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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第51章 第三層の守護者

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第503話

 このあと守護者と戦うことになるのだが、食事はここで済ませておく方がいいと判断した。

 ミミルがどう思って守護者と戦う闘技場の前で休憩をするように言ってきたのかはわからないが、腹が減ったからだという単純な理由な気がしてならない。

 一方、俺としてはダンジョンを出てからのスケジュールが結構厳しいので、食事をするのならダンジョン内で済ませたいと思っていた。それに、守護者を倒した後はすぐに4層に移動し、すぐに地上に戻ることになる。先に昼食を済ませる方が良い。


 昨日と同じように、ロゼッタを2つに割って串に刺して焼いた肉を挟み、それを皿に載せてミミルに差し出した。

 ミミルがファルの肉が好きだというので、わざとミミルの分はファルにしてある。飲み物はいつものように、皆が練習でつくったカフェラテだ。


〈そういや確認していなかったけど、第3層の守護者ってどんな魔物なんだ? もしかすると、シバンゼの大きいやつなのか?〉


 第2層のときのことを考えると、自分でも信じられないくらい俺は落ち着いている。それも、魔法の速度を上げることで戦うのが楽になったのが大きい。脆いとはいえ、シバンゼはすべて一撃だったし、ファングカットやヴァンリィにも有効だったのでかなり楽になった。

 立ち回りも、先日までのようにただ待ち構えるという姿勢から、積極的に自ら動くという戦い方に変わったのも大きい。


『言っていなかったか? トゥレアだ』


 いつものようにミミルが両頬をいっぱいにしたまま、念話で返事をした。

 トゥレアとは、エルムヘイム共通言語で木の精霊を意味する言葉だ。だが、俺には言葉の意味がわかっても、実物をみたことがないのでイメージすることができない。

 そもそも、木の精霊といっても、いままでにダンジョンやエルムヘイムに精霊がいるという話を聞いたこともない。


〈木の精霊、であってるんだよな?〉

『あれを精霊と名付けた者の気が知りたいが、まあそういう意味のある名前であることは確かだ』


 もぐもぐと動く口元の動きとまったく異なる言葉が頭の中に飛び込んでくるので違和感が凄い。

 木の精霊と言われると、ギリシャ神話でいえばドライアドを想像する。俺には緑色の髪をした美しい女性というイメージがある。ドライアドには胡桃の木に宿るカリュア、樫の木に宿るバラノス、桑の木に宿るモレアなどがいるとされていたと思うが、俺が覚えてる中ではトゥレアという精霊はいない。ミミルの話だと、あまり精霊のように見えないということだと思うのだが、どういう姿をしているのだろう。


〈精霊らしくない見た目をしているということかい?〉

〈簡単に言うと、木の魔物だ。枝を鞭のように使い、葉で飛ばして切りつけてくる〉

〈厄介だな……〉


 ミミルの話には嘘はないだろう。

 木の魔物といえば、ゲームの世界ではトレントなんていうのがいるが、それに近いのかも知れない。

 俺が厄介だと思ったのは、鞭は不規則な動きをするだけでなく、先端は衝撃波を発生させるほどの速度――音速を超える場合があるからだ。攻撃を避けるのが厳しくなってくる。そのうえ、更に鋭利な葉を飛ばしてくるとなると……。


〈心配はいらん。違うことを同時にできるような器用さはない〉

〈それならまあ、なんとかなるかな……〉


 枝を1本ずつ振るとか、葉を飛ばすだけとかなら避けることができると思う。これが、例えば20本の枝を振り回しながら、葉も大量に飛ばしてくるようなら無理だ。唯一、勝てる手段があるとするなら、火をつけることだと思う。


〈木の魔物ってことは、火に弱いんじゃないのか?〉

〈そのとおり。だが、しょーへいは着火くらいしかできんだろう?〉

〈まあ、そうなんだが……〉


 草原で野営することが多くて、火を使った魔法の練習は控えていた。これはミミルからも言われていたことなので仕方がない。

 それに生木は水分を多く含んでいるので燃えにくい。木の含水率は100から200パーセントもある。薪などでも乾燥させてから使うのはそのせいだ。

 俺がようやく飛ばせるくらいの火球では燃えるなんてことはない。


〈他に弱点とかないのか?〉

〈弱点か……私が戦うときは燃やして終わりだからわからんな。ただ、根が生えているから動けないことくらいではないか?〉

〈闘技場の中はどうなってるんだ?〉

〈石段がずっと続いていて、すり鉢状になっている。中央に直径100ハシケほどの平らな場所がある。その中心部分にトゥレアが1本立っているだけだ〉

〈他は何もないんだな?〉

〈他はなにもないぞ〉


 ミミルは言うことは話したつもりなのか、再びパニーノに噛り付いた。

 見る限り、何も心配している様子がない。

 確かに俺の戦い方は受け身姿勢なものから攻撃的なものに変わってきているし、魔法がない地球人ならではの先入観が少し薄れたおかげで魔法の速度や火力も上がってきた。

 とはいえ、相手が守護者。そう考えると俺はすごく心配になってきた。


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


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