文化祭DAY1 後編!!
途中、何書いてんだっけ?となりました。
あと、次週はお休みします。ご了承ください。
ーー渚がオムライスを作り続けているのと同時刻ーー
「なんだか騒がしくない?」
「そうだな、文化祭とは別の騒々しさだ。あまり気持ちの良いものではないな..」
レース付きメイド服に身を包んだ香織の言葉に菖蒲服姿の達也は同意する。
先ほどから教室の外で不穏な空気を感じている二人は、配膳をしながらしきりに教室の外を気にしていた。
「文化祭なんだから騒がしいに決まってんだろ?早くあのテーブルにサンドウィッチを運んでくれ。」
そばを通りかかったメイド服の男子生徒が達也を小突く。
達也は廊下にちらりと視線を向けたあと、サンドウィッチを持ってテーブルを回る。
香織も空いたテーブルを片付けに向かった。
開園してから達也たちのクラスは多忙を極めており、交代する暇もないほど走り回っていた。
既に時刻は昼をまわっており、絶え間なく走っていた香織たちは息を切らしていた。
食事も先ほど出た分で終了し、今教室内にいるお客さんが出ていったら今日の仕事は終了だ。
...と思っていたのだが、
「...と言うわけで!!今回の企画は、『文化祭で品切れになった教室に突撃して脅して商品を出させてみた!』です!早速やっていきましょう!おっじゃましまーす!!」
達也が開園前に話題に挙げていた集団がカメラを構えながら教室へと入ってきた。
「ちなみに!この様子は配信中なので!半端なことはしないように!!」
配信者の男性は教室内にいる客と達也たちにそう言い放つと、ニヤニヤしながら香織に話しかける。
「このオムライスを15!なるはやで!!」
「お客さま、申し訳ありませんが本日の販売は終了しております。またのご来店をお待ちしております。」
「へー、そう言うこと言っちゃうんだ?いいの?今ならまだモザイクかけてるけど、俺の一存で君の姿晒されるよ?」
男性がニヤニヤしながらそう言うと、香織も無言でニコッと笑う。
「さすが篠原さんだ...あんな脅迫じみたオーダーに対して笑顔だぞ...」
他のクラスメイトが香織を賞賛しているが、達也は見た。香織の額にビキッと血管が浮き出るのが。
達也が危険を察して香織を教室の角に連れ出す。
「落ち着け香織、やつはマジでやるぞ。」
「渚ちゃんが今日だけでどんだけ量を作ったと思ってんだこいつらは...!200食もぶっ続けで作ったのに更に15食?渚ちゃんの疲労をなんだと思ってんだ...!!」
「あ、怒ってたのはそっち?とりあえず明日の材料を使って渚たちに作ってもらうようお願いしよう。余計な衝突は避けるべきだ。」
達也たちの声を聞いていたのか、運搬係の生徒がダッシュで調理室へ向かった。
オムライスを待つ間動画配信者の集団は大声で騒ぎ続け、他の客は迷惑そうにしながら教室から出ていった。
「おっ!ちょうどいい。もうこの教室には俺らしかいねえから今日はここで配信すっか!」
そう言うが早いか彼らは三脚やら台やらを準備し始める。並べてあった机を強引にどかし、飾ってあった装飾を勝手に剥がす。
その様子を見てクラスメイトの怒りは限界に達しそうになっていたが、ここで怒ってしまえば奴らの思い通りになってしまう。こいつらの目的は怒らせることなのだ。
「おーい!オムライスまだかぁ!?飲食店の癖に提供スピード遅くねえか!?」
しかし香織の怒りは既に限界を超えており、今は理性だけでなんとか持ち堪えている状態である。
なんとか耐えている香織を尊敬しつつ、達也は運搬係が運んできたオムライスを配膳した。
無言で食べ始めた彼らは、一口食べてこう言い放つ。
「俺デミグラスソースの方が好きだからもういらねえや。」
...ぶち殺してやろうかな
「そういえば、そこの彼女...確か篠原香織だっけ?中学生の時に襲われかけたことあったらしいじゃんww」
彼らは更に香織の神経を逆撫ですることを言い出した。
「「...あ?」」
香織と達也は同時に凄んだ声を出す。
なにを言い出したこいつら?
「俺の方で色々調べたんだけどさ?あんたを襲った生徒、今も社会復帰できてないらしいじゃん?どんなことしたらそこまで相手に暴力振るえるわけ?いくら加害者とはいえ限度があるでしょ?ww」
「...あなたには関係ない。」
奴らの言葉に香織が静かに答える。その声は若干震えており、怒りを相当押し殺しているのが察せられた。
しかし、そこで彼らは地雷を踏み抜いた。
「しかもそれをやったのが幼馴染の女の子だって言うじゃん!?確か久里山渚だっけ?どんな教育を受けてきたんだかww」
「「ブチ」」
何かが切れる音が教室内に響いた。
達也と香織から発せられる威圧が徐々に増していくのに気がつかない彼らは続ける。
「前に上がってた動画でも、バイクのタイヤ踏み抜いてたしね!ああいう野蛮な娘が将来犯罪を犯すことになるんだよ!さぞかし私生活でも暴力を振るいまくってんだろうな!」
その言葉が出た瞬間、達也と香織の堪忍袋の尾が切れた。
「渚ちゃんはそんな娘じゃない!!!」
「渚はそんなやつじゃねえ!!!!」
ガッシャァァァァンンン!!!!!!!!
達也と香織がそう言い放った瞬間、渚が色々とぶっ壊して教室に入ってきたのだった。
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「配信中にカメラもパソコンも壊しやがって!!覚悟はできてんだろうなぁ!?」
男の恫喝に渚は微塵も興味を示さず達也と香織に駆け寄る。
「二人とも怪我はなかった?」
身体をペタペタ触りながら怪我の箇所を探す渚に香織は抱きついた。
「...どうしたの?」
「...なんとなく」
達也はこっそり携帯を確認すると、彼らの配信が中止されていることを確認した。撮影機材が大破したので強制的に終了されたようだ。
「くそ!カメラもパソコンもだめだ!これじゃあ晒せねえじゃねえか!覚えとけよ!?」
彼らは捨て台詞を吐いて退出していった。
「...で、あの害悪配信者は何かしたの?」
「したっちゃしたが、渚のおかげでなんとかなったわ。」
「?」
その後、彼らは文化祭を回ることはせず、ゆっくりして過ごした。
「くそ!なんとかして目に物を見せてやりてぇ!!」
「...君か。私の妹を侮辱してたやつは。命が惜しくないみたいだね。」
「あぁ!?」
その後、彼らの姿を見たものはいなかった。
ちなみに彼らのチャンネルも数時間後には削除されていた。




