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邪神になりました6

 サキュウは魔王城に戻るとアクと言う人物について調べ始めた。

調べる前に火鉢と風香に残りの二人の勇者を迎えに行ってほしいと伝える。

 転移の魔法については説明して、二人とも使えるようになっている。

移動に関してはそれで問題ないだろう。

 光の勇者に関してはエルファルトが教育係になっているので問題ない。

アンジェリカは頑としてサキュウの下を離れないといったのでお茶や雑用をしてもらっている。


「アク、いや阿久井 重と言うのか」


 サキュウはアクを特殊な方法で調べていた。

それはサキュウが作り出した水晶玉によるもので、その者の体の一部を水晶に入れることでその者が歩んできた記憶を見ることができる。

 鮮明にみることはできないが、その者にとって記憶深い内容を見ることができる。

体の一部に関してはアクが住んでいた自宅にお邪魔して髪の毛を採取させてもらった。


 サキュウは早速水晶を発動させて、アクの記憶を見始めた。


ーーーーーーーーーーーーーー


「転移ってホンマ便利やね。これ使ったら元の世界に戻れそうなもんやけどね」


「それは無理だと言っていたぞ。転移の原理はフ~も説明されただろ」


「まぁ説明は受けたんやけど不思議でならんのよ」


 二人は魔王城より、一瞬でカブラギ皇国へと転移を果たしていた。

転移の原理は簡単なもので、自身が行きたい場所、もしくは会いたい人物を思い浮かべる。

思い浮かべたイメージが鮮明であればあるほど、その場所の近くに転移できる。

 次にイメージが固まれば体中に魔力の膜を作るようにイメージして魔力を循環させる。

魔力が全身を覆ったと感じれば後は、移動したいと願えばいい。

それだけで転位ができると言うのだ。

 但し元の世界に戻る為にはどれだけの魔力が必要かわからないため、魔力が足りない場合はどこかの空間に放り出されて死んでしまうかもしれないのだ。


「そんなことよりも私達は暗黒大陸とルールイス王国しか知らないんだ。それに水と土の勇者君の顔をハッキリと覚えていない。転移は成功したがここはどこだ?」


「ホンマやね。まぁ町なんはわかるけどなんか懐かしいね」


 火鉢と風香が見ている光景は城下町なのだ。

小高い場所に城が作られ、門へと続く町並みが故郷の懐かしい光景に思えてしまう。


「まぁ風情があって良いだろうな。とにかく町の者に聞けば何かわかるかもしれないな」


「そうやね」


 二人が町に向かって歩き出す。

二人は動きやすいようにと乗馬用の服装を選んで持ってきた。

そのため和風な町並みの中に西洋のご婦人が迷い込んだ奇妙な絵面が出来上がっていた。


「すまない店主。この辺に水の勇者か土の勇者はいないか?」


「ヒ~ちゃん、そんな不躾な質問・・・」


「おるよ」


「えっ!」


「そうか、どこにいるのか教えてもらってもいいだろうか。そうだなここにあるミカンをもらおう。釣りはいらんよ」


 火鉢は売り物のミカンをカゴごと持ち上げ、金貨を取り出す。


「金貨!!!」


 カブラギ皇国で金貨を使えば家族四人が余裕を持って暮らせるのだ。

店主は恐る恐るといった様子で金貨を受け取り、何度も火鉢の顔と金貨を見比べる。


「でっ、勇者達はどこにいるんだ?」


「勇者さん達なら、今は療養のために湖の畔にある家にいてると思います」


 店主は本当に話して良いのか迷いながらも金貨を受け取った手前隠す気にもなれなかった。

なによりこの辺の者に聞けば誰でも知っていることなのだ。


「そうか、有益な情報をありがとう。ミカンはもらっていくぞ」


 火鉢がそういってとったのは二つだけだった。


「お客さん、カゴ一つでは?」


「二人しかいないんだそんなに食べられないよ」


「ありがとうございます」


 店主が深々と頭を下げて二人を見送る。

二人は湖までの場所を聞いて、ゆっくりと徒歩で向かうことにした。


 街並みを楽しみ湖に二人が着いた頃には、すでに日が沈んでいた。

一度城に戻ろうかと思ったが、ここまで来たのだ、目的の人物に会うだけ会おうと思い家の玄関をノックする。


「誰だ」


 中からは男の声が聴こえて、二人は一瞬戸惑うがそういえば土の勇者は男だったなと思いだし、気持ちを落ち着ける。


「夜分遅くに申し訳ない。ここに土の勇者殿、水の勇者殿がいらっしゃると聞いてきた」


「帰れ。そんな者達はいない」


「これは申し遅れました。私は火の勇者としてこちらに共に召喚された神代 火鉢と申します」


 火鉢は自分達が名乗ることで、何かしらの変化が生まれるのではないかと考えた。


「・・・・」


「護、入れてあげて夜も遅いわ」


「・・・・わかった」


 中から女性の声が聴こえると扉が開いていく。

扉が開くことで光が生まれ、久しぶりに見る土の勇者、金剛 護が大人びていたことに火鉢達は始め誰かわからなかった。


「入れ」


 だが、纏う雰囲気に変わりはなく、むしろ強者となったことで火鉢には興味すら湧いていた。


「お邪魔します」


 火鉢が護に見とれている間に風香が先に中に入る。

風香の言葉で我を取り戻した火鉢も後に続いて、二人が入ったことで玄関の扉が閉められた。


 

いつも読んで頂きありがとうございます。

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