表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/28

第27話:四天王・氷刃のメルゼス



王都の空が、突如として凍りついた。

雲が裂け、氷の結晶が降り注ぐ。

その中心に、漆黒の剣を携えた魔族が降臨する。


「……来たわね」

リディアが〈正義〉のカードに手を添える。


現れたのは、魔王〈ヴェル=アザル〉の四天王の一人――〈氷刃のメルゼス〉。

氷の魔術を操る剣士型の魔族。

その気配は、ゼルヴァとは異なる冷酷さを帯びていた。


「契約者よ。王都を守るなど、無意味だ。すべては凍てつく運命の中に沈む」


メルゼスが剣を振るうと、空間が凍り、兵士たちの動きが鈍る。

結界が砕け、街の一角が氷の塔と化す。


「《浄光術式・ソレリス》!」

リディアが光を放つが、氷の壁に吸収される。


「光など、氷の静寂には届かぬ」


ヴァルグが炎を纏い突撃する。

「《焔牙・カルドレア》!」


だが炎は凍てつき、ヴァルグの腕に霜が走る。

「ぐっ……この氷、ただの魔力じゃない。空間そのものを凍らせてやがる!」


カスミが転移術式を展開し、一時撤退を提案する。

「このままでは全滅します。陣を立て直しましょう!」


だがリディアは首を振る。

「逃げるわけにはいかない。ここで、王都を守る」


彼女は〈正義〉のカードを掲げ、深く息を吸う。

「均衡を保つだけじゃない。裁きの力を――解き放つ!」


カードが光を放ち、術式が変化する。

《審光断罪・アストレア》――新たな術式が発動。


光の剣が空を裂き、氷の空間を貫く。

メルゼスの防御が崩れ、ヴァルグの炎が再び燃え上がる。


「今だ――!」


三人の連携が極限まで高まり、メルゼスの身体に深い傷が刻まれる。

氷の塔が崩れ、王都の空が再び動き出す。


メルゼスは苦悶の声を上げながら、氷の霧に包まれて消えた。


「……四天王の一角、崩れたわね」

リディアは剣を下ろし、空を見上げる。


だがその瞳には、まだ焦点が定まっていなかった。

「リュカ……次は、あなたを取り戻す」


王都の人々が歓喜する中、リディアたちは次なる戦いへと歩みを進める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ