準備開始
遅れてしまって申し訳ございません。
短めですが、どうぞご査収ください。
定期テストも終わり、本格的に文化祭の準備に取り掛かることとなった。
テスト後は文化祭が終わるまで通常授業は行わず、1週間丸ごと文化祭の準備に費やすこととなる。賞金がかかっているため、どのクラスも本気だ。
しかし今は定期テスト直後、文化祭ムードよりもテスト終わりムードの方が高い。
テストの順位が廊下に貼り出されるため、渚と達也は確認しに行った。
「まぁ、俺が1位だろうしな。」
「うん、そうだね。」
達也のウキウキした様子に渚は適当に相槌を打った。
中学生の頃からたびたび今のような会話をしているので、渚の対応も慣れたものだ。
「なぁ渚、中学の時にテストの度に男子で話してたこと覚えてるか?」
「『ビリだった奴が女子に告白する』ってやつ?そういうのって冗談でもやっちゃいけないと思うんだよね。」
「まぁ確かにノリでやるのは良くないと思うが、背中を押す意味だったらやるのもやぶさかではない。渚はどうなんだ?香織とか。」
「なんでそこで香織が?」
渚が目を細め、凍てついた視線を達也に向ける。
「いいじゃんかそこはどうでも。で、どうなんだ?」
渚の極寒の瞳にたじろぎながらも話す達也に渚はため息をつきながら話し始める。
「まぁ好きだけどさ。恋愛的な意味かと聞かれればわからないよ。」
「え?そうなのか?」
「そりゃそうでしょ。幼馴染だよ?もはや家族みたいなもんじゃん。恋なんてしたことないから親愛なのか恋愛なのかわからない。」
渚の回答に達也は頭を抱える。
「あちゃー、渚はまずそこからか...」
「僕は達也と香織と今まで通り楽しく過ごせたらそれで良いからさ。恋愛ってよくわかんないし。」
そう言ってスタスタと前を歩く渚の背後で、達也はボソリと呟く。
「香織、道は険しいぞ...」
「?なにか言った?」
「いやなんでもない!」
前を歩く渚の後をついていくと、すでに廊下にはテストの順位が貼り出されていた。
中間考査 順位
1.久里山 渚 500/500
2.岡山 秀雄 487/500
3.篠原 香織 485/500
4.猪河 恵 471/500
5.篠原 達也 463/500
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・
・
「....」
「.....なんかごめんね?」
達也はそっと崩れ落ちた。
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「さぁ!文化祭でやる喫茶店について色々決めていこうと思うんだけど...篠原くんどしたの?」
机に突っ伏して俯く達也に佐々木さんが心配して声をかける。
「気にしないで。どうせ渚ちゃんにテストの点数負けたとかでしょ。」
佐々木さんへそう話した香織は達也の頭を勢いよく叩く。
「った!!」
「達也が渚ちゃんに勝てる分けないんだから諦めなさい。今はこっち」
香織の指摘に達也はようやっと顔を上げる。
「さ、さぁ!文化祭の出し物の内容を本格的に決めていくよ!」
佐々木さんの指揮のもと、話し合いが始まった。
「喫茶店っていうのは決まってるんだけど、どんな喫茶店がいいかと思って。まずはブレーンストーミング!自由に意見言ってって!!」
「はい!メイド喫茶!」
「コスプレ喫茶!」
「執事喫茶!」
「アニマル喫茶!」
「ネコカフェ!」
「とりカフェ!」
「プラネタリウム喫茶!」
「ハロウィン喫茶!」
その他にもさまざまな意見が出続け、一通り出たところで打ち切りとした。
「さて、この中から一つに絞るわけだけど、まず動物は連れてこれませんので動物系は却下。というか「ゴリラ喫茶」とか無理に決まってるでしょ?」
「いや、意見は出さないとと思って。」
佐々木さんの呆れた言葉に一人の男子が声を上げる。佐々木さんは話し続けた。
「メイド喫茶は、全員がメイド服着るの?はい、意見を出したそこの君。」
「え?着るのは女子だけに決まってんじゃん。俺ら男子は裏方」
その言葉にクラスの女子からの怒号が飛ぶ。
「ふざけんじゃないわ!」「女子だけに接客やらせるつもり!?」「お前が着れば良いだろうが!!」「着るなら男子もメイド服でしょ!!」
女子からの猛バッシングによりシュンと落ち込んでしまった某男子。話し合いは続く。
「コスプレ喫茶っていうのは...はい、プレゼンどうぞ。」
「え、はい。これは接客担当がコスプレをします、以上。」
その後も似たような話し合いが続き、最終的にコスプレ喫茶にてメイドやら執事やらアニマルやらのコスプレをすることになった。
「続いては食事についてだけど、飲み物と食べ物2〜3種類ずつあれば良いんじゃないかと思うんだけどどう?」
「サンドウィッチに一票!」
「メイド喫茶と言ったらオムライス!」
「ケーキでもあれば良いんじゃね?」
「コーヒーがあればそれでいいや。」
「お紅茶とかどうかしら?」
「ミルクティーがあったら嬉しいよね!」
提供する料理は案としてあがった計6つで決まった。
その後、役割を決めてそれぞれの準備に取り掛かったのだった。




