ダンジョン外モンスター
ダンジョン外にモンスターを出さない事が一番だが、どうしても国内の何処かのダンジョンで漏れてしまう事は避けられないと思う。
実際に既に小鬼が居た訳だしな。
それに未確認だがモンスターがダンジョン外に出る事によってlvが急激に上がると言う現象が起きるかもしれない。
まあ、もしかしたら逸れモンスターだけが特別なのかもしれないけど。
しかし、例えば終末の使徒レプリカの様に、既にスキルが完成されているモンスターがその特別な逸れになったらどうなるか。
逸れはスキルの変化はしないみたいだが、lvが急激に上がる。
小鬼の時は多分逸れになった影響でlvが倍以上に膨れ上がった。
それなら終末の使徒レプリカの場合、lvは99だから逸れになると、lvが198に跳ね上がるかもしれないって訳だ。
もう勝てるとか勝てないとかの次元じゃない。
まあ、幸いスライム系統のモンスターだけは、弱点が分かっているので、文字通り死ぬ気で頑張れば倒す事も可能だとは思うけどね。
逸れについて悩んでいたら、いつの間にか家に着いていた。
自転車を停めて玄関から家に入ると、そのまま階段を登り自分の部屋に入る。
マジックポーチを腰から外して机に置き、ベッドに腰掛ける。
「なんか今日も疲れた気がする」
明日も学校があるから、今日はもう適当にご飯を済ませて休む事にする。
着替えを持って部屋を出ると、風呂場に行きシャワーを浴びる。
シャワーを浴び終わったら、台所に行き冷蔵庫から食パンを取り出す。
食パンにジャムを塗り牛乳と一緒に食べた。
「小学校の給食を思い出すな」
パンと牛乳の組み合わせは、よく給食で食べていたからな。美味しくはなかったけど。
「母さん」
ソファでテレビを見ている母さんに声を掛ける。
「な~に?」
「晩御飯は適当に食べたから。それと今日は疲れたから、もう部屋で休む事にするよ」
「そう、分かったわ~。晩御飯のカレーは明日の朝にでも食べてくれればいいからね~」
「わかった」
返事をして俺は自分の部屋に戻る。
ベッドに寝っ転がり部屋の時計を見上げるが、時間はまだ19時前だった。
休むとは言ったが、もう寝るとは言っていない。
疲れた事は本当なので、部屋の電気を消して、いつでも寝る事の出来る状態にする。
睡魔が襲ってくるまでは考え事でもしていよう。
下山途中や帰り道では、あまりゆっくりと考える時間が無かった。時間が出来た今、一旦状況の整理をしてみる。
まず今日は始業式で午前中に学校が終わった。午後から慶と会う約束をして佐久間の屋敷に向かう。
その屋敷からは慶と一緒に未発見のダンジョンを探す為、まだ発見情報の無い、ここらで一番大きな山に未発見ダンジョンを探しに行った。
山では以前俺が作った地図を元に前と変わった地形の場所が無いかを調べた。
しかし、未発見ダンジョンを3時間も探し回ったが結局見つける事が出来なかった。
日没の時間も考えて下山をしている時に神眼の気配感知に反応があり、近づいてみると小鬼と言うモンスターだった。
その小鬼が襲いかかってきたので軽くあしらうが、ユニークスキルの所為で慶の前では倒す事が出来なく、慶にバトンタッチ。
慶は小鬼と戦うが、慶も人前ではlvアップの恩恵を使いたく無い様で、lv0の時と同じ身体能力のまま小鬼の相手をしていた。
それでも流石に身体能力にlv20もの差があれば攻撃は通用しない。
俺は慶がlvアップの恩恵を使うのかと思っていると、慶は小鬼の柔らかい眼球を突き刺し、木刀を小鬼の頭部に貫通させたのには驚いた。
慶の反応を見る限り木刀が汚れるのを躊躇して、中々眼球への突きをやらなかった様だった。
それから下山を再開して何とか日没までに山を降りて、慶と別れるとお互いに家に帰って行った。
とまあ、今日の1日はこんなところかな?
今日の出来事で一番の発見はダンジョン外にもモンスターが出る事が出来るという事だ。
これは俺だけの問題じゃない。それより俺よりもlvアップの恩恵を受けていない一般人の方が被害を受ける問題だ。
それは俺の家族も例外なく、この問題が降りかかるだろう。
今日出会った小鬼ぐらいなら、春や父さんなら逃げるくらい出来る筈だ。
でも母さんがな。母さんの身体能力は良い方だが、それはその辺の主婦よりはマシ程度のものだ。
lvアップの恩恵も無しにあの小鬼を相手に出来るとはとても思えなかった。
これからの時代、lvアップの恩恵は自分の身を守る為に最低限必要なものだ。
まあ、春は大丈夫だろう。どうせ俺に言われなくてもダンジョンが民間に開放されれば、勝手にダンジョンに入るだろうからな。
あとは父さんと母さんだ。父さんは家族を守る為にもlvアップの恩恵は必要と説得すれば大丈夫。
母さんは心配なので、もし父さんと一緒にダンジョンに入らないと言った時には、俺が一緒にダンジョンへ行く事にする。大丈夫だと思うけど。
そうだな。どうせなら始めの1回目は、何かに理由をつけて、俺がダンジョン探索に同行しよう。




