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第14話:星光裁きと精霊ジャスティス



嵐を抜けた船は、朝焼けの海を静かに進んでいた。

甲板には、リディア、ヴァルグ、リュカの三人が並び、遠くに見える白い尖塔を見つめていた。


「……あれが〈ルミナリア〉の光の神殿。〈正義〉のカードが眠る場所だ」

リディアが呟く。


「ただのカードじゃない。精霊が守ってる。戦えるのは、契約者だけだよ」

リュカが巻物を閉じながら言った。


ヴァルグは静かに頷く。

「ならば、我とリディアが挑む。汝は後方から支援せよ」


船が港に着くと、三人は神殿へと向かった。

神殿の最奥、封印された祭壇の前に立った瞬間――空間が震え、光の柱が立ち上がる。


その中から現れたのは、銀の鎧を纏った精霊ジャスティス。

両目には秤の紋章が刻まれ、手には光の剣。


「汝らに問う。正義とは何か。力か、秩序か、赦しか」


リディアは一歩前に出て、カードを握りしめる。

「私たちの正義は、誰かを守るための力。裁くためじゃない」


「ならば、示せ。契約者の力で、均衡を証明せよ」


ジャスティスが剣を振るい、光の衝撃波が空間を裂く。

ヴァルグが炎の壁を展開し、リディアは〈星〉と〈太陽〉のカードを重ねて詠唱を始める。


「星よ、未来を照らし、太陽よ、命を燃やせ――《星光裁き・アステリア》!」


空に星の軌跡が走り、太陽の光が剣となって降り注ぐ。

ジャスティスの秤が揺れ、光の鎧に亀裂が走る。


「均衡の審判――《天秤の裁き》!」


巨大な秤が三人の心を量り始める。

リディアの過去、ヴァルグの本能、リュカの選択――すべてが暴かれる。


「……私たちは、過去に囚われていた。でも今は違う。互いを信じて、未来を選ぶ」


リディアが再び〈星〉のカードを掲げる。


「《星導・ノヴァリア》!」


星の光が空間を包み、秤が静かに傾く。

ジャスティスが剣を収め、静かに言った。


「汝らの正義、確かに見届けた。ならば、力を授けよう」


光の柱が再び立ち上がり、二つのものが降りてくる。


一枚のカード――〈正義〉。

そして、銀の紋章が刻まれた聖印。


リディアがそれを受け取ると、神殿全体が静かに輝いた。


「これが……裁きと均衡の力」


「だが忘れるな。正義は常に揺れる。使う者の心が、世界を左右する」

ジャスティスの声が風に溶けていく。


三人は神殿を後にし、光の町〈ルミナリア〉を見下ろす丘に立った。


「次は……王都ね」

リディアが呟く。


「契約者狩りが始まっている。我らの旅も、静かな時を終える」

ヴァルグが空を見上げる。


リュカは剣を鞘に収め、記録帳を閉じた。

「でも、僕たちなら乗り越えられる。正義を手にした今なら、きっと」


そして、令嬢と魔獣と記録者の旅は、第二章へと踏み出す。


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