、背後で石が崩れる音がした。


〈しょーへい、よくやった!〉

〈倒せたのか?〉

〈ああ、自分の目で確かめるといい〉


 ミミルに言われ、俺は背後へとようやく視線を向けた。

 そこには、腕や脚が崩れ、頭部が離れた石像が横たわっていた。


〈見事だった。最後は短剣が黄色く輝いていたぞ。技能カードをみてみるといい。ひと皮むけたはずだ〉

〈そ、そうか……〉


 エルムヘイムでも「ひと皮むけた」なんて言葉を使うんだな、と思いながら俺はポケットからスキルカードを取り出した。


「おっ!」


 カードの色は銀色に変わっていた。

 嬉しくなって小さな声が出たが、ミミルは気にしていないようだ。

 ここで色が変わったのは、第3層で大量のシバングを倒したことと、守護者を倒したこと、第21層の守護者を倒したことが大きいに違いない。


〈色が変わったな、おめでとう。さすがは最深層の守護者だな〉

〈そうだな、でも技能まではそんなに急に変わらないんだろうな〉


 俺が技能カードに魔力を流し込むと、カードが光って文字が浮かび上がった。


   ――◆◇◆――


 氏名:高辻 将平

 種別:ヒト

 所属:地球 日本国

 年齢:36歳

 職業:無職


 スキル:

 料理Ⅳ、目利き(肉Ⅳ)(魚Ⅲ)(野菜Ⅳ)、包丁術Ⅳ、狩猟Ⅱ、解体Ⅱ、皮革加工Ⅰ、短剣()、弓術Ⅱ、身体強化Ⅱ、魔力強化()、魔力操作()、魔力探知、無我

 基礎魔法(無Ⅱ)(風Ⅰ)(土())(火Ⅰ)(水Ⅱ)(氷Ⅱ)(雷Ⅰ)(生命活性Ⅰ)(空間Ⅱ)

 空間収納

 四則演算


 加護:

 波操作、エルムヘイム語Ⅲ


4回目のワクチンは特に激しい副反応もなく、落ち着いて更新できました。

よかったよかった。


応援ポイント、ブックマーク、いいね等、本当にありがとうございます。

とても励みになっております。


また、誤字報告も非常に助かっております。

ありがとうございます。


次回の投稿は8月28日(日)12:00を予定しています。


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


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