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何を言っているんだ、この子は



 凛はウルフを倒した辺りから動揺し始めて、少しすると何か思い当たることがあったのか、さっきまで俺の居た場所を見る。


「先輩、どう言う事なのか説明を」


 勿論、そこには既に誰も居ないので当然返事は無い。では可哀想なので出て行くか。


「凛、こっちだ」


「ッ! そっちに居たんですか」


 声を掛けるとビクッと震え、凛はこちらを振り向いた。


 予想通りlvが上がった事で、俺の気配を感知する事も出来なくなったようだな。


 一応、確認の為にも鑑定もしておくか。


【名前:小池 凛

 性別:女

 年齢:15

 職業:学生

 lv:1

 エクストラスキル:王獣化(猫)A (第一1000EP~第四4000EP、第五10000EP)

 HP:120/120

 EP:13/13】


 鑑定をしてみても、凛は鑑定された事にも気づいていない。


 lvがウルフを倒した事で1になり、EPが正常に戻った所為だ。

 最低1000EPを使う事になるエクストラスキル王獣化(猫)を使用するには、lvを上げてEPを1000以上にしないといけない。


 まあ、俺の時の10000EPよりは断然マシだろうけどな。


 さて、確認も済んだ事だから、凛にも状況を説明をしてやるか。


「今どういう状況なのか説明をする」


「お願いします、先輩」


「まあ、長々と話すのも面倒だから、一先ずこれを見てくれ」


 俺はマジックポーチからメモ帳を取り出して、そこに走り書きメモを千切って凛に渡す。


「これは、私のステータスですか?」


「そうだ。そのステータスを見てもらえてば、凛が何故スキルが使えなくなったのか分かるだろ」


 凛に渡した紙にはlv、スキル、EPのステータスしか書いてないものだが、これでも十分に原因は分かるだろ。


【lv1

 エクストラスキル:王獣化(猫)A (第一1000EP~第四4000EP、第五10000EP)

 EP:13/13】


「EPが足りない?」


「そう、EP。俺はE (エネルギー) P (ポイント)でEPだと思っている」


「でも、さっきまでは使えてました」


 凛はEPが無いから使えないと言う理由には、納得がいかない様子だった。


「あのな、凛。スキルなんて便利な技能がなんの代償も無しに使える訳がないだろ? 今までがおかしかっただけだ」


 そう言って俺は凛がlv0だった時のステータスをメモ帳に書いて、それを渡した。


【lv:0

 エクストラスキル:王獣化(猫)A

 EP:?/?  】


「EPが表示が?ですね。この状態ならEPが無制限に使えたんですか?」


「そうだな」


「ならその方が良かったですよ!」


 おいおい、今更そんな事言われても。


「どの道、同じだったと思うけどな」


「何がですか?」


「だって、咲良とダンジョンの話を聞いた時に興味津々だったから、その内モンスターを倒しに行っていただろ?」


「それはそうかもしれませんが、先輩が教えてくれていたら良かったじゃないですか」


「はあ、さっきまで力尽くでどうにかしようとしていた相手に何を求めているんだ」


 頭を抱えたくなるな、この子は。


 まあ、別に山田弟みたいに調子に乗りまくって手が付けられない感じではないから、まだ良いけどな。


 その証拠に、今は俺に言われた事に自覚があるのか、バツが悪そうな表情をしている。


 凛も分かっているんだろうな。


 結局は自分でも同じ道を辿ったと分かってはいるけど、ただそう言う道もあったと聞くと、後ろ髪を引かれる思いなのかもしれない。


「それにlv0のまま、もう一度スキルスクロールを使って生き残る自信があったのか? 確かに無制限のEPで多彩なスキルが使えるようになれば強いかもしれない。でも死人が出た今、もう一度スクロールを使えるか?」


「無理、だと思います」


「そうだよな。それに例えそんな事が出来たとしてもlv0の凛が俺に勝つのは無理だろうからな」


「それは、どう言う意味ですか?」


「まあ、凛にもまだ教えてない事は多いという事だ」


 神を冠するスキルのような上位のスキルは、きちんとlvを上げてEPを増やさないと手に入らないスキルだからな。

 それを手に入れる事の出来ないlv0のままでは俺に勝つ事は難しいだろう。


 まあ、死ぬ気で頑張れば、擦り傷ぐくらいはつけれるかもしれないがな。


「やっぱり、そうですよね」


 そう、人には言える事と言えない事がある。


 最初はダンジョンの事、全てを秘密にして誰にも教えないと、数日前までは言っていた様な気がするが、今では結構何でも話しているように感じる。


 この辺で一回引き締めないと美月のような詰まらないミスをしてしまうかもしれなかった。


 そうだ。そう言えば、あれがあったな。


「凛、俺のやった事が気に入らないなら、一つお詫びとして良い物をあげよう。

 それで今日はもう帰っても良いぞ。

 別に今帰ったからと言って、ここのダンジョンを使わせないとか、そんなせこい真似はしないから安心していい。

 ここのダンジョンの管理はダンジョンの会、皆でやる事に決めているからな」


 今の凛は王獣化で体力を消費したばかりで疲れている筈だ。

 それに今なら俺に文句を言うだけで、良い物が貰えるおまけ付き。


 さて、凛はどんな選択をするのかな? 




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― 新着の感想 ―
[気になる点]  まあ、俺の時の10000EPよりは断然マシだろうけどな。         1億では?
[気になる点] あれ?初泥ひろってなくない?
[一言] EP+5000の指輪かな?でもパッシブじゃないから焼け石に水の様な気が・・・効果時間にもよるけど。
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