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狼輸送中



 レッドウルフはここで置いていかないと。


 流石にモンスターを担いで住宅街に入れば、例え100m以上離れたとしても誰かに見られる可能性がある。

 大きな生き物を担いでる事くらいは分かると思う。


 でも、いつ目を覚ますかもしれないlv31のモンスターを放置は出来ない。


 ここから俺の家まであまり遠くないから、逃す事態は避けたい。


 と言う訳で、この気絶させたレッドウルフを簡単に梱包していきます。


 まずはレッドウルフが途中で目を覚ましてしまった時の為縛り上げておこう。lv31の力を抑えるには普通のロープでは駄目だ。


 マジックポーチに放り込んである使わないと思っていた、鎖のドロップアイテムを取り出した。


【名前:魔鉄の鎖

 状態:良

 効果:束縛 小  】


 御誂え向きの効果だな。効果は小とあまり期待は出来ないが無いよりはマシだ。


 レッドウルフの手足と胴を魔鉄の鎖でぐるぐる巻きにする。それに火息も使えない様に口も鎖を巻いていく。


「これでよし」


 後は見た目でバレない様にブルーシートで包み、今度は普通にロープで縛る。


 これでパッと見た感じでは生き物には見えないだろう。

 

 いや、もしかしたら死体袋に見えない事もないか?


 まあいいか、ほんの短い間だけの事だ。それに神眼の気配感知で誰にも近づくつもりはない。


 梱包の済んだレッドウルフを担ぎ上げ、俺は住宅街を通って家に帰る。


ーーー


 家に着いた。


 レッドウルフを家に持ち込む訳にはいかないので、ガレージの横に置いておき、玄関の扉を開けて入る。


 神眼の気配感知のよると、家の中には母さんと春がリビングに居る。父さんはガレージに車が無かったので、まだ家に帰ってないんだろう。


 俺は階段を上がり自室に入った。


 学校の鞄を机に置いて、制服から私服に着替える。そして鞄からマジックポーチを取り出して腰に付けた。


 部屋を出て一階のリビングに行く。


「ただいま」


「「お帰り」~」

 

 母さんと春は録画してあるバラエティ番組を見ていた。


「これからちょっと出掛けてくるから」


「光ちゃん、何処行くの~?」


「ああ、ちょっとね。帰って来るのは多分20時ぐらいになると思うから」


「そう~、なら今日の晩ご飯はどうするの~?」


「帰って来てから食べるよ。晩御飯は先に食べておいて」


「それなら良いわ~、出来るだけ早く帰って来なさいよ~」


「わかった。じゃあ行ってくる」


「いってらっしゃい~」


「いってらー」


 母さんと春に見送られ、リビングを出た。


 何処に行くかを聞いたのは晩ご飯をどうするのかに心配だったのか。


 一瞬母さんは俺が何しに行くか気づいているのかと思った。


 まあ、バレてないならそれで良い。

 もしかしたらバレても警察への連絡は避けられるかもしれないが、その代わり絶対に春がダンジョンへ行きたがるだろう。


 ダンジョンに行きたがるのは面倒だがこの際別に良い。

 しかし、俺はあのダンジョンをまだ1階層しか知らない。せめてある程度の階層までを網羅してから春をダンジョンに連れて行きたい。


 ダンジョンが民間に開放されていれば、春が入る前に幾らでも人柱が居るので俺が態々ダンジョンを確認しなくても大丈夫なんだけどな。


 まあ、開放前にダンジョンに連れていくとしても、スライムダンジョンの方ではなく、別のダンジョンに連れて行くけどな。

 スライムダンジョンの方は最後の砦だからな。


 まだバレた訳でもないので、そこまで心配する事でもないか。


 さて、今はガレージの横に放置しているレッドウルフをどうにかする方が先だな。


 玄関から家を出て、ガレージに戻る。


 俺はガレージ横のレッドウルフを自転車の荷台にバランスを取りながら何とか縛り付ける。


 縛り終わったら、早速俺の管理しているスライムダンジョンへ向かった。


ーーー


 森の前まで来た。荷台からレッドウルフを下ろして、自転車を近くに停めておく。


 レッドウルフを担ぎ、森に入ってダンジョンに向かう。


 森に入ってダンジョンに着くまでの間、神眼の気配察知に気を配りながら移動していたが、ダンジョン外に出ているモンスターは見当たらなかった。


 ダンジョンに着いたので、一旦レッドウルフを下ろす。


「まだ起きていないな」


 一先ずレッドウルフは放っておいて、ダンジョンの確認をする。


 俺のダンジョンからスライムが出た痕跡を調べる。


 あのスライムという生き物は、基本地面以外なら何でも食べたり溶かす(洗剤は例外)。そんな生物がこんな雑草の生い茂る場所を通ったら雑草が不自然に消えている場所があるはずだ。


 その痕跡が無いのなら、まだこのダンジョンからスライムは出てない事になる。

 少しの間、探してみたが痕跡は何処にもなかった。


「まだ大丈夫という事か」


 世間でダンジョン外にモンスターが出るのを知られていない事と、このダンジョンからスライムが出てきた様子が無い事から、やはりダンジョン外にモンスターを出さない方法は間引きで良さそうだった。


 ダンジョンは何が何でも人をダンジョンの中に行かせたいんだな。

 逸れモンスターを出さない為にも全てのダンジョンで間引きをする必要がある。国も大変そうだな。


 俺は自分のダンジョンをしっかり間引きして管理するので、他のダンジョンは頑張ってもらいたかった。


 それはそうと、このレッドウルフをどこで飼う事にしようか?


 まずダンジョン内に飼うのは決定だ。問題はダンジョン内のどこで飼えば良いのかだ。


 スライムとレッドウルフが戦ったなら、まあレッドウルフが勝つよな。


 でも、勝てるのはMPがある間だけだ。レッドウルフの火息を使えばスライムを簡単に倒せる。


 しかし、火息が無かったり使えない状態なら?


 うん、勝てないな。


 lv差のお陰で死ぬことは無いだろうが、スライムの方も物理攻撃が通じる相手には見えないので、勝負がつかないと思う。


 スライムが湧かない場所で飼ってやった方が良いな。


 モンスターの湧かない場所。思い付くのは隠し部屋ぐらいだ。


 1番広い部屋は試練の扉がある場所だ。あそこなら鎖を縛っておくのにちょうど良い物もあった。


「決まりだな」


 俺はレッドウルフを担ぎ、試練の扉がある部屋まで向かう。


「っと、その前にやる事があったな」





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― 新着の感想 ―
[気になる点] の気絶させたレッドウルフを簡単に梱包していきます。 ?マジックポーチに入れていけばいいのでは
[気になる点] 気絶したレッドウルフはマジックポーチに入れられなかったんですか? 森に着いた時に、自転車はマジックポーチに入れないのですか?
[良い点] 読み応えがあって面白い [一言] 前話から引き続き、なかなか猟奇的な思考回路しててこの主人公好きw
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