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妖○荘の管理人になりました。  作者: えん@雑記
第二章

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裏規則三条

 朝からビールと饅頭を食べてる寮の人を横目に俺はセッセと働く。

 釘と木の板をもって二階や屋根裏に登る。

「よーはたらくなー」

「明日にも台風ですよ! 台風」

「雨漏りする場所を教えてもらったので修繕と終ったら課題もしないといけないので」

「えらい!」

「褒めるなら何かてつだ……いや俺の仕事ですし、どうしても手が足りない時はお願いします」

 ビールを片手に驚いた顔をする。

「男の顔になったやね」

 そう見詰められると照れる。

「ふと、疑問におもったんですけど、マルタって仕事してるの?」

「しとるよ。警察庁」

「またまた~」

 眼が笑ってない。

「まじで?」

「まじやで」

 何から突っ込んで聞いてみようと思った矢先。二階からアヤメさんが下りてきた。

「おにぎり作ろうと思うのですがお二人ともどうでしょうか?」

「「たべる」」

 声が同時にはもる

「はい。それではお作りしますね」

 俺達は軽い軽食を食べてお茶を飲んでいる。

 玄関の先から物凄い炸裂音がきこえる。

 

「おねえええええちゃああああああああああああああああんんんん」

 耳をさくような声。

「なに?」

 突然の音と声に椅子から立ち上がり身構える。

「面倒な奴が、場合によってはおもろいか」

「まぁ……」

 マルタは変な顔をして、アヤメさんは困った顔をしてる。

 足音は玄関を抜けて真っ直ぐ食堂に向かってくる。

 黒い塊がアヤメさんの着物に抱きついてくる。

「子供……?」

 着物に抱きついてる子供を唖然として眺める。

 坊ちゃん刈りをした髪に現代風のTシャツ、でも短パンだ。

 俺のほうを振り向くとキっと睨む。

「こらこらアヤメさんが困っているだろ?」

 俺は着物にへばりついてるガキ、もといお子様を剥そうとする。

「あ。やめときー」

 マルタの声を最後まで聞く前に俺は壁に吹っ飛ばされた。

 壁に激突するはずが背中がクッションのような物で柔らかい。

 背中をみると、マルタが投げたのだろう座布団とその後ろには綺麗な雪が積もっている。

 前を振り返ると、青い顔をしたアヤメさんと投擲ポーズのマルタ。

 少し怖い顔したアヤメさんは子供の頬を叩くと力なく倒れてしまった。

「アヤメさん!」

「急激な力の使いすぎや。すぐに収まるだやろう」

 マルタが俺に伝えてくれる。

 子供のほうは叩かれたのがショックだったのだろう。眼には大きな涙を溜めたまま反応がなくなった。

「どうしようこの状態」

 横にいるマルタに相談する。

「せやな……とりあえず飲む?」

 ビールを投げてくる。

「受け取ったけどコーラでいいです」

 子供はほっといて、アヤメさんをソファに寝かす。そのついでに冷蔵庫からコーラを取ってくる。

 子供に声を掛けるが、反応が無い。

「その子はまぁ、さっきので分かると思うが、妖怪や」

「この子も?」

「日本では一つ目小僧やな」

「へえええ」

 ビールを飲みながら説明してくれる。

「ただウチの国じゃサイクロプスやな」

「どーりで……」

 その怪力で吹っ飛ばされたわけか。

 

「すみませんでした秋一さん」

「あ、気付いた?俺こそありがとう守ってくれて」

 ソファの上でまだ少し青い顔のままのアヤメさんがこちらを見てくる。

 俺の目の前を通り過ぎ、すたすたと一つ目小僧の前に歩いていく。

八葉はちようどうしたのです、急にこんな所にきて。それに力を使うだなんて謝りなさい」

 覗きこむように小僧の顔を触る。

 行動はやさしいが、その言葉にはりんとした力強さがある。

 それに気付いたのだろう。急に泣き出す。

「だってえええええあやめおねえちゃんがああああああああこんなクソみたいな人間と一緒になるってえええ」

 クソみたいな人間でわるかったな。

「あの子な、確かアヤメの自称元婚約者なはずや」

「ええええええ」

 俺はアヤメさんと子供を交互にみる。

「確かにそんな話もありましが、それはお爺様がかってに行った物ですし、生まれる前の約束事でしたし」

「それがこんなクソ人間なんかと……グスグス」

「こら。秋一さんに謝りなさい」

「僕だって優秀な人間になら敗れたっていいんだ。なんでこんなとりえのないような人間と一緒になるんだよ!」

「私は自分の眼で信じた人を信じます。これ以上言うと本気を出しますよ」

「で……でも!」

「八葉」

 その一言で場は静になる。

「もてもてやなー」

「そりゃどうも」

 俺はこの場の空気を納めるために八葉に近づく。

「ほら。俺が悪いわけでもない気がするが仲直りの握手だ」

 八葉が驚いた顔でこちらを見てくる。

「馬鹿か?さっきの力を見ただろ、お前は化物と握手など正気か?」

 にっくたらしい。

「子供は変な事気にしなくて良いんだよ!それに俺は秋一って名前があるの!別に化物ってもちょっと変わった力があるぐらいだろ。ほら、握手し終わったら玄関治しに行くぞー。壊したんだから手伝うよな」

 無理やり握手を交わして、そのまま八葉を玄関まで引っ張る。


 俺の後姿をマルタとアヤメさんが見ている。

「ああいう所にアヤメはほれたんやろ」

「ええ」

「私はマルタさんとも仲良くはしたいですが、恋のライバルでもいいですよ」

 女性二人になった食堂でアヤメはマルタに喋りかける。

「んーシューイチの事は好きやが、アヤメも好きや。ウチの楽しみは二人が良い仲になる事やから」

「有難う御座います」

「きにせんでーな」

 涙目のアヤメを頭をポンポンとなでるマルタであった。

 

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