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第16話:森の果て、運命の城




深い森を抜けた先に、それは姿を現した。

霧に包まれ、黒々とした影を落とす巨大な城。

塔は空を突き、窓は闇のように口を開けている。


「……ここに〈運命〉のカードがあるのね」

リディアは胸元のカードケースを握りしめる。


「嫌な気配だ。魔族の巣窟に違いない」

ヴァルグが低く唸る。


「でも、進むしかない。カードを集めなければ、魔王を倒すことはできない」

リュカは巻物を閉じ、剣の柄に手を添えた。


三人は重い扉を押し開け、城の中へと足を踏み入れる。

そこは広大なホール。だが、灯りはなく、ただ冷たい空気が漂っていた。


そのとき――。


「ようこそ、契約者たち」


闇の中から、黒衣の魔族が姿を現した。

その笑みは不気味で、声は空間全体に響く。


「ここは〈運命〉の試練の城。お前たちが求めるカードは、この奥に眠っている」


リディアが一歩前に出る。

「……あなたが守っているの?」


「守る? いや、楽しむのだ。お前たちが“運命”にどう抗うかをな」


次の瞬間、床が崩れた。


「きゃっ!」

リディアとリュカが叫び、奈落へと落ちていく。


「くっ……!」

ヴァルグは即座に巨大な体を展開し、二人を背に受け止めた。

衝撃は大きかったが、彼の体がクッションとなり、命は救われた。


「……助かった……」

リディアが息を整える。


「礼は要らぬ。だが、ここからが本番だ」

ヴァルグは立ち上がり、周囲を見渡す。


そこは石造りの地下迷宮。壁には古い鎖が垂れ下がり、奥からは不気味な音が響いていた。


再び魔族の声が響く。

「さあ、試練を始めよう。まずは一匹目を放つとしよう」


鎖を引きずる音。

闇の奥から現れたのは、鎖で繋がれた巨大なモンスター。

四つの目が赤く光り、咆哮が迷宮を震わせる。


「来るぞ!」

ヴァルグが構え、リディアとリュカも身を固めた。


こうして、〈運命〉の城での死闘が幕を開けた。

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