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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第39章 パートの二人

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第383話

〈このあと地上に戻ったら、スタッフがまた四人増える。紹介するときになったら念話で呼ぶから2階の家で待っててくれるかい?〉

〈うむ、了解した〉


 食事を終えた俺たちは地上へと戻るための後片付けの最中だ。とはいえ、ミミルの体格でできることはあまりない。洗い物くらいはできそうなものだが、いつも先に食べ終えるのは俺だし、鍋やフライパンなども洗うことを考えるとミミルの小さな身体では厳しい。

 最後にテーブルの上に残した食材などを見ながらミミルにたずねる。


〈さて、ミミルがひとりでダンジョンに入る際に必要なモノを先に仕舞って欲しいんだが、そのついでに空間収納の使い方を教えてくれるかな?〉

〈空間収納は技能であって、魔法ではないから難しくはない。空間収納を使うことを念じながら対象のものに手を触れるだけだ〉


 言って、ミミルがルーヨの肉に手で触れると、その場で肉だけが消えてなくなった。普段、ミミルが空間収納に仕舞うときは手を触れたりしないと思うのだが……。


〈なにやら不満気な顔をしているな。空間魔法と併用すれば手を翳すだけで収納できるようになる〉


 次はキュリクスの肉にミミルが手を翳した。キュリクスの肉がテーブルの上から少し浮き上がり、一瞬で消えてなくなった。


〈いまのはわざと大袈裟にやってみたが、わかったか?〉

〈ああ。空間魔法で掴んだ肉を、空間収納に入れた――で、合ってるか?〉

〈そのとおりだ〉

〈なるほど。空間魔法の練習も大切なんだな〉

〈特に空間魔法の練習は大切だ。離れたところに手を出すことができる意味がわかるか?〉


 ミミルが真摯な視線で俺を見つめて問うた。

 改めてそうたずねられると、良い答えが出てこない。最初にミミルから悪戯をされたので、つい悪戯をするにはいい魔法だと思っていた。もちろん、登録した場所に繋いだ魔力の糸を辿って瞬時に移動できるという空間魔法Ⅴは今後のダンジョン探索に重要な役割を持つと思うので是非覚えたいと思っているが……。


〈わからんか?〉

〈すまん、屈んだり、背伸びしたりしなくても何かを手に取ることができる――という程度にしか考えていなかったよ〉


 俺の返事にミミルは呆れかえったように脱力し、大きくため息を吐いた。

 そこまで残念そうにされてしまうと、なんだか申し訳なくなってくる。


〈ラウンに雷を落とすときのことを考えてみるといい〉

〈そういうことか!!〉


 ミミルが魔力の刃を投げるときや、火を着けるとき、旋風を起こすとき……そのどれもが手先から発動するものばかりだ。だが、ミミルが〈ランムッサ〉と呼ぶ電撃魔法は木の上にいるラウンにも使用できる。たしか、〈トールデン〉と呼んでいる雷魔法も離れた場所で発動する。


〈遠隔で魔法を発動するために組み合わせてつかっているのか?〉

〈そのとおりだ。だから、空間魔法は暇さえあれば練習しておくように〉

〈ああ、わかった〉

〈練度が上がれば、次の段階へと進むための手助けをしてやろう〉

〈うん。ありがとう〉


 俺が礼を言うと、ミミルはすぐに顔を伏せてしまう。耳が赤くなっているのを見ると、また照れているのだろう。


〈それで、取り出し方はどうするんだ?〉


 空間収納への仕舞い方はとても簡単だった。収納することを念じて対象のモノに触れればよく、空間魔法越しに触っても収納はできるということだ。でも、仕舞う方法だけでは意味がない。仕舞って、取りだせてこその収納だ。


〈ん、そ、そうだな。まずはここの草を収納してみろ〉


 ミミルが指さしたのはコウル――キャベツ擬きだ。肉ばかり並ぶなかで野菜を指したのは何か意図するものがあるに違いない。だが、いろいろと指摘したところでミミルが拗ねると厄介だし、時間にもあまり余裕が無い。

 仕方がないので、素直に空間収納を使用するつもりでコウルに手を伸ばした。


 特に音や何かがあるわけでもないが、簡易テーブルの上からコウルがひと玉消えた。と同時に空間収納にコウルが入ったということだけが……なんというか、自分で片付けた、仕舞った、という感覚とは違って意識の中に書き込まれるようなイメージだ。


〈空間収納から取り出すときは、空間収納を取り出すことを念じれば、中に入っているものがなんとなくわかるはずだ。そして、目的のものを意識して手で掴めばいい〉

〈手で……〉


 ミミルに言われたように、空間収納を使うことを意識すると……


 ――コウル 1個


 空間収納に入っているモノの名と数量が、鮮明に浮かぶ。思いだしたり、視覚的に文字になって浮かんだりするのでもない。ただ「ある」ということを認識するような感覚だ。

 数字を一瞬見ただけで暗算できる――フラッシュ暗算というものがあるらしいが、それに近いのかも知れない。


 空間収納の中に入っているコウルを意識して手で掴んでみる。


「あれ?」


 ミミルの言うとおりにしたつもりだが、手の中にコウルがない。

 何故か、失敗したようだ。



この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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