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駆除完了



 凛は早速とばかりに自分の担当範囲のウルフ狩りに向かった。


 俺の方もウルフ狩りをさっさと終わらせてしまおう。


 俺は見えなくても気配感知で周囲半径100mは感知出来るので効率も良く直ぐに終わるだろう。


ーーー


 直ぐに終わりました。


 今回は血塗れにならないように、ウルフを一体一体手間をかけて狩って周り、18時には俺の担当範囲のウルフを狩り尽くした。


 ウルフ以外のモンスターにも遭遇しなかったので、他のダンジョンについても考えなくてもよく、気分良く終わらせる事が出来た。


 今はウルフのダンジョン前に来たが、凛はまだ終わってないのかここには居なかった。


 電話もかかってこないので特に心配はしていないが、これは手伝いに行った方が良いのだろうか?


 そんな事を考えている内に、凛が気配の感知範囲に入ってきた。


「思ったより早かったな」


 凛は正面方向から近付いて来ていたのに、途中から俺の居るダンジョンを避けて、俺の後ろ側に回った。


 態々そういう行動が取れるという事は、俺の位置関係も把握出来ているのか。


 王獣化(猫)が再び使える状態になったので、鑑定を察知した時の状態に戻っている。

 だから、合流場所に来るのも俺の予想より早かった様だ。


 獣化の気配感知という事は、野生的な感覚なのかな?


 動物は気配に敏感な奴が多いからな。


 近所とかで見かける野良猫とかも、捕まえられた(ためし)が無い。不意打ちとかもほぼ無理なくらい気配に鋭いからな。


 まあ、今の俺の身体能力なら野良猫を捕まえるくらい造作もない。


 加減をミスったら、野良猫がミンチになるかもしれないけどな。


 やはりlv62になってしまった俺が動物の毛並みを堪能したいなら、誰かを神獣化させるのが相手の為にも安全かもしれない。


 俺が凛を育てようかな? と考えている間に凛の気配が丁度俺の真後ろに来た。


「凛、遅かったな」


 俺が振り返ると驚いた顔をした凛が居た。


 あともう少しで伸ばしていた手が俺に触れる距離で固まっていた。


「え、えーと、モンスター狩りは終わりました」


 凛は気づかれた事に驚いた様子だったが、直ぐに気を取り直して、俺にウルフ狩りが終わった事を伝えてきた。


「お疲れ様。想定範囲の外ではモンスターを見かけなかったか?」


「はい。ウルフが居たのはどちらかと言えば、想定範囲より狭い範囲にしか居ませんでした」


「俺と同じか。なら良い」


「先輩は感知系のスキルを持っているんですか?」


 今気づかれたから、そう思ったのかな?


 う~ん、このぐらいなら教えるべきか。それとも教えない方が良いのか。迷うな?


「ノーコメント。スキルについては教えない。人物鑑定が出来る俺が言うのはどうかと思うが、相手のスキルの詮索はマナー違反になるからな」


 ネットゲームの暗黙の了解だけどな。


「本当に先輩の言う事じゃないですね。でも分かりました」


「まあ、ヒントという訳ではないが、慶はスキル無しでも半径100mくらいの気配は感知する事が出来るぞ」


「そんなに」


 凛は驚いているが、これは相手が気配を消していない事が前提の話だ。


 小鬼の時も高野先生の時も、気配を隠そうともしていない相手だったから、そこまで遠くでも気配が分かったんだろう。


 まあ、それでも慶ならさっきの凛くらいなら気配を察知する事が出来ただろうけどな。ここには人が居ないから分かりやすい。


「さて、凛はこれからどうする?」


 時間はまだ18時だ。もう帰っても良い時間だけど、今からダンジョンに入っても良い。


「19時までは、ここのダンジョンに入ってlv上げをしても良いですか?」


「分かった。一緒に行動するか?」


「いえ、1人でも大丈夫です」


「なら探索範囲は1階層だけ。部屋を見つけても1人では入らない。という事なら良いぞ。それと出来れば地図も書いてくれると嬉しい」


「測量機器なんて持っていませんから、地図なんて描けませんよ?」


 と言う事なので、凛に簡単に歩測での距離の測り方を教えてやる。


「これで出来そうか?」


「多分」


 凛は初めてなので自信がない様子だった。


「別に俺がやった様に綺麗に描く必要は無い。初めてなんだから下手で当たり前なんだ、慶なんて未だに上手く地図を作る事が出来てないからな」


 それにいきなり色々な森や洞窟に入って地図を作ってきた俺の地図よりも上手く作られたら、少しショックだよ。


「じゃあ、凛。さっきも言った通り探索範囲は1階層だけで、部屋には1人では入らないという事だけは守ってくれ。あとダンジョン内では当然スマホで連絡なんて取れないから、1時間後にここのダンジョン前に集合な」


 部屋に入って万が一試練の扉を発動させてしまえば、俺が助けるに入るのは無理だろうからな。


 それにダンジョンには、まだ俺が知らない種類の部屋もあるだろうから、俺自身も気を付けないと。


「ダンジョン内では電話が繋がらないって結構重要な事ですよね?」


「ああ、ダンジョンで迷子になったり怪我をしたら終わりって、そうだ。これを持っていけ」


 俺は凛に赤と黄色のポーションを数個ずつ渡す。


「これはポーションって奴ですか?」


「そうだ。赤が怪我とかの回復ポーションで、黄色が凛がこれからよくお世話になるだろう体力ポーションだ」


 これがあれば、今は使えないが、第五開放を使った後でも継続的に戦う事が出来るかもしれない。





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