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邪神になりました10

 六か国会談はルールイス王が承諾したことで、すぐに開かれることになった。

 場所はセントセルス神聖国大聖堂前に作られた会議場で開かれることとなった。

 

 セントセルス神聖国からは、ある事情から聖女が失脚したため教皇になったケインツエル枢機卿が参加していた。

 アスガルト共和国からは、ドロップ・ドゥ・バロックの父であり、共和国首相トローチ・ドゥ・バロックが参加を表明した。

 バンガロウ王国からは、サントン王と外交官であるキララが付き添ってきていた。

 カブラギ皇国からは、皇女アヤメのお付きとして紫苑と絶貴が付き従っている。

 

 そして、ルールイス王国からは王様ではなく、新女王として王女フフリア・ミシェル・ルールイスが中央の席に着席した。

 これには各国首脳が驚いた。

女王フフリアは堂々とした姿で各国首脳を見返した。


 最後に現れたのが、大魔王サキュウであった。

出で立ちは黒いマントの下に黒いスーツを着込んでいた。

 大魔王モードのときは漆黒の鎧に身を包むのだが、会談の場に鎧で来るのは無粋だとスーツを新調して作ってきたのだ。


 大魔王の後ろからは5人の勇者が入ってくる。

 勇者達はバラバラに分かれて席に着いた。

中央上座に座るルールイス女王の横に天野 光賀が、アスガルト共和国首相の隣に護が、カブラギ皇国皇女の隣に白雪 雫が座り、大魔王を挟むように神代 火鉢、安城 風香が席につく。

 それを疑問に思う者はいない。

教皇であるケインツエル枢機卿だけが、光賀を見て一瞬残念な顔をしたが本当に一瞬だけのことだった。


「それでは全員が集まった事ですので、六か国会議を始めたいと思います」


 女王フフリアが立ち上がり宣言したことで、会議の開催が行われた。

それぞれの国から記録係が来ており、首脳たちの会話を記録に残していく。

 

「まずは、六か国会談の盟主を務めさせていただいたことへのお礼と父であるルールイス王の不在を謝罪したいと思います。また急なことではありますが、我が父より王位を継承することとなり若輩ではありますが、私がルールイス王国女王と即位させていただきました。どうぞよろしくお願い致します」


 フフリアの挨拶に異議や疑問を唱える者はいなかった。

それぞれの国で女王に就任したことは知られているのだ。


「続いて、もう一つ報告したいことがあります。私フフリア・ミシェル・ルールイスは女王就任に伴い婚姻を結ぶことになりました。そのお相手は隣におります天野 光賀様です」


 フフリアは嬉しそうに宣言するが、火鉢や風香辺りは憐れみの視線を送っていた。


「めでたいですな」


 アスガルト首相トローチが賛辞の言葉と拍手を送ったことで、会場は一時拍手に包まれた。


「ありがとうございます。皆様とこういった形でお話しできるのも喜ばしいことです。今日は有意義な会談を送れることをお約束します」


 フフリアは挨拶を終えると早速本題に取り掛かった。


「ではそろそろ本題に入りたいと思います。世界が直面している危機について、ルールイス王国から皆さんにお知らせしなければならないことがあります」


 フフリアの発言に、これまで茶化しムードだった首脳陣も気を引き締める。

 そしてルールイス王国からの知らせはなんだろうかと思考を巡らせる。


「我が国は他国に比べて最も古い国だと自負しております。そしてわが国だけに伝わる伝承があります」


 一旦言葉を切り首脳陣を見つめる。

フフリアの目は真剣そのものだった。


『黒き光の柱現われる時、世界を滅亡させる神が降り立つ』


 フフリアの言葉を聞いて、アヤメなどは生唾を飲み込んでいた。

サキュウに至ってもルールイス王国にそんな伝承があるなど聞いたこともない。


「これは王族だけに伝えられていた伝承です。口伝でしか伝えられていないので、証拠などは何もありません。ですが我々ルールイス王国が勇者召喚を続けていたのだはこのためなのです。


『黒き光の柱現われる時、世界を滅亡させる神が降り立つ。その者に対抗できるのは異世界より現れし光を携えた勇者のみ』


 と伝承はここまで続きます」


 疑惑の眼差しを向けてくる首脳たちにフフリアは続けて伝承を語った。


 ルールイス王国がどうしてそんな伝承をもっているかはわからないが、今起きている出来事に類似しているため参考として考慮してもいい。

 サキュウはルールイス王国をあまり詳しくは知らなかった。

サキュウにとって400年の時の中でほとんどの国と交流を持っていたつもりだったが、それでも知らないことはまだまだあるものだと思った。


「それで今回の事象を滅亡の神が降り立つとして、ルールイス王国はどうすればいいと考えておられるのかな」


 ルールイス王国の発言を踏まえて、トローチは質問を投げかけた。

声だけを聴いていれば好々爺が話しているように聞こえるが、細い目元が見開かれている。

 フフリアはトローチの威圧に一瞬怯んだが、気丈にドローチを見返す。


「我が夫こそが光を携えた勇者だと思っております」


 彼女の真剣な表情と言葉に首脳陣は光賀へと視線を向ける。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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