弟子よ!戻ってきたぞ!
出掛ける準備の為に一階へと降りる。
リビングに入るが誰も居ない。皆まだ起きていない様だな。
朝4時で起きてる方がおかしいのか。
朝ご飯を食べてから、出かける事にする。
折角、家で食べるんだから少し凝った物が食べたいな。卵丼でも作るか。
フライパンにダシ、水、醤油、酒、ごま油を適量入れて混ぜたところに、千切りにした玉ねぎを半玉入れ、玉ねぎに色が付くまで中火で炒める。
色がついたら卵を1つ入れ、混ぜながら卵が固まるのを待ち、固まったら火を止めて卵をもう一つ入れると、また混ぜ余熱で温めて30秒経ったら、どんぶりにご飯を入れ盛れば、完成。
あとはお好みで好きな物を乗せて食べればいい。
俺はネギと山椒をかけて食べる。
作った一人前の卵丼を食べてから、どうせなら母さん達の分も何か作ろうかと思ったが、まだ昨日のシチューが残っているようだった。
まだ残っているのに新たに何かを作ったら迷惑になるかもしれないな。
それなら自分の弁当として適当におにぎりでも作って行こうかな。また途中でスーパーに行くのは面倒だからな。
ツナマヨとサケ、梅の三つのおにぎりを握り、お茶の入った水筒と一緒にバッグに入れた。
出掛ける前に置き手紙をして適当な長袖長ズボンの服に着替える。
ヘッドライトと手持ち用ライト、LEDランタンも持っていくか。あとは携帯の応急セット、サブザックを持ち出掛ける。
もちろん、スマホと財布は携帯している。
財布を忘れたら何の為に出かけるのか分からなくなる所だ。銀行のカードは財布に入っているからな。
俺は自転車で山道を登っていく。
本当は先にお金を下ろしてしまいたいが、時間的にまだ銀行が開いてない。
という事で、先にダンジョンでlv上げをおこない、その帰りにでもお金を下ろして帰ろうと思う。
ーーー
ダンジョンの入り口前まで来た。
「他の人が来たような跡はないか」
素人だから詳しくはわからないけど、意図的に痕跡を消さない限り多分気付けると思う。
見た感じ俺の来た道以外には跡が無いみたい。
まあ、そう簡単にここのダンジョンが見つかる筈もないか。
隠してあるドロップアイテムとメイン武器洗剤を引っ張り出す。
「こっちにも特に変わった跡はないと」
ドロップアイテムも誰かが触った様な感じはしない。
実は念の為にドロップアイテムを包んである所のブルーシートを昨日帰る前に写真で撮っていたんだよ。
その写真と同じシワの形が残っていたので、誰もこのブルーシートの包みは取っていない筈だ。
まあ、1日でバレるなんて、かなり運が悪くないとあり得ないけどな。
中身の方も特に変わった事はなく無事だった。
簡単な確認を済ましたし、ダンジョンに入る準備をするか。
ヘッドライトを点け、サブザックに洗剤を二袋入れ、腰にLEDランタンを掛けて、手にはハンドライトを持ち準備OK。
今回、ケイビングスーツは着ていない。ダンジョンが普通の洞窟と違い暗いだけで危険な相手がモンスターぐらいなので、動き易い着慣れた長袖長ズボンの私服でここに来た。
その代わりと言っては何だが、今回はハンドライトとLEDランタンを持ってきて光源を増やしてみた。
このダンジョンのスライムの厄介な所は、目視でしか見つけられない所だ。
スライムは音も臭いもしない。
もしライトも無しにこのダンジョンに入ってスライムを足で踏んでしまったら、足を溶かされて失い、そのままゲームオーバーだ。
実はヘッドライトだけでは一方向しか照らせず昨日も危険な時が一、二度あった。
今回はそんな見落とす事がないように、LEDランタンを腰に付け、ハンドライトを持って、ライト3つで
ダンジョンの通路を照らしスライムを見つけていく。
一応、ドロップアイテムの中から短剣も持っていこう。
「洗剤があと8つだから16時間マラソン開始だ!」
ーーー
ダンジョンで回るコースは昨日も使った1時間コースを使う。
6周目が終ったところで、腹が空いたので作ってきたおにぎりを食べる。
食べながらもダンジョンを進む。スライムを倒していく途中でいきなりヘッドライトの明かりが消える。
「どうしたんだ? まさか壊れたか? これ結構高いやつなんだけど」
俺はよく森や洞窟に入るから、ライトについては良い物を使っているので、結構な値段がする。
「あっ!そう言えば昨日帰ってから、ライトの電池を替えてなかったな。もうかれこれ35時間以上は使っていたからしょうがないか」
このライトの最大使用時間は35時間だった気がする。俺は念の為に出来るだけ長く使えるライトを通販で買ったので、わざわざ予備の電池なんて持ってきていない。
確かこのハンドライトが40時間で、このLEDランタンが15時間だったと思う。
今はまだ二つあって明るいが、ハンドライトだけになったら危険かもしれないので、途中でLEDランタンが消えてしまう様だったらダンジョンからは出る事にするか。
ーーー
6袋目の洗剤が残り半分ぐらいになった時だった。
「おお!やっと戻った!」
スライムを倒すと、いきなり視界が広くなった感覚があり、すぐにスキルが戻ってきたと分かった。
長かった、本当に長かった。スライムなんてもう1000体以上は倒している。
やっと俺の師匠の天眼さんが復活した。
「あ~なんか急にどっと疲れてきたな」
天眼さんの事を確認する為にも、ダンジョンを一旦出よう。




