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ポーチがバレた



 特にハプニングもラッキースケベの様な展開も無く、普通にシャワー室から4人とも出てきた。


「先輩は女子シャワー室から出てきても違和感がありませんね」


 シャワー室から出てくると、凛が俺を見ながらそんな事を言ってきた。


「いや、あるだろ。男物の制服という時点で既にアウトだから」


 この言い方だと自分の容姿の部分では否定出来ないと、自分から宣言している様なものだな。


「でも、世の中には何と言うのでしたか? 女の子が男の子の格好をする」


「ん、男装の麗人」


 言葉の出てこない美月の代わりに咲良が答える。


「そうです。男装の麗人って言葉があるぐらいですし、違和感はそこまでないと思います」


「いや、言葉はあるかもしれないが、それは2次元の話だ。現実ではそんな人はレア度が高すぎて見かける事はまず無い」


「じゃあ、先輩が女装して下さいよ」


 俺が男装の麗人について反論していたら、いきなり凛がそんな事を言ってきた。


「えっ? 唐突に何の話だ。全然話が繋がっていないだろ」


 本当にいきなり過ぎてちょっと引いた。


 男装の麗人を否定しただけなのに、何故そんな話になる。


「いえ、先輩って本当に男の人なのかな?と思いまして」


「普通に男だ。何処からどう見ても」


「具体的に何処からどう見たら男に見えるんですか?」


「具体的と言われてもな」


 全然思いつかない。


 そして、答えられない俺を見てニヤリと凛が笑う。


「くっ……胸が無い所とか?」


 苦し紛れに出てきた言葉がこの程度か。

 でも、これはこれで答えなんじゃないのか?


「ん、それは聞き捨てならない。それなら咲良が男って事になる。光なんて両性類でいい」


 と思ったが咲良がキレ気味にそう言うので失敗だったようだ。


 そう言えば、3人の中で咲良だけ全然胸が無いな。


 俺の胸が無い=男という言葉に、自分も当てはまるじゃねーか!と怒っていると。


 咲良のコンプレックスを刺激してしまった。


 そんなにコンプレックスに思っているのなら、何で最初にドロップアイテムで切るなんてスキルスクロールを手に入れたんだろう?


 ダンジョンなんだから他にも何かあるだろう。


 ファンタジーな胸を大きくする魔法薬とか、せめて見せかけだけでも変えられる変身や変装といったスクロールなら絶対にあると思うんだけどな。


 それにしても、幾ら怒っているからと言って、人を両生類呼ばわりは酷い。


「俺はカエルでは無いぞ?」


 俺がそう言うと、何故か3人とも頭の上にハテナマークを浮かべる。


 あれ? 会話が噛み合って無い?


「光希さん、咲良が言いたいのは哺乳類や鳥類の両生類では無くてですね。男女の性の両性類ですよ」


「成る程、それはそれで酷いな」


 両生類なんかとは、全然マシだったので何故か納得してしまった。


 もう男女の違いとかどうでも良いな。


 それにダンジョンのドロップアイテムで、効果が良い物だったら、例え女物のドレスでも俺は喜んで着ている姿が思い浮かんでしまった。


 女装もその時の為に女物の服に慣れておく練習としては良いかもしれないな。


ーーー


「先輩」


「まだ、何かあるのか?」


「はい。朝食をご馳走になっておいて突っ込むべきでは無いかもしれませんが」


 やはり何かを話そうとしていたのか。

 さっきまでの話は前座で、これが本題と言う事だろう。


「別に良いぞ」


「先輩ってマジックバック持っていますよね。それかそれに近いスキルを」


「そうだな」


「って結構あっさりと答えましたね。隠していたんじゃないんですか?」


 凛は簡単に認めた俺に驚いている様だ。


 でも、俺の方は近い内にバレると思っていたので動揺は無かった。


 まあ、鞄の中からカップ麺3つにコンロ、鍋、水と普通持っていない物がこんなに出てきたら、気付かない方がおかしいよな。


 まあ、若干1名(美月)は意味が分かっていない様で話についていけてない様だけどな。


 明らかに入らない量の物が鞄から出てきたら、ダンジョンを知っている者ならある程度察せるだろう。


「隠してはいた。けどこんな便利な物いつまでも隠し通すのは面倒だからな。そろそろバレても良いと思ってたから思い切ってな」


「そうですか。それでそのマジックバックはどう言った物なんですか?」


「ん、知りたい」


 凛の言葉に咲良が興味津々と言った様子で手を挙げる。


「えっと、私も?」


 美月は咲良にガン見されて、よく分かっていない様だが手を挙げさせられた。


 3人全員が手を挙げた状態になる。


「別にそこまでしなくても隠さないよ」


 そう言いながら鞄からマジックポーチを取り出して見せる。


「これがマジックポーチだ」


「ん、普通のポーチ」


「デザインも古い感じではなく今時ですね」

 

「それは俺も気になっていたが、ちゃんとマジックポーチだ」


 マジックポーチに手を突っ込んで使い道無いだろと思っていた身の丈以上の大剣を取り出した。


「ん、便利」


 咲良は目をキラキラさせながらマジックポーチを見つめる。


 確かに咲良の得物は大太刀だからな。今の光景を見たらさぞ羨ましいだろう。


「やらんぞ。欲しかったら自分で手に入れろ。慶に聞いているかは知らないが、ダンジョンには隠し部屋というものがある。このマジックポーチはその隠し部屋で見つけた物だ」


「それなら兄さんに聞いています。地図で不自然に抜けている場所があるので、そこに隠し部屋あるらしいと。そして、隠し部屋には罠がある事があると光希さんに教えてもらったって聞きました」


 やはり慶は自分で地図を描く事を諦め、美月達に頑張ってもらおうとしていたか。怠け者め。




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