12話 目をつけられた?
ジャンル別日間ランキング1位になりました。皆さんの評価のお陰です。また、誤字報告いつもありがとうございます。
それでは続きをどうぞ。
外の歓声を聞きながらレジの前に立っていると、美坂が横にやって来る。
「店長、お疲れ様でした。大活躍でしたね」
そう言って、にっこりと笑顔を見せる。
「あぁ? 活躍はしてねえよ。いつも通りだ」
「常連さんたちは大興奮でしたよ。そこのイートインスペースでお酒飲んでましたし」
そう言って、未だに盛り上がっている一画を見て俺はため息をついた。
客の中には以前見た魔法使い風な女性もしっかりいた。
自動ドアの開く音で、客が来たのかとそちらに目をやる。
そこには貴崎と止水の二人組が立っていた。
二人は肩を怒らせながら、他には脇目も振らず俺の前までやってきた。
いつの間にか、美坂は側からいなくなっていた。
「どういうこと?」「どういうことですか?」
二人同時に口を開く。
「あー、どういうこと、とは?」
貴崎が更に詰め寄ってくる。
「さっきのよ。お兄さん、探索者だったの?」
止水も詰めよる。
「それに、何なんですか、あの狙いは!上級、いえ、それ以上じゃないですか!」
詰め寄られ答えに窮してる俺を見かねてか、酒を飲んでいたのであろう赤い顔をした常連の男が近寄ってきて、二人に問いかける。
「あんたらは初めてかい?店長がやるとこを見るのは?」
「「え?」」
「だったら驚いただろ、店長はすげえからなあ」
貴崎が聞き返す。
「えーと、店長は探索者だったんですか?」
男は俺をちらっとみたあと、貴崎を見て、首を横に振る。
「いや、探索者じゃないらしいぜ。ただ、このコンビニがこれまでも無事なのは店長のおかげってことだ」
まだ二人は納得いかないようだったが、止水が口を開く。
「ミナ、おかしな場所にあるコンビニの店長はおかしいってことなんだよ、きっと」
貴崎は大袈裟にため息をつくと、俺をジト目で睨み付けて。
「ふーん、今日は詳しくは聞かないわ。ねえ、お兄さん、いつ休み?」
「あ? ……そんな予定はないな」
「「えっ!?」」
二人が目を丸くして驚いた顔で俺を見る。
「この店の上が住まいでな、とくに用がない日は働いてるからな」
「うー、仕方ない、今日は帰るわ。今度、絶対時間とってもらうからね。……行こ、サナ」
そう言って店の入り口に向かう二人に、俺は手をひらひらと振ってあいさつすると、バックヤードにあるソファーへと仮眠をとりに向かった。




