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果たし合い前



「あと五分」


 咲良がそう呟いたので時計を見る。


 昼休みの残り時間が咲良の言う通り、後5分だった。


「もうそんな時間か。俺はもう行くから、あとは適当に解散という事で」


 俺は4人にそう言って立ち上がる。


「なら俺も光希と一緒に教室に戻るかな」


「私達は昼休みが終わるまでここにいます」


「ん」「はい」


「じゃあ、お先」


 俺と慶を後片付けをしてから、屋上を出て教室に戻る。


ーーー


 屋上に残った3人はお喋りを再開する。


「先輩は基本無口で何考えているか分からない人ですね」


「光希さんですか? そんな事は無いと思いますけど、いつも考え事をしているイメージはありますね」


「ん」


「それで、先輩の性格って分かりますか?」


「性格ですか? う~ん、性格は感情的なようで冷静、他人に色々な事を話しますが隠し事も多い、アニメや漫画に詳しい、自然が好き、そして兄さんみたいな対等な相手には遠慮がないという所ですかね」


「ん、女顔、強い、直ぐに死にそう、お人好しじゃないお人好し」


「占いの結果みたいな性格ですね。冷静、秘密主義、強いのは分かるけど、直ぐに死にそうとお人好しじゃないお人好しって何ですか?」


「咲良が言いたいのは多分、光希さんにとっては自分の命の価値が低いんじゃないかな? と兄さんが前に話していたので、その事ではないでしょうか? 危険と分かっていてもやめないですからね」


「ん、合ってる。光はお人好しみたいな事もするけど、お人好しだからやっている訳じゃない。理由がある」


「成る程。なら先輩の強さについてですが」


 そうして、残りの休み時間は放課後の為か、ひたすら凛が光希について二人に根掘り葉掘り聞くだけで終わった。


ーーー


 授業が終わり放課後になる。


 さて、小池さんと裏山に行こうかと思ったが、約束はしたが待ち合わせはしていなかったな。


「じゃあまた明日な」


「また明日」


 慶が教室を出ていったのを見送り、どうするか考える。


 そうだな。咲良に俺が昇降口で待っている事をスマホで連絡して伝えてもらおう。


 咲良に電話をかけると、直ぐに繋がった。


「もしもし、咲良」


『ん』


「咲良に少し頼み事がある」


『ん、何?』


「小池さんに伝えてほしい」


『凛なら、隣にいる』


「なら、代わってくれ」


『ん』


『代わりました。先輩』


「小池さん。約束の待ち合わせ場所を決めてなかったから、連絡させてもらった」


『そうですか。それで何処にするんですか?』


「部室棟を出て、直ぐの校庭で待っている」


『分かりました。私も今から向かいます』


 俺は通話を切ってから、部室棟に向かう。


ーーー


 校庭に入った所で小池さんを待っていると、小池さんが小走りで来た。


「お待たせしました、先輩」


「いや、そんなに待ってないよ。さて早速裏山に行こうか?」


「はい」


 流れ的に、俺が先導する事になった。


 校庭を横断して裏山に入る。


 森の中を俺が前を歩き、小池さんがその後ろから付いてくる。


 その移動途中で小池さんが話しかけてきた。


「先輩」


「何だ?」


「先輩はどうして私に勝てると思っているんですか?」


「俺、そんな事言ったか?」


「いえ、でも態度で分かります。先輩はこの後の事を全く心配していませんから」


「そうか」


 態度で分かるか。まあ、実際に負ける要素は無いからな。それはしょうがないかもしれない。


 俺が神眼を使ってまで態々勝てる相手にビビっている演技をする必要が無かった。


 俺は口よりも先に手が出ると言う程短気では無いが、口の後に中々話が進まないと手が出るような奴だとは、自分の事をきちんと認識しているからな。


 見れば態度で誰でも分かってしまう事か。


ーーー


 裏山に入って暫く経った。


「この辺で良いか。そう言えば、さっきのは質問だけど、俺が何で小池さんに勝てると思っているかだったよな」


「はい」


「それは勝てると確信しているからだよ」


「意味が分かりません。私は私の方が強いと思います」


 小池さんは不満そうな表情で話しているが、油断した様子はなく、いつでも相手に出来ると言う自信も一緒に伝わってきた。


「俺が君に勝てると思っている訳はそういう所だ」


「?」


 俺の言っている意味が分からないのか、小池さんは不思議そうに首をかしげる。


「君が俺に絶対勝てると思っている事だよ」


「でも、それなら先輩も同じじゃないですか」


「違う。俺は自信満々の君だからこそ、俺の方が強いと確信しているんだよ」


 小池さんは俺を殺してしまう危険性を全く感じていない。

 という事は、王獣化(猫)の能力は一撃必殺系のスキルでは無い。


 それに神眼の様にかなりのEP消費するスキルは、神眼がEP総量が1億を越えるまで進化しなかった。


 EP総量がスキルに追いつかないと、スキルが進化しない事も分かっているので王獣化(猫)の能力も高が知れている。


「やはり意味が分かりません」


「分からないなら、君が言っていた教育とやらの出番だな」


「…そうですね。私が勝てば先輩の言っていた事は全て戯言だという事が分かります」


 自信満々だな。やはり俺が負ける心配は無さそうだ。


 小池さんには悪いが、折角の機会だ。色々と試させてもらう。


 慶に勝てる程の自信があるのなら、ある程度は戦える筈だ。


 それなら俺の簡単な能力テストに付き合ってもらおう。







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― 新着の感想 ―
[良い点] 果たして『王獣化(猫)』の能力とはどんな能力か。 自信満々ですね、この娘。 まぁ、わかる気もしますがね。 さて、どうなるか。 [一言] 『モフ』くらいなのか『モフモフ』くらいなのか。
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