大悪党になります14
レビューを書いていただきました。
超感動です!読んだ瞬間鳥肌が立ちました(笑)
やっぱりアクションを頂くのは嬉しいものですね(*^_^*)
本当に読んで頂いている皆様に感謝の気持ちでいっぱいです<m(__)m>
アクは真っ暗な闇の中にいた。
誰もいない、真っ暗な世界で自分は浮遊しているだけ。
なにもない。
「ねぇもういいかい、このまま死んじゃえば楽だと思うよ」
どこからか、アモンの声が聴こえてくる。
「バカなことをいうな、俺にはやらなければならないことがあるんだ」
アモンの声にアクが反応して返事をする。
「サントンとかいう人間を王にすること?どうして自分が王に成ろうとしないの、君ならばそれだけの力があるって気づいているでしょ」
「これは俺の力じゃない」
「君の力だよ。僕は君の精霊なんだよ。そして君が取り込んだ人間達もやっぱり君の力だよ。気付いているんでしょ。取り込んだ人間達からエネルギーを吸収してるって、そして君は魔力を得ているって、気付いていても君は他の人間を解放していない。わかってたんじゃないの」
アモンの言葉にアクは黙り込む。
「ねぇまだ生きたいの?まだ他の人間を犠牲にするの?」
「俺は・・・・」
「ふふふ、僕は嬉しいけどね。君が他の人間を犠牲にしてもかまわないと思うようになってくれて」
「・・・・」
「僕が君を生き返らせてあげるよ。でもそれは今までの君と同じかはわからないけどね。だって君は悪魔に落ちるのだから」
アモンの声が楽しそうに笑って去って行く。
アクは手を伸ばすが、アモン声はどんどん遠くなり止めることはできなかった。
力が欲しい、誰にも負けない力が、卑劣な手段を取ってくる相手を滅ぼす力がほしい。
アクは願ってしまった。
悪魔との契約を、闇の精霊を超える力を・・・・
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「隊長!」
アクが目を覚ますとルーが心配そうにのぞき込んできいた。
隣にヨナとサーラもいて、彼女達の後ろに白扇の姿が見える。
「よかった。本当によかった」
泣き腫らした顔をしたルーが、アクの胸に飛び込んでくる。
「心配をかけたようだな」
「ううん」
アクの言葉に彼女達は顔を横に振り、白扇も息を吐いた。
「一時はどうなるかと思ったぞ、マスターの心臓が止まってしまって仮面を剥がそうにも酷い火傷で仮面も取れなくてな」
アクが体を起こすと、ルーが支えてくれて白扇が話しかけてくる。
「すまないな。それで状況はどうなっている」
「最悪じゃな。敵は女子供の体の中に火属性の魔法を施して解放したようじゃ。我々が助けて油断したところで魔法を発動させたようじゃな。リバーサイド陣営はかなりの痛手を被ったようだな。現在は妻子の父親達らしき男達が我々に恨みを晴らすためという名目の下、戦闘を仕掛けてきておるよ」
奇襲に追い打ち、とことん下劣な策がオンパレードなことに怒りを通り越して、敵の徹底ぶりに感心すら覚える。
「そうか、なら戦闘を仕掛けてきた者は俺が対処しよう」
「大丈夫なのか?」
アクが起き上がると、その場にいる者達がアクを心配している。
だが、アク自身は体が軽くすら感じていた。
「ああ、問題ない。今はむしろ気分がいいんだ」
「それならばいいが、無理はせんでくれ」
かつて同胞を失ったことのある白扇は沈痛な面持ちで、アクを見ていた。
アクは軽く手を挙げるだけでそれに答えた。
そのまま黒いローブを羽織って、外に出れば獣人亜人に対して剣や槍を持った男達が挑みかかっていた。
その瞳は狂気に魅せられたように虚ろで、すでに世界に絶望しているのが分かる。
「悲しいものだな」
アクが一言発して、闇の魔法を発動する。
それは今までと異なるブラックホール、狂気に狂った男達を一人一人黒い闇が吸収していく。
戦っていた獣人達も唖然とするほど圧倒的な魔法だった。
「これで邪魔者はいなくなった。こんな戦いもう終わらせるぞ」
アクのことを天幕から見つめる仲間達に告げる。
その瞳には烈火のごとく、怒りの炎が宿っていたことは言うまでもない。
いつも読んで頂きありがとうございます




