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ダンジョンが出現した世界



 全員がシチューを食べ始める。


 そうだ。父さんにもちょっと聞いておきたい事があったな。


「父さん」


「なんだ?」


「父さんの会社は今日もいつも通りだった?」


「ん、会社自体はいつも通りだったぞ。あっ、でもな若い新入社員の一人がダンジョンってものに入ったらしい。そこで足を骨折して入院したというのを会社で聞いたな」


「へぇ~やっぱり面白半分でダンジョンに入る人もいるんだね。ダンジョンに入れたって事は未発見のものだったのかな」


「いや、父さんもそこまでは分からない」


「ねーお姉ちゃん。何で未発見ってわかるの?」


「ああ、実はちょっとスーパーに寄った時、道中の駅で警察が洞窟みたいなものを封鎖していたんだ。その事を春にダンジョンが出たって聞いた時に思い出した」


「そうなんだ。じゃあ、ここの近くにもダンジョンがあるんだね!」


「行っても入れないぞ。そう言えば今日やたらとパトカーも多くなかった?」


「そう言われれば、通勤中、普段より見かけた気がするな」


「ダンジョンの入り口を探しているの?」


「多分な。この分だと警察より先に見つけるのは無理だろうな」


「え~ダンジョン入りたい~」


 春が勝手に入らない様に釘を刺しておくか。


「春、ダンジョンを見つけても勝手に一人で行くなよ、行くなら俺も呼んでからにしてくれ」


「もちろん!」


「「(こう)(ちゃん) 、ダメだ(よ~)」」


「あはは、冗談だよ。春も本当に勝手に入るなよ。さっき怪我をした人がいたって言っていただろう」


「え~でも~」


「春、心配しなくても、そのうち民間にもダンジョンは開放されると思うぞ」


「え?何で?」


「そうだな。ダンジョンとくれば、何だと思う?」


「ダンジョンとくれば? えっと、モンスターに罠、ボス、あっ!お宝!!」


「そう宝だ。実際に宝があるのなら、日本という借金大国のお偉いさんがこの宝箱を見逃すとは思えないからな」


「でも、それだと余計にダンジョンは国に独占されるんじゃないの?」


「まあ、そこはダンジョンがどのくらいの数あるかと、ダンジョン内の広さにもよるな。

 ダンジョンの数だけど、ネットで見た感じからしてダンジョンの出入り口を抑える事は出来ても攻略までは国だけでは手が回らないと思う。

 広さに関しては今、自衛隊が頑張っているからそこは情報待ちだな」


「じゃあ、本当にそのうちダンジョンに入れる様になるの?」


「ああ、世界中にダンジョンがあるんだ。日本もこの流れに乗り遅れたくはないだろうから、十中八九な」


「春、光の言う通りになったとしても年齢制限や免許が必要になる筈だ」


「そうだね。父さんの言う通り年齢制限や免許は必要になるだろう。まあ、それは今考えても仕方がないよ」


「はあ、夢ないな~わかりましたよ~~だ!」


 年齢制限や免許か、言われればみればそうだな。


 未成年は親の許可が必要になるか。免許の方はどうせダンジョンで死んでも国は責任を取りませんっていう同意書程度のものだろうがな。


 そんな話をしているうちにシチューを食べ終わる。


「ご馳走さま、俺はもう寝るよ」


「そう、おやすみなさい~」


「おやすみー」


「おやすみ、光希」


「じゃあお先に」


 俺は食器を片付けてからリビングを出て自分の部屋に戻った。


 ベットに腰掛けてスマホを取り出して、ダンジョン関連の記事を探して読む。


「掲示板か。あまり見た事は無いが、記事にはならなそうな情報が色々と集まりそうだな」


 ダンジョン関連の掲示板を流し読みしてみる。


ーーー


 掲示板を見てみると、結構な数の人がダンジョンを見つけても警察に通報する前にダンジョンに入ってみているようだ。


 ダンジョン内の実況動画を撮って投稿している人もいるな。

 そのほとんどがその後、モンスターに襲われて怪我を負い警察に助けを求めていたみたいだが。


 この分だともう既に死んでしまった者も中にはいるだろう。


 実況の動画を見て、やはりダンジョンの1階層にはスライム以外のモンスターもいる事が分かった。

 今見ている動画では、壁や天井すらも飛び跳ねて投稿者に襲い掛かっているうさぎが映っている。


 このウサギは初見ではまず勝てないだろ、と思う人も多いだろうな。


 確かにこのウサギは速く、動きも読み難い。反面、攻撃力は低いようだ。

 ウサギに攻撃されている投稿者は痛みと恐怖からパニックになって気付いていないが、画面に映る投稿者はさっきから何度も攻撃を受けている筈なのに、走って逃げる事が出来る程度のダメージしか負っていない。


 攻撃を受ける度に痛がってはいるが、どれも浅い切り傷ばかりだった。


 1階層から難易度が高くないかと感じる人もいるかもしれない。

 このウサギの攻略法は避けようとしても避けられない攻撃は避けずにウサギの攻撃のタイミングを待ち構え、カウンターで倒してしまう事だろう。

 皮を切らせて命を絶つ。


 痛みには耐えないといけないが、今の所洗剤というイレギュラーの弱点が見つかっていないスライムよりは難易度は低そうに感じた。


 掲示板や投稿動画にダンジョン2階層や隠し部屋についての情報は無かった。

 そんな事よりも、一番俺の興味を引いたのは魔法を習得したという動画付きのコメントだった。


 他の人にはCGじゃないか?と疑われていたが、確かに手の平から蛇口を捻ったように水が溢れていた。


 その人が言うには、モンスターを倒して手に入れたスクロールで魔法を覚えたらしい。


 もしかしたら、俺が手に入れたサブザックに入っているスクロールも魔法系のスキルスクロールかもしれない。


 天眼さんが戻るまでは不用意に使えないけど、少しワクワクしてきたな。密かに期待しておこう。


 明日はお金を下ろす為に出掛けないといけないから、そのついでにダンジョンにも行ってみるよう。


 早く寝て早く起きよう。





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