第25話:王都の懺悔と再召喚
〈ヒノカ〉での戦いを終え、リディアたちは次なるカードを求めて旅を続けていた。
その道中、各地の村や街で魔物の討伐依頼が舞い込む。
リディアは〈太陽〉の光で影を裂き、〈正義〉の力で均衡を保ち、〈死〉の力で封印を施す。
その姿は“光の令嬢”として噂となり、契約者の名が再び人々の間に広がっていく。
「リディア・ヴェルシュタイン……彼女がいれば、魔物は退けられる」
「追放された令嬢が、今や世界を救っているらしい」
その噂は、ついに王都にも届いた。
かつてリディアを「呪われた契約者」として追放した王都の枢機院。
彼らは再び魔物の襲撃に苦しみ、結界は破られ、民衆は怯えていた。
そしてある日、リディアたちの前に王都の使者が現れる。
彼は地に膝をつき、涙ながらに言った。
「どうか……助けてください。王都が、もう持ちません。あなたしか……」
リディアは静かに立ち上がり、カードケースを握りしめる。
「私を追放した王都が、今さら助けを求めるのね」
カスミが一歩前に出る。
「断ってもいい。あなたはもう、誰にも縛られない」
ヴァルグは炎を揺らしながら言う。
「だが、民を見捨てるのは我らの流儀ではない」
リディアは目を閉じ、〈運命〉のカードに手を添える。
「なら、選ぶ。王都を救う未来を」
その言葉に、使者は深く頭を下げた。
「ありがとうございます……契約者殿」
そして、三人は王都への帰還を決意する。
かつての敵が、今は救いを求める者へと変わる。
魔王の影が、王都にも忍び寄っていた。




