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赤く染まった紙



 早速、ダンジョン外のウルフ狩りを始めようか。


 その前に伝えておくか。


「凛」


「先輩、まだ何かあるんですか?」


「ああ、一応言っておこうと思ってな。ここのダンジョンの間引きは既にやったから、多分新たなモンスターはダンジョン外に出て来ないと思う」


「そう言えば、全校集会でもそんな事を武田先生が言ってましたね」


「ダンジョンからモンスターが出てくるのは、誰もダンジョンに入らず間引きが行われていないからという仮説だな。俺も多分それで合っていると思っている」


「そうでしたか。なら安心しても良いんですね」


「多分な。でも、もしウルフ以外のモンスターを見つけた場合も直ぐに連絡してくれ」


「モンスターにも人物鑑定をしたいからですか?」


「まあ、それもあるが、問題はウルフ以外のモンスターがダンジョン外に居る事だ。その場合この裏山にはもう一つダンジョンがある可能性が高くなる。1階層にしか入ってないが、見つけているダンジョンではウルフ系のモンスターしか会っていないからな」


「もう一つのダンジョンも先に見つけてモンスターを駆除しないと、裏山にダンジョンの捜索隊が入って両方共見つかってしまうかもしれませんしね」


「そう言う事だ。だから頑張ってくれ、凛」


 出来れば見つかって欲しく無いがな。ダンジョンを2つも管理するとか絶対に面倒だ。


「それよりも先輩」


 それよりもって結構重要な話だったんだけど。


「なんだ?」


「この地図に付いている赤黒い点々は何なんですか?」


「ああそれ、唯の飛沫血痕だ。ほら、これなんて血塗れだろ」


 俺はそう言って凛に赤い紙を見せる。


「何ですか、それは?」


「これはここのダンジョンの1階層の地図になる。ウルフを倒してたら全身血塗れで、その状態で地図を描きながら進んでいたから、こんな感じになった。勿論写しも作ってあるぞ」


 もう一つの写しの地図も凛に見せた。


「返り血は消えないんですか?」


「そう言えば、それも言ってなかったな。 危うくまた制服のまま戦うとこだった」


「私は着替えを持っていないんですが」


 だよな。俺は持っているけど。


「貸そうか? でもサイズが合わないか。なら返り血が出ないように倒すとか。lv一桁のウルフは所詮野犬程の戦闘能力しかないから凛なら出来ると思うけど」


「そう、ですね。返り血を出さないように頑張ってみます。けど念の為に服も貸して下さい」


「分かった」


 通学カバンに手を突っ込んで、マジックポーチから、適当な服を引っ張り出す。


「これが服の上下だ。下着は流石に持って無いから勘弁してくれ」


 男物しか下着は持ってないから、下着の問題は自分で解決してもらいたい。


 俺は服を凛に渡して、そのまま凛に背を向けて離れる。


「着替えが済んだら呼んでくれ」


「はい」


 俺も凛から間に木を挟んで離れてから着替え始める。


「先輩、着替え終わりました」


「わかった」


 俺が着替え終わる頃に、凛も着替え終わった様なので凛の所に戻る。


 着替えた凛を見ると、やはりサイズが大きかったのか、服はぶかぶかになっていた。


「サイズは大丈夫か?」


「大きいですが、ぶかぶかなだけでベルトを締めればちゃんと着れます」


 凛は着ている服やズボンを引っ張って教えてくれた。


「じゃあ、大丈夫だな」


「はい」


「なら改めてウルフ狩りを始めるか」


「先輩、もう本当に伝え忘れている事は無いですか?」


 さっき重要な事を言い忘れていたから心配している様だった。


 まあ、実際にまだ伝えてない事もあるから事実なんだけどな。


 これは教えるより体験した方が早い。さっさとモンスターを倒してみて経験値を稼いでしまった方が良いだろう。


「ある。が教えない」


「え、何でですか?」


 え~、それっぽく言ってみたのに無視かよ?


 凛は教えないと言われた事に不満そうな態度をとる。


「まあ、こればかりは自分で体験しないとな。ウルフ殺しに行け」


「…分かりました。倒しに行ってきます」


 凛は諦めたのか、地図を手に裏山を一人進んでいく。


 俺も遅れない様に少し離れた位置で凛について行く。


ーーー


 ダンジョン外モンスターが居るだろう範囲に入った。


 俺は凛の後ろで何と無く気づかれない様に気配を殺しながら付いていく。


 凛が俺に気付いているかは分からないが、一応そんな素振りはしていないので、多分気づかれてないと思いたい。


 まあ、バレたとしても特に何がある訳でもない。


 神眼の気配感知にウルフの気配が入ってきた。


 そのウルフは凛に気付いているのかいないのか(気付いていないんだろうな)凛の進行方向へ真っ直ぐに進んでいき凛と鉢合わせした。


 凛も途中から近づいてくるウルフには気付いていた様で、気配の大きさから第二開放を使った様だった。


 その後は特に何事も無く、凛がウルフの首へ蹴りを一撃を入れると、首の骨をへし折り即死で終わった。


 すると、凛は倒した直後からおろおろと動揺し始める。


 その様子を確認して、俺は気配を消しながら今居る場所から凛の反対側へ回り込む様に移動し始めた。






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― 新着の感想 ―
[良い点] こんな高い能力が魔力無しで使える方がバグですよねぇ。
[良い点] スキルが使えなくなるのを言わないの好き
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