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町家暮らしとエルフさん ――リノベしたら庭にダンジョンができました――  作者: FUKUSUKE
第一部 出会い・攻略編 第2章 いざダンジョン

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第12話

 頭の中に流れ込んできたものはいったい何だったのだろう。

 いまはここに入る前よりもスッキリとしているくらいだ。


『かご、えた?』


 ミミルが俺を見上げて尋ねる。

 頭の中に浮かんだこと――「波操作」が俺の得た加護ということか?


「加護なのかはわからないが、〝波操作〟というのが頭に浮かんだな……」

『なみ、そうさ……』


 彼女は俺の話を聞いて、またおとがいに指を立てて考える仕草をする。

 何度見てもあざとさ満開のポーズなのだが、128歳だ。忘れてはいけない。


『なみ、うみ?』


 彼女は海の波のことを思い出したようだ。

 でも、加護を授かるのに海のない場所で波を授かってもどうよ……という言葉しかない。


 まあ、波といえば音波、電波なんかがすぐに思い浮かぶ。

 あとは電磁波だとか、光も波だ。

 そんなものを操作できるのならすごいことだが、どう操作すればいいのか全然わからない。


「なんなんだろうな?」

『かご、きほん。まほう、すきる……おぼえる』


 加護、基本……どういうことだ?


「加護は基本だけ授かり、その先に魔法やスキルを覚えるってことか?」

『ん――そのとおり』


 であれば、まだ俺は何もできないんだろうな。

 例えば音波を出して、跳ね返ってくる音波を拾って魔物を探すとか……まだ先のことってことか。


『まほう、そうぞう。すきる、たいとく。おぼえる、ちがう』


 彼女の説明は……魔法は想像すれば発動する。スキルは体得するってことを言いたいのだろう。

 ああ、覚えるんじゃないってことね。


「想像して、体得せよってことか?」


 ミミルはコクリと頷いた。


 想像すれば魔法は発動するんだな。

 だったら、やってみよう。


 全身から人間には聞こえないほど高周波な音を飛ばす。

 そして全身で返ってくる音を受け取り、索敵する。


 ダメだ……高周波だと身体ではその振動を受け取れない。波操作で聞こえる音に変えて、耳で聞き分けよう。

 返ってくる音の距離、方向……それに大きさくらいまでは判別できそうだ。


 もう一度、全身から高周波数な音を発生させると、両方の耳の感覚を研ぎ澄ませる。

 右前方にさっきの〝うさぎのようななにか〟くらいの大きさの魔物がいる。距離は、約30メートル。

 だいたいの範囲ではなく、ほぼピンポイントでその存在がわかる。


「えっと、こっちの方角。30メートル先に、さっきと同じ魔物がいるようだ」

『わかる、どうして?』

「全身から音を出すようにイメージしてみたら、反射音で位置がわかったんだ」


 ミミルは呆れたような顔をして俺を見ると、視線を前に向け、気づかれないように歩き出した。

 草むらの先に、小さな耳が見えたと思うと、また二足で立ち上がる。

 ミミルがさっきのように魔法を放とうとするが、距離が遠いのか届かない。

 魔物がこちらに向かってやってくる。

 草食でも魔物なら好戦的なのだろうか?


 カサカサと葉擦れする音が聞こえるが、魔物の姿は手前の草に隠れて見えない。

 だんだんと葉擦れの音が大きくなり、草が倒れるのをみて残りの距離を目測でみる。あと10メートルもない。

 俺の今の格好は、シャツにデニムのパンツだけだ。防御力など皆無だろう。

 右手にはナイフがあるが、左手には盾も持っていない。

 あのツノが刺さったりすると痛いだろうな。


 すると、ミミルが俺の前に飛び出した。

 また、右手の人さし指を走ってくる魔物の方に向けると、指先から小さな衝撃波が飛ぶ。


「キュイッ!」


 彼女の魔法らしきものを受けた魔物が悲鳴を上げて、2メートルほど先に倒れた。

 ピクピクと痙攣しているがまだ死んでいないようだ。


『とどめ』

「ああ……」


 ミミルに促され、俺はまた魔物の喉元を掻き切った。



    ◇◆◇



 魔物はまた肉と魔石を残して消えた。


『うん、いい。にく、でた』

「そうだな」


 どうやら肉が出るのは珍しいらしい。

 それが2回続けて出たんだから、ミミルにすれば「運がいい」ということになるようだ。


 これがウサギなら、塩胡椒をして擂り下ろしたニンニクを擦り込み、タイムやローズマリーなどのハーブとともにオリーブオイルで二時間ほどマリネしてからオーブンで焼く。

 一羽丸々の肉を広げて焼いた姿が羽を広げた悪魔のように見えることから、小悪魔風と呼ばれる料理。

 これが実に美味い。

 明日にはオーブンやグリル、流し台などの調理器具が来るから、明日にでも食わせてやろう。


 そんなことを考えている間にミミルはさっきと同じように肉を収納し、俺には魔石を差し出した。

 そういえば、この魔石はどう使えばいいんだろう。


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