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猟犬のネタ

 猟犬ハウンドのネタである。


 メイドや執事や骸骨を書こうと思っていたら猟犬のことが気になり衝動的に書いている。

 気まぐれはいつものこと。


 異世界創作のための猟犬ネタ……たぶんいろいろあるはず。

 なにせ犬は人類が最初に家畜化に成功した動物(諸説あり、犬・羊・山羊が有力)。

 つまり異世界で集団生活をする雑食性の獣がいれば家畜化される可能性が高いわけだ。

 狼→犬の家畜化の流れを参考にして野良モンスター→家畜モンスターで成立させても苦情やツッコミがこなくなる。


 説得力のある家畜モンスターのために! 具体的にモンスターを騎獣にして戦争モノを書く為の準備段階としてネタを考える。



○家畜化の条件


 犬を基準にしてモンスター家畜化に適した条件を挙げていく。


①気性が穏やか


 犬は狼を家畜化したものだが……これは狼の赤ん坊を巣から確保、気性の穏やかなものを育て更にそれらを交配させることで”気性の穏やかな狼”=犬を生み出した。

 このような行為を人為選択と言う。


 なお気性が荒い狼の赤ん坊は処分する。

 

 極論すればどんな動物でも気性が穏やかなものだけ選べばこの条件はクリアされる(強制的にだが)。



②成長が早い


 早く成獣になれば飼育期間コストに対する活動期間リターンが多くなる。

 人間は利益を追求するものであり家畜にもそれを求める。

 で動物というのは小型のものほどライフサイクルが短く大型のものほど長い(むろん例外はある)。

 例えば鼠は、二~三ヶ月で成獣になり寿命は二~三年。

 対して象は、成長するまで二十年で寿命は長ければ七十年。

 犬は二年で成獣となり十~十五年が寿命である。


 ……人間が主人公で相棒モンスターを世代交代させるなら成長は一~三年で寿命は十~二十年は必要だろう(犬を参考)。

 戦隊ヒーローものを参考にするなら初代相棒モンスターが破れたら二代目品種改良モンスターが六年目に活躍する展開が創作できる(初代モンスターが三歳で子供を産み、更に三年後成獣するという流れ)。

 主人公が活躍できる期間に合わせて相棒騎馬モンスターのライフサイクルと捏造、もとい調整すればいい。



③多産である


 これも上に同じ。

 犬は平均で六から十匹だ。

 同じコストなら多くの仔が生まれるほうが効率的だ。

 病気や事故で仔が亡くなる可能性を考えれば、なおのこと多産であることが求められる。

 残酷だが優秀で従順な個体を選別して劣る個体を間引ける――処分する――のも利点となる。

 つくづく人間の業は深い。



④集団行動できる


 犬を筆頭に牛・羊・馬は集団で動くことができる(というか集団で動くことで種族としての生存性を確保している)。

 これは人間をリーダーに据えることで容易に集団を誘導統制が可能という利点が生まれる。

 ①の気性が穏やかである点も含めればほぼ人間の思うがままに操れる。



⑤食料のコストが安い


 成長速度にも関係するが食費がかかると成長してからのリターンが多くても利益が出ない。

 肉食動物などは食料を調達するだけで大きな負担となる。

 数頭の虎を維持するために毎日馬や牛を一頭潰すと考えればどれだけのコストか想像は容易いだろう。 

 また草食動物でも……例えば象は一日の半分近くを食事に費やし、当たり前だが食費も馬鹿にならない。

 草食でも精々牛程度、雑食なら犬程度が適正なサイズということだ。

 ただし異世界ならば石を食べるモンスターなどコストが安くなる創作もあり(有名な十二国な物語では宝石を食料にする獣が登場する……コスト高いじゃん)。


 犬を基準にいろいろ想定したが異世界を創作すればどれも回避することは可能だろう(考察の意味無し?)。

 気性については選別すればよいし成長速度もオリジナルなら調整可能。

 多産や集団行動(統率性)もオリジナルの大型昆虫や鳥を匂いや音で操るなど創作してクリアすればいい(モン○ンのあれ)。

 上記の条件を利用し枷とするぐらいの気分でいいかも。

 哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類、自立型植物、昆虫等々条件さえ整えればあらゆるモンスターが主人公の相棒となるだろう。

 


○運用


 調べてみて知ったのだが猟犬と言っても狩猟スタイルによって幾つかに分かれている。


①追跡方法


 獲物を見つけ追跡する方法の違い。

 正しくは獲物の種類と狩猟場所への適応というべきか。


 例えば草原での狩猟は、遠くから目で認識し追跡する必要がある。

 結果、視野を確保するための高い背に見失わないように単独でも追いかけることができる長い脚の犬種。

 視覚獣猟犬”サイトハウンド”が求められる。


 森林での狩猟は視覚に頼ることはできないので嗅覚での追跡が求められる。

 また障害物が多く遠吠えで複数の猟犬が連携することで獲物を追い詰める。

 こちらは嗅覚獣猟犬”セントハウンド”と呼称される。

 


②役割


 具体的な働きにも種により差異がある。


 獲物の見つけて吠え立てることにより狩人に獲物を位置を教える”ポインター”や”セッター”と呼ばれる猟犬。


 同じく吠え立てて獲物を狩人の射撃しやすい位置に追い立てる”スパニエル”。


 狩人が射止めた獲物――主に鳥だ――を回収してくる鳥猟犬”リトリーブ”(食べてしまわないように丁寧に咥える訓練が必要)。 


 直接獲物に襲い掛かり格闘戦で仕留める直接狩猟犬”柴犬”…………あんた猟犬だったのか柴犬ちゃん。

 直接狩猟犬の犬歯を見たが小指ぐらいのサイズがあった。


 他にも穴熊・兎の細い巣穴に入り込み胴長短足”ダックフンド”。


 中世欧州貴族は役割に応じた猟犬をそれぞれ飼育していた。

 しかし貴族の権勢が衰えると飼育コストなどを減らすため一頭で何でもできる汎用猟犬が求められるようになる。



③調教


 ①と②で種によっての狩猟スタイルを書いたが実際は雑種でもちゃんと教育すればどのタイプの仕事ができるらしい(適した犬種に相性のよい仕事をさせるほうが効率的ではあるだろうが)。


 まあ、子犬の時から愛情をもって適切丁寧な指導をするのが重要ということだ。


 中世の狩猟官・森番は、見習い時代の最初に猟犬の世話を教わっていたらしい。

 猟犬の飼育は最優先&最重要なのは間違いない。

 具体的な躾は、犬小屋への誘導・人を襲わない・他の猟犬と喧嘩しない・狩猟地域での散歩・獲物への興味育成・命令達成すればご褒美が貰える事の理解などなど。


 犬小屋への誘導など指示の際に犬笛を吹くことで『犬笛の音が聞こえた=帰還命令』の教育、狩猟地域の散歩は獲物を追いかける想定での訓練となる。

 狩猟官も猟犬の治療法などを学ぶ。


 食事は、狩猟対象――例えば猪をメインの狩猟対象とするならばその骨や内臓を餌として与えれば『これが自分の食べ物』と教えることになる。余ったクズ肉や加工しない皮などもありだ。


 なお一人前の狩猟官はその証として犬笛を授かるとか。



○小ネタ


 ワンちゃんの毛をおしゃれに刈り取り美しくするトリミングだが元々は狩猟犬が活動しやすいようにするため毛をカットしたのが起源らしい。

 ふかふかの毛は水鳥を捕まえるため湖沼を泳ぐのに邪魔だったという現実的理由。

 モンスターを狩猟用に家畜化するなら毛や装具など考案するべきかもしれない。


 愉快でない小ネタ(というには酷い話だが)としては、猟犬が獲物を追うようにわざと餓死寸前まで餌を与えないという手法をとる場合もあったらしい。


 衝動的に調べて書いてみましたが案外モンスターの家畜化はありじゃないかなーと思えてしまう。

 馬とは言わないが羊サイズの雑食性モンスターぐらいなら家畜化&集団運用しても面白いかも。

 例えば大猪タイプのモンスターに金属鎧と馬上槍を装備させ集団で突撃させれば酷い虐殺風景が見れそう(制御? 音や臭いで適当に)。


 狩猟そのものも書きたいが、あれは軍事訓練であったり貴族の見栄だったり特権&税だったりとまた別のネタに。

 今回まったく取り上げなかったが大型猛禽による猟鳥狩りも興味深い(日本の狩猟も調べるかな)。

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