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実は知っていた



 入学式も終わり教室に戻ると、俺は適当に授業を受けた。


ーーー


 授業を2時間受けて、昼休みになる。


 俺は席を立つと、慶に近づき声を掛ける。


「俺は購買で何か買ってから行くけど、慶はどうする?」


「俺は弁当を持ってきているから大丈夫かな」


「そっか、じゃあどこで食べる事にする? あの話をするなら、あまり人が居ないところが良い」


「中庭だな。俺は先に中庭に行っているからな」


 慶はそう言うと、カバンから弁当箱の包みを取り出して、それを持って教室を出ていった。


 俺もさっさと購買で適当に買って中庭に向おう。


 購買に行くと、繁盛している様で生徒達が並んでいた。


 これでも三年が卒業したので今日は少ない方だ。


 列に並んで順番を待ってから、購買でサンドイッチを買い、外の自動販売機でコーヒーも買う。


 サンドイッチは沢山余っているのを適当に選んだら、サラダサンド系のサンドイッチばかりのヘルシーな昼食になってしまった。


 買った物を持って中庭に行く。


 慶を探すと、慶は日陰が無い人気の無さそうなベンチで俺を待っていた。


「慶、遅くなった」


「ああ、別にいいよ」


 俺は慶の隣に座り、買ってきた物を隣に置く。


「それにしても、こんな場所で食べるのか?」


「光希が人の少ない場所って言ったから、態々こんなに太陽光の当たる不人気な場所にしたんだよ」


「確かに言ったけどな。別に中庭でなくても良くないか?」


「いや、俺は中庭で食べたい」


「どっちだよ。はあ、もう良い」


 早々に諦めて、このベンチで昼食を食べる事にする。


 俺は慶と昼食を取りながら、ダンジョンの事について話す。


「慶。昨日の小鬼の件だけど、ダンジョン外にモンスターが出ているなら、小鬼の居たあの周辺にまだ未発見のダンジョンがある事になるよな」


「ああ、俺もそう思う。ダンジョン外にモンスターが出るのは、多分誰もそのダンジョンに入ってないからだと思う」


「うん。それでそのダンジョンはまだ俺達が見つけた訳じゃないがどうする?」


「見つけて自分達の物にするか。それとも警察に通報するかって事か?」


「ああ、俺達で管理して行くのなら、ダンジョン外にモンスターが出ないように、定期的にモンスターの間引きをしないといけない。でも、あの場所までは俺の家からは1時間ぐらい、慶の家からでも30分は掛かる場所だからな」


「遠くて管理が面倒だな」


 慶がそう言って俺の事を見つめてきた。


 えっと、見つめられても困るんだけど、どうすれば良いの?


「警察に任せようか、光希」


「あ、うん。遠いしな。それでまた他の未発見ダンジョンでも探すか」


 だから何見つめてきてんだよ、慶。


「光希。あっさりと引き退るんだな」


「ん?」


「いつもの光希なら、移動距離たったの1時間ぐらいで折角見つけたダンジョンを諦めるとは思えない。それに光希の昨日の動きはほんの少しだけぎこちなかったな」


「え、えっと」


「光希、お前。未発見ダンジョンを持ってるだろ」


 慶に気づかれた! 


 流石に俺があっさり引き退るのは不自然だったか。

 春にも同じ様な事を言われていたからな。


 動きも人の前では、空間把握能力を使って以前の動きを再現していたと思っていたが。


「ぶっちゃけ、多分ユリも気づいてると思うよ」


 流石、佐久間家の住人。皆んな超人揃いだな。


「マジか~。その内、慶にはバレると思っていたけど、ユリさんにも気づかれているのか」


「ああ、多分な。美月や咲良なら誤魔化せるけど、俺やユリが相手なら気付く。上がった身体能力を誤魔化していたんだろうってな。でも今日は動きには違和感が無いな、特訓でもしたのか?」


 気づかれたのは慶とユリさんだけか。まあ、それぐらいなら問題ないだろう。


 ダンジョンの場所まではバレていないしな。


 そして、今日の動きに違和感が無いのは、多分朝の稽古で使えるようになった神眼の再現能力のお陰だろう。


 空間把握よりも自身の身体限定で性能が上がった能力だな。流石の慶でも見分けがつかない、以前の動きが再現が出来ているだろう。


「まあな。しかし慶だけなら兎も角、ユリさんもか」


「昨日会ってたら、母さんも気付いていたと思うよ」


「皐月さんも分かる人なのか。なら被害は少ない方だな」


 昨日、慶の家でユリさんだけにしか会っていないのは不幸中の幸いだった。


「で、光希のダンジョンは何処にあるんだ?」


「言わないよ。慶だって自分の知っているダンジョンを教えてくれないだろ」


 まあ、予想は出来ているけどな。


「俺の方もバレているのかよ」


「ああ、俺は昨日慶が戦っている時に気づいた」


 嘘だけど、昨日ステータス見た時点に気づいた。


「あの小鬼と戦っている時か。上手く誤魔化せたと思ったんだけどな」


 本当に上手く誤魔化せてたな。俺が鑑定を使えなかったら今でも騙されていただろう。


「まあ、お互いのダンジョンの事は置いておいて、小鬼のダンジョンの事を先に話そう」


「分かった」


「さっき慶が決めたように警察に任せるって事でいいか?」


「俺は良いよ、光希は?」


「俺も警察に任せる。あそこは遠いから間引きが面倒だ。今管理しているダンジョンの間引きもしていかないといけないのに、あんなに遠くのダンジョンまで管理したくない」


「だよな。ダンジョンからモンスターが出ると分かった今、自分のダンジョンの管理を徹底しないといけないからな。外部のダンジョンに構っている暇が無いよな」


「じゃあ、小鬼のダンジョンは国に管理を任せるって事で」


「ああ、警察には俺の方から連絡するわ。佐久間家の門下があの山で鬼を見つけたので殺したって通報しとけば、後は警察が勝手に探してくれるだろ」


「それで納得してもらえるって、佐久間家すごいな」


 これで小鬼のダンジョンの件は片付くな。





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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公が所持してる 神眼のスキルと呪いみたいなスキル 教官とかに向いてそうな 組み合わせですよね
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