18 年上の女(SIDE:雄樹)
美弥子さんちで肉じゃがを食べて──うまかったけど、なんか自分が情けなくなった。
付き合ってるったって、俺が美弥子さんにしてやれることなんてなんにもなくて。結局、ごちそうになってるだけだ。材料費だって出してない。
美弥子さんは俺のこと好きって言ってくれるし、キスとかもしてくるから、一応本気なんだろうって思いはするけど、俺は何を返せるんだろう。
誕生日が11月10日だってわかって、じゃあバイトとかしてプレゼントでもって思ったら、美弥子さんに止められた。
そりゃあ、たしかに部活忙しいし、バイトするような余裕はないけどさ、仮にもカノジョの誕生日プレゼントに肩たたき券みたいなもん送れるわけねえだろ。
美弥子さんの元カレに見劣りするようじゃダメだろ。
元カレにはご飯作るんじゃなくて、一緒に食べに出掛けたってんだから、せめて誕生日くらいそういうのしねえと。
金で量るもんじゃねえけど、そういうのも大事なんじゃねえか?
結局、そっちの話で気分が変なとこいっちまったから、続きはできないで帰ってきた。
美弥子さんと付き合ってること、まだ先輩とかには言ってないし、誰に相談すりゃいいかな。
酔っ払ってる美弥子さんとヤっちまったのがきっかけで付き合ってますとか言えねえし。
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キョーセンセーの授業のプリント取りに行って、ふと、センセーなら参考になること言ってくれっかなって思った。
この前の授業で、昔の貴族とか、親子くらい年の離れたのが結婚することもあったなんて話してたから。
「あのさキョーセンセー、ちょっと聞いてもいい?
この前さ、親子ほど年の離れた夫婦とか言ってたじゃん? ああいうのって、昔はよくあったの?」
センセーは、昔は子供を産むのがおおごとだったから、女は若い方がよかったなんて話をしてくれた。
「それってすげーセクハラだよな」
「セクハラという概念のない時代にそれを言ってみても仕方がないぞ」
そっか。そういう時代ってだけで終わっちまうのか。でも、考えてみりゃ、これって男の方が年上って話だよな。
「姉さん女房は金のわらじを履いて探せって言葉もあるよね」
どっかで聞いた姉さん女房の話をしたら、先生はすぐ訂正してきた。
「かね、だな。金じゃなく鉄という意味だ」
そうか、鉄のわらじなのか。どっちにしても、姉さん女房が喜ばれる場合もあるんだな。
「要するに、年上なのはいいことなんだよな?」
「年上の方が包容力があるという意味で使われることが多いかな」
「包容力…そっか」
平たく言うと、甘えさせてくれるって意味か。
そりゃあ、年上の方が甘えさせてくれるよな。
中学生に甘えるとか、ありえねえもんな。
「まぁ、節度をもって行動する分には何も言わないが、問題を起こすと大会の出場停止などのペナルティが発生するからな。気を付けた方がいい」
なるほど。不純異性交遊とか言われて出場停止になった高校とかあるもんな。
「うん、気を付ける」




