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lv制でなかったのか?



 第五開放を使った小池さんは耳や尻尾だけではなく、靴を脱いだ足先から膝までと手先から腕の肘までが毛皮で覆われ、手と足の平には人間に合わせた様な肉球まで付いていた。


 よく見ると、瞳の瞳孔も猫の様に縦に細長くなっている。


 隠れてはいるが、猫なら鋭い爪もありそうだ。


「では、時間が無いので急ぎます」


 第五開放には時間制限があるのか。


 これまでの流れだと、lv50相当の身体能力を発揮する筈だ。


 まあ、それでもlvアップの恩恵を使うつもりでいる俺には余裕で対処出来るレベルだと思う。


 小池さんは時間が無いと言っていた割に中々向かって来ないな。


 と思っていたら溜めを作っていた様で、次の瞬間には小池さんが消えて、砕けた地面だけが残った。


 緩急で消えた様に見えたが、神眼にははっきりと小池さんの姿が捉えられている。


 右側から接近してきた小池さんは、明らかにlv50なんてモノでは無いスピードで飛び蹴りを放ってきた。


 流石にlv0の相手が俺に迫る動きをするとは思っていなかったので面食らった。


 まだ避ける体勢が出来ていなかった俺は、腕をクロスして飛び蹴りを受け止めた。


 小池さんは俺に受け止められたと分かると、直ぐにそこからは速度を生かした手数の多い連撃に切り替えて攻撃を続ける。


 最初は面食らったが、攻撃の威力までは劇的に上がっている訳ではなかったので、比較的簡単に受け止める事が出来た。


 速度の方は驚異的な速さだったが、まだ俺の方が上だろう。


 神眼の空間把握で見ていれば、全て問題無く避ける事が出来た。


 推定速度は約lv60くらいだ。力が約lv40。耐久は不明だが多分もっと低いだろう。


 この王獣化(猫)は速度特化型の獣化なんだと思う。


 能力はあるlv帯までそれぞれの獣化に合った身体能力を引き出すスキルなんだろうな。


 皆がlvを上げて平均的なステータスの所を、わざとバランスを崩して特化型のステータスに作り替える事が出来る。


 だから、lv40以上になってこのスキルを使うと、速度特化で速さが上がるが、逆に耐久力が下がり打たれ弱くなる。


 この猫獣化は、リスキーな使い難いタイプ獣化なようだ。


 まあ、低lvの時なら十分に無双が出来る強スキルだから、使い難くなったら使わなければ良いだけの話だ。


 俺のユニークスキルはパッシブな上にオンオフすら出来ないクソスキルだけどな。


 小池さんの攻撃速度にも慣れてきたな。


 ふはは、ふはははは、ふははははははは!


 小池さんの動きに慣れて、唯避けるだけでは詰まらないから、揶揄おうと小池さんが攻撃する度に空間把握でギリギリで避けて小池さんの背後に回り込んで残像だごっこをして遊んでいた。


「ぐふぅ!」


 そして、3回目ぐらいでタイミングを合わされ、回し蹴りを横っ腹に受ける。


 最初の時と同じ様に地面を転がる。自業自得だった。


 今度は10回転はしていたと思うけど。


 さて、お遊びはこのぐらいにしよう。時間制限がある様だから、それまで空間把握無しでも小池さんの猛攻に対処出来る様になろう。


 耐久力がどのくらいか分からない今、下手に攻撃するのは危険なので反撃はしない。


 レッドウルフの時も最初は手加減に失敗して、半殺しにしてしまったからな。

 

 気を付けないと。


ーーー


 それから、空間把握を使わずに小池さんの攻撃を避ける練習が始まった。


 数回、殴られたり蹴り飛ばされたりとされたが、段々とlvアップの恩恵にも慣れていき避け続ける事が出来てきた。


 そして、小池さんが第五開放を使ってから5分が経過すると、小池さんの獣化が解けていった。


 小池さんは体力の限界が来たのか眠る様に気絶するので、倒れる前に身体を支えて横に寝かせる。


「時間制限は体力の事か」


 もしかしてこれは起きるまで、待ってやらないといけない展開か?


 1時間だけ待つ事にしよう。


 それで起きなかったら叩き起こして、それでも起きなかったら家に持って帰ってから美月に連絡するなりすれば良いか。

 家なら母さんが居るので車も出してもらえるからな。


 さて、この暇な時間に簡単な考察をして時間を潰そうか。


 この王獣化の体力の問題は、lvを上げていけば解決するのか?


 これは実際にlvを上げていかないと分からない。


 体力=使用時間という事は、使用時間を制御すれば毎回気絶なんて事態にはならない筈だが、今回は相手が格上だったからしょうがないか。


 まあ、ギリギリまで使えば、どの道気絶しなくても残りの体力が少なく、満足に戦う事は出来ないと思うけどな。


 それよりも問題なのは、力の調節が出来ていない事だ。

 周りの地面や木々も巻き込んでこの周辺がボロボロになってしまっている。


 これが単純に練度が足りないからかもしれない。一回の練習時間が5分程度では、力に振り回されるのも仕方ない。


 そう考えると、小池さんはいきなり身体能力が上がった割にはちゃんとした戦いが出来ていたな。

 これも佐久間の門下生だから出来る事なのかもな。


 それにしても、俺も小池さんの事を舐めていた。王獣化(猫)と言うスキルの事も含めてな。


 小池さんが自信満々だった事にも納得がいった。


 慶にも勝てると言った時には、流石に自惚れが過ぎると思ったが、ここまでのスキルならそう思ってもおかしくはなかった。


 それに、何が小池さんは俺を殺す心配をしていないから、スキルも大した事がないんだ。

 

 全然大した事あった。第五開放なんてかなり面食らった。全然殺せたよな。


 小池さんが俺を殺す心配をしていなかったのは、スキルの能力が段階式だったからだ。


 相手によって調節が出来るスキルだからこそ、殺す心配をしていなかっただけの事だ。



 





 

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