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こんな事もあろうかと



「美月か」


『はい、美月です』


 美月と一緒に居たのか。それで一緒にモンスターを捜していると。


「咲良はさっきまで教室にいたが、一緒じゃなかったのか?」


 姉妹仲が良いからいつでも一緒に居ると思っていたが。


『実は放課後になった辺りで春ちゃんから「一緒にモンスターを捜しに行こう」と言うメールを私と咲良が頂いて、一緒に行く事になったんですけど。どうせなら凛ちゃんも誘おうと思いまして、咲良は凛ちゃんの教室に行っています。さっき断られたとメールがきていたので、もうすぐ合流する筈ですが』


 やはり春の方から誘ったのか。まあ、美月達なら安心して任せられるな。


 例え逸れに遭遇したとしても、全員で逃げきるくらいは出来るだろう。何なら返り討ちにしてもいい。


 それにしても、ごめんな。

 小池さんが誘いを断ったのは俺の所為だよな。


 今からでも小池さんをそっちに行かせたいが、小池さんは今体力の限界で、合流したとしても完全に足手纏いだろう。


「小池さんは俺と居るよ。モンスターを倒させてあげようと思ってな。多分先に約束していた俺の方を優先したんだと思う」


『そうでしたか。なら今から合流しますか?』


「う~ん、まだダンジョンの事を春には話してないんだよな」


『私は早めに打ち明けた方が良いと思いますが?』


「今どこに居る?」


『まだ私の家です。咲良を待っていますので』


 今は佐久間家か。しょうがないな、今日やらかした美月が一緒に居るんだ。

 もう既にバレていてもおかしくなかったと考えれば、別に良いか。


「明日、俺の知っているダンジョンに連れて行ってやるから、今日の所は大人しくしていろと伝えておいてくれ」


「分かりました。伝えておきます」


「それじゃあ」


「はい」


 通話を切る。


 あとは小池さんが起きるのを待つだけだ。


ーーー


「んっ」


 30分ぐらいすると、凛は目が覚めた様で起き上がった。


「おはよう、凛」


「おはようございます。 先輩に呼び捨てを許した覚えはありませんが」


「まあ、いいだろ。俺が勝ったんだから」


 負かした相手をいつまでもさん付けして呼ぶ気分にはなれないし、舐められると思ったので、思い切って下の名前を呼び捨てにする事にした。


「分かりました。それで、勝った先輩は私をどうしたいんですか?」


「どうすると言われてもな。俺は唯秘密を守ってほしいと言っていただけだからな。人物鑑定が使える事が知られなければそれで良い」


「そうですか。私も先輩が王獣化についての秘密を守っていてくれたら、それでいいです」


 凛はそう言い終わると、立ち上がり裏山から出て帰ろうと歩き出す。


 もう少し俺の力について色々と聞いてくると思っていたが、何も聞いて来ないのか。


「凛、ちょっと待って」


 俺が呼び止めると、凛は立ち止まり振り返ってくれた。


「まだ、何かあるんですか?」


「いや、俺が勝ったから、一つ手伝って欲しい事があるんだけど」


「嫌です」


「モンスター狩りを」


「手伝います」


 凛には俺と一緒に狼狩りをしてもらう。


ーーー


 凛にこの裏山で未発見ダンジョンを見つけた事。

 そのダンジョンからモンスターが出てしまっている事。

 モンスターを早く始末しないと折角の未発見ダンジョンが見つかってしまう事。

 そして狼狩りを手伝って欲しい事を説明した。


「分かりました。手伝えば、そのダンジョンを私も使っていいんですよね」


「良いと言うか、ダンジョンの会の皆で管理していこうと考えてる。だから、早くダンジョン外に出ているモンスターを倒し尽さないと、バレて使えなくなるから、凛も頑張れよ」


 まあ、それだけじゃないんだけどな、君の場合は。


「それでそのダンジョンはどんなモンスターが出るんですか?」


「基本はウルフというモンスター名の狼だけだ。強さは野犬程度で凛なら余裕だろう。あとは偶に逸れという言うlvの高いウルフ系モンスターも居ると思うから、出会ったら連絡してくれ」


「番号知りません」


「はい。これが俺の番号」


 俺はスマホの携帯番号を書いた紙を凛に渡す。


 そんな事もあろうかと、言われると思っていたので、予め書いておいた。


「私ではその逸れには勝てませんか?」


 もう自信満々に勝てるとは断言しないか。


 そう下を向きながら聞いてきた凛を見て、自信を取り戻させてやるべきかと考えたが、今の凛はこれくらいが丁度良いだろう。


 有効打撃とはいかなかったが、俺に何発か入れていたので、完全な自信喪失とはなってない筈だ。


「今の段階の逸れなら遭遇しても死にはしない。俺に連絡してくれればそれで良いから。 それと明日には俺の妹がここに来るから、掃除は今日中に終わらせておきたい」


「そんな事より、この広い裏山全てを探すんですか?」


 そんな事もあろうかと、第2弾。


「はい、これ」


 作っていた裏山の地図を凛に渡す。


「これはこの裏山の地図ですか?」


「そうだ。ここにダンジョンがあって、丸の範囲がダンジョン外でウルフを見つけた範囲、大きい丸が今のダンジョン外にウルフが居るだろうと思われる範囲だな」


 朝から時間が経っているので、このくらい範囲を広げておけば、狩り残しも無いだろう。1.5倍の範囲でも広いくらいだ。


「分かりました」


「なら早速ウルフ狩りを始めよう」


「はい」





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― 新着の感想 ―
[気になる点] 天と王は同格なんだろうけど神の能力に王が気付くのは微妙に気になる
[一言] 一匹ウルフを倒してLvが上がって、スキルが使えなくなりパニック迄のお約束準備ですね
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