表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/126

何故そこに!?

 


 一つ目の隠し部屋から移動して今二つ目の隠し部屋の前まで来た訳だが、どうした事か目の前にある筈の土壁は無かった。


 そこには出入り口が既に開けられている隠し部屋が存在している。


「これって慶さん達かな?」


「いや、慶じゃない」


 見回ってきてほしいと頼まれた慶が勝手に隠し部屋に入るとは考え難い。


 でも、達という処は間違っていないと思う。


 予想通りと言うか嫌な予感が当たったと言うべきか、この隠し部屋に勝手に入ったのは十中八九。


「美月達だな」


「3人が、本当に?」


「多分」


 いや、今確実になった。


 神眼の気配感知で隠し部屋の奥に複数の気配があるのを感知した。


 何故、ここに来るまで気付かなかったのか不思議なくらい近い。

 100mはある気配感知の範囲の内側、既に50m以内に気配があるのに気付けなかった。


 気配が非常に薄い。


 別に死に掛けだから気配が薄い訳ではない。その程度の事だったら流石に気付いている。


 この感覚は何か妨害と言うか、ある一定の空間だけ感知し難くなっている。


 丁度その場所に美月達が居るみたいだ。


 そして、俺はこの感知妨害の空間には心当たりがあった。


 その頃はまだ神眼ではなく天眼だったな。


 天眼の時は今のように気付く事すら出来なかった。


 あの時は扉を開け中に入ってみると、確かにあの圧倒的な気配と存在感のある化け物はそこに居た。


 試練の扉。


 終末の使徒レプリカ(スライム)


 その存在を思い出しながら隠し部屋の中に入ってみる。


 そこには結構頻繫に訪れているから懐かしくはないが、案の定俺のダンジョンにある隠し部屋同様、正面の壁にはレリーフの入った扉とその側には大きな杯が置いてあった。


「これって何?」


 何って? そう言えば春には試練の扉の表向きの考察は話していなかったな。


「裏ボスかな」


「裏ボス?」


「ああ、この壁の向こうにボスモンスターが居る筈だ。そして美月達は多分今そのボスモンスターと戦っている」


 神眼だから気付いたが、今回中に居るモンスターは、あの化け物の足元にも及ばない雑魚モンスターだ。


 まあ、それでも美月達が全員無事だとは限らないがな。


 それにしても試練の扉の考察の時に、試練の扉はダンジョンクリア後の追加コンテンツかもしれないと結論に至った筈だ。


 なのに何で、試練の扉に挑戦してしまっているんだ?


 馬鹿とかそんなレベルじゃない唯の自殺行為だ。


 今回は偶々ボスモンスターが弱かったからまだ死んでいないが、俺みたいに外れを引いていたら今頃はもうとっくに死んでいる。


 まあ、どうして勝手に入ったのか理由は後で聞くとして、今はどうやって中に3人を助けるかだ。


「どうして美月さん達が中で戦っているって分かるの?と言うかどうやって開けたの?」


「開け方自体はどうでもいい」


 いや、良くはないが説明する訳にはいかない。


「それよりもどうして美月達が中に居るのか分かるかと言うと、ここを見てみろ」


 俺は春に見えるようにレリーフの丁度真ん中を指差す。


「ん? あっ」


 春が俺の指を指している処を覗き込むと、そこには縦に銀色の線が見えた。


「これって何かの金属? でも、これと美月さん達が中に居る事と何が関係あるの?」


 勿論ある。この銀色の線がある場所だがここは丁度扉の境目がある場所だ。


 そして、この銀色の金属は扉の間に何かが挟まって潰れた事で金属が薄く延ばされて、その端がここから覗いているという訳だ。


 春には見えないだろうが神眼の透視と空間把握が使える俺には試練の扉の間には挟まれて紙よりも薄く延ばされた長剣の刀身の姿が見える。


「金属が何かは問題じゃない。問題は何故こんな処に金属が挟まっているかだ」


 多分この扉から入った後で、閉まっていく扉を目撃した3人の内の誰かが咄嗟にストッパーとして、丁度持っていた長剣を入れたんだろう。


 結果、長剣は薄く延ばされストッパーの意味は成していなかったが、運良く俺達へのメッセージにはなった。


「じゃあ、さっき言っていた裏ボスの話が本当ならこの壁が扉で、その間で潰れている金属がストッパー代わりにした何かのドロップアイテムって事?」


「ああ、間に金属しか見えないから、人と一緒に金属が挟まれたなんて最悪の事態ではないみたいだがな」


「エグッ」


 俺が言った光景を想像でもしたのか、春は顏を顰める。


「さて、じゃあ早速だが美月達を助け出すとするか」


「え、どうやって? こういうパターンのボス部屋って中のボスを倒すまでは出られないものじゃないの?」


【名前:試練の扉

 条件:供物の杯≪限定条件:自力≫

 効果:挑戦    】


【名前:供物の杯

 条件:0/200

 効果:扉の開閉  】


 いや、鑑定したら、今なら試練の扉を開ける事が出来そうだ。


 この試練の扉の限定条件が自力と表示されている。

 多分自力で扉を動かす事さえ出来れば、助けに行く事も可能という事だ。


「まあ、何とかなるだろ」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公がいい人すぎるわ、そしてまわりは、屑ばかり。こんなやつらと一緒に探索するときに背中は預けれないね。
[気になる点] 不快なキャラが多すぎるから一旦読むの止めて貯めてました。また読み始めました。不快すぎてやっぱり駄目でした。なんだコイツらまじで、良いところの出じゃないのかよ頭悪すぎるだろ
[一言] 腕力で開けられるのか(困惑 まあこの扉を自力で開けられるって事は高レベルって事だし、供物自体も大した量じゃないから条件緩め? 猶、裏ボスの難易度が緩めの条件と比例するかは保証しないものとする…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ