29 体洗ってもらう計画(SIDE:雄樹)
キョーセンセーに言われて、なんかすっきりした。
そうだよな、俺と美弥子さんはまだまだ付き合い始めたばっかで、これから先もずっと続くんだもんな。いっぺんに全部やる必要なんかないんだ。
でも、こんなことなら、先輩にバスバブル渡すんじゃなかった。また買いに行かねえと。
金もまあそうだけど、買いに行く時間がねえんだよなあ。
なんとか時間作って買ってきたけど、美弥子さんは、
「それは次回にとっておいて、今日はこっち使わない?」
っつって、なんか出してきた。ピンクのピンポン球みたいなやつだけど、これもバスバブルの一種らしい。
ちょっと触ってみたけど、スポンジでできたボールみたいにやわらかくて、中に水みたいなのが入ってた。どうやら、お湯に入れると外側のブヨブヨした皮が溶けて、中の水みたいなの──たぶん石けん水みたいなの──が出てくるみたいだ。
お湯が溜まると、たしかに泡がいっぱいになってるけど、なんか色が…
「なあ、なんか、泡がピンクっぽくない?」
って聞いたら、美弥子さんもそう思ったらしくて、すくってみてた。
すくった泡はちゃんと白くて、美弥子さんは、
「あれ? 白いよ?」
とか言いながら、すくった泡を俺の胸にのっけた。“盛る”というより“のっける”って感じで、俺の胸んとこには、おっぱいみたいな山が2つ。
「ちょ、美弥子さん、何やってんだよ!?」
って言ったら、俺にも泡のビキニをとかってはしゃぎだした。
んで、そのまま俺の体を洗い始めた。
!
背中に当たる柔らかい感触…後ろから抱きつかれて、胸が背中に押し当てられてんだ。
美弥子さん、わざとか!? もしかして、ヤッてもいいって、そういうことか?
「お…」
「あ、ごめんね」
振り向こうとしたら、美弥子さんはさっと離れた。やっぱりダメなのか。
少し、いやかなりガッカリしたけど、美弥子さんは手のひらにボディソープを盛って手足を洗ってくれた。
なんつーか、生殺しって、こういうのを言うんかな。
高校生と社会人が付き合うって、面倒なんだな。俺があと1年早く生まれてりゃ、こんな面倒な話になってないのに。
ちょっと嫌な気分になったけど、美弥子さんに体洗ってもらって、美弥子さんを洗って、楽しかったことは楽しかった。
美弥子さんも高校生だったら、普通に付き合って、どっか遊びに行けたりしたのかな。…部活があっから、それは無理か。




