203話 epilogue
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------(テンタ視点)------☆
ダリウスや魔王との戦いから1年経った。
ボギ(マザーコンピュータ)(AI)との約束通り、ボギが管理する
ここの管理者になることにした。
対外的にはここをクレアド国とし、俺は名目上の王と言うことに
なった。
(まぁ、国って言っても2千人ほどの小さな村?だけど)
宇宙船ジェイナス号を王宮として、現在は俺とオトアはそこで暮らしている。
また、この大陸の東南に延びる森にはドラゴンをはじめとする巨獣が住み着
いていることに目を付けた冒険者ギルドが、俺達の国!?村の外に冒険者の
街をつくりたいと申し出があったので、俺達クレアド国としても住民の安全
を担保できるので、その申し出を受け入れた。
シェイナスで作成した大型量子プリンターを使ったのであ!っと言う間に
冒険者の街は完成した。
冒険者の街の中心には冒険者ギルドクレアド支部があり、その初代支部長
には、我がガンブレイブのメンバーであるガイゼル(ガンボー)さんが就任
し、うちのクレアド国内の治安維持のため、トム(バルジャン)さんが我が国
の初めての警察署長へと就任してもらった。
ってことで、うちの冒険者チームガンブレイブは解散することになった。
署員は……署長のトム(バルジャン)さん初め、その娘のシェリーさんと
タミーさんの3人。
たった3人で……と思うかもしれないが、元々ここの治安維持をしていた
アンドロイド達が居るのと、ここの住民たちはのほとんどは、温和な人達
なので十分らしい。
それから、今回の悪魔王と魔王を倒したのは
あくまでクリスタルマン達5人で、その手助けをしたのは禍龍だ
として、禍龍はここクレアド国の守護星獣として祭られることに
なった。
俺達が住む王宮の隣に神殿を作りその地下には彼の住処を
用意した。
最も禍龍自身は意味が分かっていないようだが、時折、
犬の姿に変身して神殿を抜け出し、森に行っては狩りを楽しんでいる
ようだけど……。
俺とオトアが、今回の悪魔王と魔王退治に
かかわった……ってか実際に倒したことは対外的には秘密にしてもらっている。
っと言うのは、ダリウスが悪魔になった経緯から、もしオトアが救世主で
神の権化を操れるってわかったしまったら、人々に神に祭られてしまわないか?
そしてら、俺はオトアの側に入れなくなるかもしれないし、第一すでにこの
世界にはクリスタルマン達柱を神とするクリスタル教が存在しているのでね。
そして、現在俺達はある準備をしているのだった。
◇
「テンタ君~用意できたぁ~?」
「ああ」
俺とオトアはお互いウエディングドレスとタキシード姿になっていた。
「じゃ、ボギー頼むわねw」
とオトアがジェイナスのボギ(マザーコンピュータ)(AI)に声を掛けると、
「わかりました」
と言うボギ(マザーコンピュータ)(AI)の返事と共に\パシャ/っと言う
シャッタ音と\ピカ/っと言うフラッシュのような光を浴びる俺達。
「じゃぁ、それを紙の写真にして……ああ、2枚ねw」
「かしこまりました」
オトアの命令にボギ(マザーコンピュータ)(AI)が返事を返すと同時に
光の粒子が現れて側にあったテーブルの上に2枚の紙の写真が現れた。
それを見て、オトアは
「これで良し……」
と言いながら2枚の写真を見、それを俺にも見せ言う。
「どう、私きれいw」
と俺に聞いてくる。
俺はその写真をまじまじ見てオトアに言う。
「うん、すっごくきれいだよオトアw」
と言うと、オトアは顔を赤らめ\キャ/っと喜びの表情と共に、俺の
背中を叩く。
\ドン/
「おっと」
少し強めに背中を叩かれ、俺は前によろめいた。
そんな俺をよそに、写真を見つめニコニコしているオトアに、
「じゃぁ、そろそろ行くよオトア」
と俺はオトアに声を掛けると、
「えっ、うん」
と写真から目を離し、持っていた2枚の写真を俺に手渡してきた。
「じゃぁ、お願いねテンタ君」
「ああ、わかった」
そして俺はボギ(マザーコンピュータ)(AI)に命令する。
「俺の服を元に戻してくれ」
「かしこまりました」
\サー/
と俺の体に光がまといついたかと思うと、俺はいつもの服装に代わって
居るのだった。
◇
王宮である宇宙船ジェイナスの外に俺とオトアは出て、
「じゃぁ、テンタ君よろしくねw」
とオトアが俺に言うと、俺は、
「ああ」
と頷き持っていたランプのようなものに俺は写真を納めると、
そのランプを右脇に抱えた。
俺の準備が出来たのを見たオトアはウエディングドレスのまま
両手を上にあげ、神に何かをささげるようなポーズをとった……。
と同時に俺の足元に複雑な魔法円が現れ……次の瞬間俺の姿が
消えるのだった。
「いってらしゃい、あっちの私達によろしくね」
そのオトアの声は俺には聞こえなかった。
◇
気が付くと俺は、見慣れた場所……懐かしい場所に居た。
そう、高校近くの『鈴鳴神社』の裏手にある、ため池を半分埋めて
できた公園。
そういつも学校帰りにオトアとおしゃべりしていた公園だった。
俺は急いで公園にある池に向かう。
そして、辺りをキョロキョロ見回して人気のないのを確認すると、
左脇から光線銃を出し、池に浮かぶ☆\ピカピカ/☆光る物を
撃ち抜く。
”ビシューン”========
光線に撃ちぬかれた光る物は光線の熱で溶けて消える。
\ぼこぼこ/
光物の溶けた付近の池の水が煮えたぎるが、それが収まるのを
待って右脇に抱えたランプを池の中に放り投げる。
\ポチャン/
ランプは池に落ちた後、プカプカ浮かんでいるのを俺は確認し、
「よし!」
と声を出してから、徐にベルトに付けていたポーチから、マントを
取り出しそれを羽織った。
見る見る俺の姿は当たりに溶け込み俺の姿は消えた様になる。
これは、透明マント……っと言っても本当に透明になるのではなく、
風景に溶け込むだけなんだけどね。
そしてしばらく俺は待った。
しばらくして、何やら男女が楽し気に話す声が聞えて来た。
そう、仲良くしゃべりながら歩いてくる俺とオトア。
いつものように俺とオトアがベンチに腰掛けてからのおしゃべり。
しばらくしてオトアが言う。
「あれぇ~なにかな?」
と公園の前にある池の方を指さす。
「んっ!?」
俺が響の指さす方を見ると、そこには、何やら光る物体
がぷかぷかと浮かんでいた。
「何だろう……あれ取れないかな、天太君」
と響が言うので、
「んっ?」
俺は、響の言葉にあたりをキョロキョロ見回し、
「ちょっと、待ってて響」
と言いながら、ベンチ近くにあった壊れた竹ぼうきの柄を見つけ、
それを取って、公園と池の間にある柵を越え、竹ぼうきの柄を使い
光るものをたぐり寄せる。
「んっと、もうちょい……よし!」
最後は、竹ぼうきの柄にひっかけてそれを池からすくい上げた。
響も俺のそばに来て、それを眺める。
「何だろう?」
と俺が言うと、俺がすくい上げた物体を見て、響が言う。
「……魔法の……ランプっぽいねw」
「魔法のランプって!」
響の言葉に俺はそう言い返すものの、竹ぼうきの柄に
ひっかけた部分が魔法のランプの持ち手に見える。
「ねぇ、擦ったら魔人が出てきたりしてw」
「まさかねっ」
と少し半笑い気味に言う俺に対して、響は
「貸して、天太君」
「いや、ばっちーぞ」
俺の忠告も聞かず、響は竹ぼうきの柄にひっかけた、
”魔法のランプ”もどきを手に取り、公園の水場に持っていき洗う。
”ジャー”
「っと、これできれいになったかなw?」
とスカートのポケットからハンカチを取り出し、それを拭こうとした。
「おいおい、やめとけ響!」
思わず俺が止めようと声を掛けるが、響はにっこり笑って、
「だって、魔法のランプだったら、いろんな願いを叶えてもらえるで
しょw」
と無邪気に俺に言う。
(いやいや、そんなのがこの日本にあるわけないっしょ)
と、俺が心で響に突っ込んでいる間に、響は、
ランプをハンカチで拭く。
”キュッキュッキュッ”
と、
次の瞬間、
ランプの蓋の部分が外れランプの蓋が地面に落ちる。
\カンカラカン/
俺は落ちた蓋を取ろうとしたら、響が
「あれあれあれ~なんか入ってる」
と言うので俺がオトアの方を見ると響はランプの中にある
物を取り出していた。
「どうしたオトア」
と俺はオトアに声を掛けると、中に入っていたものを見て、
「うん?写真……かな?」
と言うので俺は響の肩越しからその2枚の写真を見た。
「ウエディングドレス……ってこれ響に似てないか?」
俺がそう言うと、響も
「うん、で隣に居るのは天太君に似てない?」
と言うので、俺は隣に映る男をよく見ると……。
(うーん、確かにそこに映るのは俺……だな)
と俺が思っていたら、響が俺に
「これって、ひょっとして未来の私達からの贈り物だったりしてw」
と嬉しそうに言うが、俺はそんな響に、
「いやいや、未来からって、今時紙の写真って……あり得ないのに
未来ならなおさら紙ってのは考えられないだろう」
と言うと、響は写真をまじまじ見ながら、
「そうかな?……」
と納得いかぬ様子だったが、何を思ったのか急に俺に言う。
「まぁ、でもなんだかせっかくだし、これも記念と言うことで
2人で1枚ずつ持って帰らない?」
と言いながら俺に1枚写真を手渡してきた。
(記念って……オトア、)
俺は写真を手渡されそう思いながら戸惑っていると響が、
俺にニッコリ笑って、
「私達もこうなれるよう頑張りましょうw」
と俺の背中を\ドン/
「おっと」
少し強めに背中を叩かれ、俺は前によろめくのだった。
◇
俺は、俺とオトアの様子を伺い、2人が公園から去ったのを確認して
マントを取る。
「ミッションコンプリート!」
と俺は1人呟く。
(そろそろ時間か……)
と俺が思うと、再び俺の足元に複雑な魔法円が現れ俺の姿が公園から消え去る
のだった。
この一連の出来事は、ダリウス達を倒した時に遡る。
ダリウス達を倒した俺とオトアは1度は元の世界に帰ることを考えた、考えたが
「テンタ君を元の世界には返せるんだけど……私は無理みたい」
とオトアが俺に言う。
「どういうこと?」
と俺はオトアに尋ねると、オトアが言うのには自分以外の人を他の世界に送ることは
出来るが、神の権化の能力を持つオトア自身は他の世界に行けないって事らしい。
そこで、俺としても元の世界に戻りたいって気持ちはあるが、肝心のオトアが戻れない
って言うのでは意味がない。
そこで考えたのが今回の作戦。
異世界に飛ばされた事実が変えれないらしいので、だったら所謂、平衡世界って考え
の元、もし飛ばされなかったらって言う世界を作ろうってオトアと話をしてたんだ。
で、
「おかえりテンタ君w」
「ああ、ただいまw」
俺はオトアにそう返事を返し再びタキシード姿に変わると、みんなが待つ会場へと
向かう。
そう、俺達結婚するんだ。




