新しいハウス
マジックポーチから洗剤を取り出して、ダンジョンに入って直ぐの出口手前辺りに洗剤を道を塞ぐように盛った。
人間なら唯踏まないように歩けば良いだけだが、スライムにとっては、この洗剤は絶対に乗り越えられない壁になる。
こうしておけば、万が一間引きが失敗した時でもスライムが外に出るのを防げる筈だ。
やり残した事も終わったので、レッドウルフを抱えて試練の扉がある部屋まで向かった。
ーーー
到着した。
道中のスライムは勿体無かったが洗剤を軽く撒いて倒した。
今度、海にでも行ってマジックポーチに無料の大量の砂を入れに行こう。
「よいしょっと」
レッドウルフを地面に下ろす。
ロープを解いてから、ブルーシートを剥がしてやる。
「まだ気絶したままか」
そんなに強く殴った覚えは無いんだけどな。実際気絶させた時にダメージは殆ど与えていない。
「大丈夫だよな?」
一応鑑定して生死を確認する。息してるけど。
【種族:逸れレッドウルフ
性別:メス
lv: 31
スキル:噛み付くⅤ 引っ掻くⅢ 嗅覚Ⅱ
威嚇Ⅲ(MP300) 火息Ⅰ(MP100/20秒)
HP:22977/28485
MP:285/665 】
HPはちゃんとある。MPも火息Ⅰで消費した分が回復してきてるな。
命に別状は無さそうだ。
今の内に準備を済ませるか。
レッドウルフを縛っている魔鉄の鎖も外す。
外した魔鉄の鎖を今度は首に巻き付け外れないように結んだ。
本当はちゃんとした首輪が欲しかったが、lv31の相手の力に耐えられる首輪が売っている筈がない。
それにダンジョンのドロップアイテムでも、首輪なんて物は今の所ドロップしていない。
念の為、首に巻き付けた鎖の輪が重なっている位置に返しの付いた短剣を挿し込む。これで鎖や短剣を破壊しない限りレッドウルフは抜け出せない。
一応この短剣も鑑定しておくか。
【名前:魔鉄のナイフ
状態:良
効果: 】
効果無しか。種類は短剣ではなくナイフだったか。
このナイフは片刃で剣身の先端の背に返しの刃が付いている。鎖の輪に差し込めば鎖から外れない。
首輪のストッパーにはちょうど良かった。
そして首輪として巻いた魔鉄の鎖の反対側を、その部屋にある供物の杯の括れに巻き付ける。
さっきと同じ様に鎖の輪が重なっている位置に短剣を挿す。
返しの付いた短剣は品切れなので、ついでに後2、3本追加で挿しておくか。
一応鑑定もしてみたが、効果の付いている短剣はコレぐらいのものだった。
【名前:魔鋼のククリ
状態:良
効果:麻痺 小 】
まあ、短剣ではなくククリナイフなんだけどな。ククリナイフは剣身がブーメランの様にくの字に曲がったナイフで見た目だけなら俺の一番好きな短剣だった。
効果は麻痺の小とあまり強くは無いが、便利そうな効果をしていた。
今は所詮1階層で手に入れた物ばかりだが、これから下の階層に行くに従って、効果の高いドロップアイテムも増えていくと思うと期待が膨らむな。
さて、レッドウルフに付けた鎖がちゃんと外れないかの確認をしないとな。
俺はレッドウルフが目を覚ますのを離れて待つ事にした。
レッドウルフが起きた時、側に俺が居ると逃げようとするかもしれないので、開いたままの試練の扉を入って、終末の使徒レプリカが居た奥の玉座で待機しておく。
ただ待っているだけでは時間の無駄なので、少し神眼を使って神槍の再現、適応の稽古をして時間を潰すことにする。
この稽古は極度の集中状態になる。無音のこの空間では稽古を始めると、多分ぶっ倒れるまで気づかずに稽古を続けてしまう。
1時間後にアラームをセットして稽古を始めよう。
ーーー
タイマーのアラームが鳴ったので、稽古をやめた。
ジャリン!ジャリン!
鎖が引っ張られる音が聞こえる。
「起きてたか」
全く気づかなかったな。アラームの音はきちんと聞こえたのに何で気付かないんだろうな?
テントを壊された時も寝たまま気づかなかった。目覚ましが鳴れば簡単に起きれるのにな。
俺にとって機械音は耳障りで集中力が切れるのかもな。
スマホで音楽を聴きながら稽古をしても、特に気にならなかった。
「ん~謎だ」
まあ、それよりもさっきから暴れてるレッドウルフの様子を見に行くか。
マジックポーチに槍を仕舞ってから、タオルと着替えを取り出して汗だくの体を拭いてから着替えた。
俺は気づかれない様にレッドウルフの方へ近づいて行き、視認できる位置で止まり様子を見る。
ーーー
30分ぐらい様子を見た。
レッドウルフではこの鎖から逃れられないな。
レッドウルフが引っ張っても魔鉄の鎖は切れそうに無かった。
鎖を噛み付くⅤで破壊しようとしても、噛み付こうとすると魔鉄の鎖から黒いオーラが出てレッドウルフを押さえつけて触れられない様だった。
この黒いオーラは魔鉄の鎖の効果、束縛 小だと思う。
効果は縛られている相手が縛りを解こうとすると発動する力だ。
鎖だけでなくストッパーとして挿している短剣にレッドウルフが触ろうとしても束縛が発動している。
効果は小だがレッドウルフの今のlvでは抗うことが出来ないレベルの力のようだ。
まあ、この束縛は鎖に直接又は間接的に触ろうとすると発動する力の様なので、火息Ⅰを鎖に当てるだけなら束縛は発動しなかった。
その火息もスキルレベルが足りないのかあまり効いた様子はなく、レッドウルフは鎖から抜け出す事は出来なかった。




