第24話:王の感謝と契約者の誓い
魔王の四天王〈ゼルヴァ〉によって、リュカは闇の渦に飲まれた。
残されたのは、リディア、ヴァルグ、そして魔道士カスミ。
王宮の空気は重く、沈黙が場を支配していた。
だが、リディアは静かに前を向いた。
〈死〉のカードを握りしめ、瞳に揺るぎない光を宿す。
「……リュカは、必ず取り戻す。このカードが示す“終わり”を、魔王に与えるために」
ヴァルグは炎を揺らしながら頷く。
「我らの旅は、ここで止まらぬ。次の地へ進むぞ」
カスミも一歩前に出る。
「私も同行します。リュカを救うために、そしてこの国の借りを返すために」
その夜、〈ヒノカ〉の王は三人を王宮の奥へと招いた。
玉座の前で、深く頭を下げる。
「契約者リディア・ヴェルシュタイン殿。あなた方の力が、我が国を救いました。心より感謝を申し上げます」
リディアは静かに頷く。
「でも、まだ終わっていません。魔王の影は、世界全体に広がっている」
王は巻物を差し出す。
それは、古代の契約者が記した“魔王の封印”に関する記録だった。
「この記録によれば、カードがすべて揃った時、魔王を倒す力が現れるとあります。あなた方こそ、その希望です」
リディアは巻物を受け取り、決意を込めて言った。
「なら、揃えます。すべてのカードを。そして、リュカを取り戻し、魔王を倒す」
王は静かに頷き、三人の旅立ちを見送った。
夜の空には、まだ黒い雲が漂っていた。
だが、リディアの瞳には確かな光が宿っていた。




