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第二話 大将軍ラーヴィナ

ひととおり、山岳地帯に囲まれた王都ハーシェルを偵察してみて、地上からでは王都内に入るのは難しいと知った。


中央には十二万の軍隊。左右の山岳地帯にも、二万ほどの部隊が防衛拠点を築き警戒していた。


これでは背後をとることができない。


かといって中央突破なんてできるはずもなく、左右のどちらかを襲ったら応援が来る。


なので、地上から忍び込むのはやめることにした。


宵闇(よいやみ)に隠れるようにして、俺は空を飛んだ。







着地と同時に()()()()()


変身しているだけでそれなりに体力を消耗するので、できることなら戦闘時までは控えておきたい。



「それにしても……人間の国となんも変わらないな」



魔王国シェルリングの王都、ハーシェル。


他の魔王国とは違い、シェルリングが保有する(みやこ)はこのハーシェルしかない。


だから行軍(こうぐん)中、シェルリングの都を陥落(かんらく)させながら進む必要はなかった。


これほど楽な戦争もないだろう。勝敗に関わらず、兵士を温存させ敵にぶつけられるのだから。


他の魔王国と比べて、それらの利点があったからうちの王国(ラーニバルス)に目をつけられたのかもしれない。



「……ここが王城。まあさすがに、戦闘は避けられないか」



王都の目貫通り(メインストリート)を歩くこと十五分。


魔王の居住地だと思われる城の前までやってきた。


城門を守るようにして、二体のゴーレムが左右に控えている。


また空を飛んで抜けようかと思ったが、城門の上にも、数えきれないほどの鳥型ゴーレムが息を潜めていた。



「どちらも、戦闘は避けて通れないか」



鳥型ゴーレムを相手にするより、門番のゴーレムを倒した方がカッコいいかなと思った俺は、剣を抜いた。


変身は奥の手だ。


これでも俺は、戦闘力20万オーバー。A級冒険者と肩を並べる強さだ。



ゴーレム程度なら、この状態でも勝てる。



道端に落ちていた小石を拾い、ゴーレムへ投げつける。


すると、二体のゴーレムがギシギシと体を鳴かせて立ち上がった。


身長三メートル。重量百キロといったところか。


魔術の才能がなく、鑑定魔術を覚えられなかった俺では、戦闘力までは精確(せいかく)に測ることができない。



だが、感覚的に……俺より弱い。



「シッ―――」



上体を倒し、姿勢を低くした状態で駆ける。


二十メートルほどの距離を一息で詰めて、逆袈裟(けさ)に剣を振り抜いた。



『!?』


「さすがに、硬い……っ」



ゴーレムの素材が何でできているのかはわからないが、かなり硬い。


大金をはたいてつくらせた愛剣じゃなければ、今の一撃で使い物にならなくなっていただろう。


しかし、斬れないことはない。


事実、ゴーレムの表面に深さ五センチほどの傷が浮かび上がっている。



『!!』


『!!』



ゴーレム二体が、巨体とは思えない速さで拳を振り抜いた。


それを紙一重でかわしていき、二体とすれ違いざまに斬る。



『……!?』


『!?』



ゴーレム二体の片腕が、それぞれ砂埃をたてて石畳(いしだたみ)をへこませた。


驚愕するように腕を見て、次に俺を見やるゴーレム。


がらんどうの瞳が一瞬、揺れた気がした。



「感情があるゴーレムなのか。よほど腕のいい魔術師に創られたみたいだな」



その割に戦闘力はそこまで高くないようだが。


いや……きっとそこまで戦闘力は重視していないのだろう。


おそらく時間稼ぎ。


城の方から、おおきな気配が向かってくるのを感じた。



「さすがに三体はキツいから……」



剣の切先を後方へ向けて、姿勢を落とす。


一気に畳みかける。


多少の無茶は()り込みで、俺は地を蹴った。



『!!』


『!!』


「ハッ――!!」



ゴーレムの拳に合わせて剣を振り下ろす。


一瞬の拮抗。


腕を切り裂き、返す刃でゴーレムの胴体を斜めに斬る。


もう一体のゴーレムが拳を振るうも紙一重でかわし……



「――ちょっとは骨のありそうなヤツじゃん。まあ、雑魚には変わりないけど」



その女がこの場に現れるのと同時に、二体目のゴーレムが地に落ちる。


休む間もなく、俺は剣をその女に向けた。



「人間のくせにここまで来られたのは褒めてやるよ。けど残念だったなあ。ゴーレムの緊急信号が発動する前に片付けときゃ、あたしと会わずに済んだってのに」



その女は、灰色の獣人だった。


背中まである長い灰色の髪の上から、ぴょこんと犬耳が生えていた。


髪とおなじ灰色の瞳を鋭く釣り上げて、女は手首から装着した鉤爪(かぎづめ)で腹を掻く。



「終わりだぜ、人間」


「……獣人がなぜここに?」



獣人族は、他種族に対して敵対心が強い。

魔人族に対してもそのはずだった。



「あたしは獣人と魔人のハーフなんだよ。珍しいだろ? 冥土の土産ってヤツに教えてやる。あの世で自慢してやりな。大将軍ラヴィーナとの一騎打ちで無様に散ったってな」





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