表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/52

38 バレンタイン

 バレンタイン。手作りのチョコとか作る腕も余裕もないので、デパートで有名メーカーの詰め合わせを買った。

 まぁ、ね。あたし個人の好みとしては、チョコは日本のメーカーのが一番だと思うんだけど。

 愛情をお金に換算するのはどうかと思うけど、買ってすませるなら、金額とか見栄えとかって大事だとは思うんだ。男の子にそれが通じるかって問題もあるから、自己満足だけどね。でも、先輩くんに写真見せるだろうから、ある程度押し出しも必要だと思う。

 あと、もう1つ、ホワイトデーの問題もあるけど。倍返しとか、求めてないからねって言っとかないと。




 バレンタインは平日だったけど、ここはその日のうちに渡したい。だから、仕事を早々に切り上げて、急いで帰ってきた。

 メイク落として、もう一度プライベートモードで化粧し直して、髪も直して。今日のために温めるだけの料理も用意してる。


 「雄樹くん、今日は一緒にご飯食べよ。おうち帰ったら、教えて」


って朝のうちにメッセしといたし、返事もあったから、今は連絡待ち。


 「今帰ってきたから。速攻シャワー浴びてそっち行く」


 よし、温めよう。




 「はい、バレンタイン。大好きよ、雄樹くん」


 「ありがと。わ、なんか豪華なんだけど」


 「社会人だし、先輩くんに写真見せても大丈夫なものをって思って。

  お返しはね、ホワイトデーの夜、お姫様みたいにお風呂で洗って?」


 「…そんなんでいいのかよ」


 「うん。あと、いっぱい好きって言ってほしい」


 「全然釣り合ってねえだろ。子供の肩たたき券かよ」


 あ、そういう取り方もあるんだ。


 「お金より、気持ちを言葉にして、態度で見せてほしいの。

  あと2か月で、やっと普通の恋人同士になれるし、ホワイトデーはその1か月前だし」


 「言葉?」


 雄樹くん、不思議そうな顔してる。男の子だと、そういう感覚わかんないのかな。


 「うん、あのね、わかっていても言葉にしてほしいことってあるの。それで、抱きしめられて、大好きだよって耳元で囁いてもらって幸せに浸るの」


 「囁かれっと幸せになんの?」


 「そうだよぉ。女の子って、案外単純なことで喜ぶんだから」




 次の週末、雄樹くんとの面談の日。

 結局、2週に1回のままずるずる続けてる。そういえば、三者面談は、ご両親がお正月明けにまた出国しちゃったせいで、できずじまいだったなぁ。


 「女の人ってさ、好きって言ってほしいもん?」


 雄樹くんは、この前のこと、納得できてないらしい。


 「そりゃあ、言われた方が嬉しいだろう」


 「センセーも?」


 「だから、プライベートな質問には答えないと言っているだろう。…一般論として、男女問わず、言葉を欲しがる層というのが存在する。

  どうやら、カノジョから言葉をねだられたようだが、キミ達の場合、少々特殊だからな。

  あまり表立って一緒にいられない分、言葉や態度で確かめたいと思うのは不思議じゃないな」


 なぁんて、全部あたしのことだけどね。

 タチの悪いマッチポンプよねぇ。自分の言葉に自分で裏付け与えるなんて。




 ホワイトデーは、いっぱい「好き」って言ってもらえた。

 隅々まで洗ってもらって、ちょっと舐めたりとかもあったけど、一応セーフ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ホワイトデ〜〜!(*´艸`*) よく「ちょっと」で済んだね(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ