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前言撤回された事実



 慶が木刀で小鬼と戦おうとしている。


 相手は簡単にあしらえると言ってもlv21だ。上手く扱わないと木刀なんて簡単にへし折られる事になる。


 俺は相手をしていた小鬼を慶の前に蹴り飛ばす。


 小鬼は起き上がると、一番近くにいた慶に襲いかかっていった。


「グギャッ!」


 慶は小鬼が飛び掛かってくるのに合わせて、小鬼の首をへし折りにいった。


 ああ、変な声出しちゃって可哀想に。


「ウググゥゥ」


 いきなり殺しにいっているな。


 慶が木刀を首に打ち込んで終わったかな?と思っていたが、小鬼は不快そうに軽く首を押さえているだけで、特に支障は無さそうだ。


「硬そうだな」


 慶はまだ恩恵を使わないか。


 まあ、慶ならlvアップの恩恵を使わなくても、どうにかしてしまいそうだけどな。


 小鬼は再度立ち上がり慶に立ち向かっていく。


 慶はもう一度首に一撃を入れるが、小鬼に通じた様子は無い。


 また首に一撃。


 首への攻撃を繰り返しているな。


 俺は近くの木の幹に背中を預けて、慶の戦いを観戦する。


 まあ、あれだな。よくある防御の硬い強敵との戦いで、同じ場所に何回も攻撃を当て続けて防御を突破して倒す方法がある。


 慶も同じ方法でlvアップの恩恵を使わずに小鬼を倒そうとしているのかもしれないな。


ーーー


 もう20分近くも首への攻撃を繰り返しているが、一向に小鬼を倒せそうに無い。


 どのくらいHPを減らせたか見てみるか。


【種族:逸れ小鬼

 性別:メス

 lv: 21

 スキル:噛み付きⅠ 殴るⅡ 蹴るⅡ

 HP:4057/4600

 MP:82/82 】


 やっと1割ちょっとって所だ。このままだとまだまだ時間が掛かりそうだな。


 小鬼の首も少しはダメージが蓄積しているとは思うが、見た目もあまり変わった様子がないし、あまり肉体的ダメージは無いのかもしれない。


「慶。このままだと倒す前に日が暮れる」


「分かった。そろそろ決着をつけないと下山が大変になるか。はあ、本当はあまりやりたくないんだけどな」


 慶はそう言いながら、木刀をまた首に当て小鬼を弾き飛ばす。


 おお、遂にlvアップの恩恵を使うのか。


 あ、勿論lvアップの恩恵を使って慶が俺にダンジョンの事がバレたと思ったら、俺の方も慶にダンジョンに潜っている事を伝えるつもりだ。


 ユニークスキル固定ダメージ1の件を知られなければ構わない。


 慶は小鬼が起き上がる前に突きの構えをする。小鬼の頭が来る位置に高さを合わせて剣先をもっていく。


 小鬼が起き上がり慶に飛び掛る瞬間、慶の木刀の突きが小鬼に打ち込まれた。


 グシャッ


 慶の木刀は小鬼の左眼を突き破り、頭を貫通した。


 柔らかい眼球を狙うのも強敵を倒す時の定番だよな。


「はあ、木刀が汚れた」


 慶が落ち込んだ様にそう言った。


 そんな事を気にしていたのか。まあ、血の汚れって中々落ちないものだからな。


 小鬼はドロップアイテムの銀鉱石をドロップして消えていった。


「流石、慶だな」


 結局lvアップの恩恵を使わずに倒してしまった。


 流石佐久間家の師範代だ。普通、力にlv20以上もの差があったら勝てる訳ない。


 俺はlv差70以上の化け物を倒した事があるけどね。


 木刀が汚れるって理由で倒して無かったとは、慶は本当超人だよ。


「光希。このドロップアイテムはどうする?」


「ああ、俺は要らないよ。俺が倒した訳じゃないしな」


「OK。じゃあ俺が貰っとくわ」


 慶は落ちている銀鉱石を拾い袋に入れてから、木刀の血をその辺に生えてる葉っぱで拭いた。


 木刀を仕舞い始末が終わったタイミングで、俺は立ち上がり慶の元に近づいて声を掛ける。


「この小鬼の所為で色々考えたい事が増えたが、まあそれは一先ず下山してから考えよう」


「ああ、ダンジョンの入り口がこの山にありそうだって分かっただけでも十分な収穫になった」


 俺と慶は日が暮れる前に急いで下山する事になった。


ーーー


 何とか18時までに自転車を止めた駐輪場に戻る事が出来た。


「帰るか」


「慶。俺はこっちの道の方が近いから」


「分かった。じゃあ明日学校でな」


「ああ、学校で」


 自転車に乗り、慶と別れて家に帰り始める。


 それにしてもダンジョン外に出てこないと言われていたモンスターに山で遭遇するとはな。


 何でダンジョン外に出ない事が確認されていたモンスターが外に出ていたんだろうか?


 誰かが引っ張り出したのか?

 いや、こんな山奥のダンジョンでそれは無いな。


 もしかしたらダンジョンに誰も入らず放置していると、リポップの影響でダンジョン内で増えたモンスターが、ダンジョンの外に溢れ出てきているのかもしれない。


 こんな山奥のダンジョンで誰かがモンスターを引っ張り出したよりは筋が通ってそうだった。


 もしそうなら未発見のダンジョンが続々と発見される事になるだろうな。死人と一緒に。


 モンスターの目撃情報があれば、その近くにダンジョンの入り口がある事が分かる。


 それに伴い、ダンジョンを民間に開放する時期が早まるかもな。


 モンスターを外部に出さない様にするには、ダンジョン内のモンスターの間引きを定期的にしないといけない。


 モンスターの間引きを国だけが行うにはダンジョンの数が多過ぎて手が回らない筈だ。


 民間人でもダンジョンに入れる様にしてダンジョン外にモンスターを出さない様にしないと、死人と行方不明者が増えていく事になるだろうな。



 


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