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第20話:運命の扉



巨大なホールは炎と轟音に包まれていた。

ヴァルグが巨体を揺らし、六体の怪物を次々と蹂躙していく。

爪が鋼を裂き、尾が壁を砕き、咆哮が空気を震わせる。


「うおおおおおおおおっ!」

その咆哮は、まるで世界そのものを揺るがすようだった。


リディアとリュカは光に包まれ、聖印と〈太陽〉のカードが共鳴していた。

「……力が満ちていく……!」

リディアの瞳が輝き、魔力が再び溢れ出す。


リュカも剣を握り直し、羅鬼流の構えを取る。

「ヴァルグが道を切り開いてくれている。僕たちも応えなきゃ!」


ヴァルグの巨体が最後の怪物を踏み砕いた瞬間、ホール全体が静寂に包まれた。

炎の残滓が舞い、崩れた石壁の奥に、巨大な扉が姿を現す。


扉には〈運命〉の紋章が刻まれていた。

それは、星と太陽、そして正義の光を重ねたような輝きを放っている。


「これが……〈運命〉の扉」

リディアは震える声で呟いた。


彼女は〈星〉〈太陽〉〈正義〉のカードを重ね、聖印を掲げる。

「星よ、未来を照らし、太陽よ、命を燃やせ、正義よ、均衡を示せ――運命を開け!」


光が扉を包み、重々しい音とともに開いていく。

その奥に浮かんでいたのは、一枚のカード。


――〈運命〉。


淡い銀光を放ち、まるで手を伸ばす者を試すかのように揺らめいていた。


リディアが手を伸ばすと、カードは彼女の掌に収まり、温かな力が全身を駆け巡った。

「これが……未来を選ぶ力……」


その瞬間、魔族の声が再び響いた。

「運命を選ぶのはお前たちだ。だが、選んだ先に待つのは――魔王だ」


声は消え、静寂が戻る。


リディアはカードを胸に抱き、仲間を見つめた。

「なら、選ぶ。魔王を倒す未来を」


ヴァルグは巨体を縮め、元の姿に戻りながら頷いた。

「その選択、我も共に背負おう」


リュカは剣を収め、記録帳を閉じる。

「記録者としてじゃない。仲間として、最後まで一緒に戦う」


こうして三人は〈運命〉のカードを手に入れた。

だが、それは同時に――魔王〈ヴェル=アザル〉との決戦が近づいていることを意味していた。

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