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西湖でゆっくり休暇を楽しむとしようか、クニマスやクログチマスっぽい鱒も無事釣れたよ

 さて、西湖は富士五湖の真ん中に位置するがエンジン付きの船の運航などの規制もあって、河口湖・山中湖・本栖湖のような遊覧船が運行されているわけでもなく、河口湖周辺のようにホテルや富士急高原ランドのような観光施設がいっぱいあるわけでもなく、風穴・氷穴・蝙蝠穴などの洞窟などくらいしか観光名所と言えるものはない。


 それだけに富士五湖の中では一番ひと気が少ない湖だが、逆に富士山周辺の自然を満喫でき、クルマなどが少ないぶん、空気は澄んでいておいしい。


 そして、意外に中央自動車道のインターから近いので、車でのアクセスは悪くない。


 このあたりは標高が高いこともあって割と涼しいし、湖面を吹き抜ける風が心地良いから暑い夏を涼しく過ごすにはぴったりだ。


「夏も終わりに近いからか、わりと空いてるのはいいな」


 俺がそういうと会長が首を傾げていた。


「キャンプ場の採算としてはどうかと思えますけども」


 まあ会長の言うことにも一理ある。


「まあキャンプ場なんてそんなに儲かるもんじゃないからね。

 こういうところの管理人さんは好きでやってる場合のほうが多いし」


 それはともかく女の子が蝙蝠穴のコウモリを見に行きたいとも思えないので、この近くでやれることは、氷穴・風穴を見に行くか、樹海の遊歩道などを散策するか、西湖の周りのサイクリングや散歩をするか、湖畔なり、ボートからでの釣りをするか、純粋にボート、カヤックやカヌー、ウインドサーフィンといった水上での遊びを楽しむかだな。


 ライフジャケットも借りられるから水上の水遊びは割と安全に楽しめるし、頼めば漕ぎ方なども教えてもらえるようだ。


「ここのキャンプ場や民宿は湖面の眺望がいいのが売りだよな」


 俺がそう言うと斉藤さんが頷いた。


「光が湖面に反射してきらきらしてるのは悪くないわね」


 しかし会長が残念そうに言う。


「富士山がもっときれいに見えればよかったのですけど」


「それはたしかにな」


 ここからだと山が邪魔して富士山は一部しか見えないんだよな。


「俺はのんびり釣りをしようと思うけど、みんなはどうする?」


「私はのんびりコテージで本で読んでいるわ」


 そういうのは斉藤さん。


「私はウインドサーフィンに挑戦してみますわ」


 そういうのは会長。


 まったくもって正反対の行動だけど、らしいっちゃらしいな。


 ちなみにコテージはバス・トイレ・キッチン付き定員6名のものだが、きれいだし貸し別荘みたいなものだと考えれば一晩2万でも安いと思う。


 天気があまり良くなかったらバンガローも借りることも考えたけど、今日は天気もいいので後の半分はテントで寝る予定。


 西湖周辺はホテルよりも小さい旅館や民宿が多く、釣宿も豊富だ。


「自分も釣りしてみたいっす」


「わたしもー」


「あ、わ、私もです」


 釣りをするのは俺、明智さん、最上さん、浅井さん。


「僕は会長と一緒にウィンドサーフィンをやってみるよ」


「俺もそうしてみるぜ」


 芦名さん佐竹さんは会長と一緒にウィンドサーフィンをするらしい


「私は斉藤さんと一緒にコテージでのんびりするね。

 飽きたら散歩にでも行くけど」


「自分もゆっくりするです」


 千葉さん朝倉さんは斉藤さんと一緒にコテージでのんびり過ごすらしい。


「私はバスで井入酒醸造に行ってくる。

 ”甲斐の開運大吟醸”を一度飲んでみたいしな」


 まあ先生ならそうするだろうね。


「ああ、江戸時代からあるっていう有名な酒蔵でしたっけ」


「ああ、かなりうまいらしいし、試飲もできるらしい」


 というわけでバラバラだけどみながそれぞれの過ごし方を楽しむことになった。


 西湖で釣れる魚はヒメマス・サクラマス・カワマス・ニジマス・ワカサギ・ヘラブナ・ブラックバス・ヤマベなど。


 本栖湖、西湖、精進湖は湖底で繋がって居るらしくて、その他の放流された湖の魚が混ざることがあるらしい。


 かってはコイやナマズ・鮎なども放流されてるらしいが、そういった魚はほとんどいないらしい、まあウナギはいるみたいだけど。


 そして80年代にはまだ禁漁制限はないので夏でも普通に釣ることもできる。


 ただ、鱒は暑さが苦手なので結構深いところを狙わないといけないが。


 ちなみに本栖湖も似たような感じのようだが、鯉やナマズが住むにはおそらく水が綺麗すぎる上に水温が冷たすぎるのだろうし、鮎が住むには苔が足りないんだろうな。


 船は二人乗りボートで3000円で借りられ、竿やライフジャケットなども借りられるし、餌も買える。


 俺は浅井さんに釣りの仕方を教えるために一緒に乗り、明智さんと最上さんが一緒のボートに乗る。


「あ、明智さん、最上さん。

 もし全身が真っ黒な黒いマスが釣れたらスケッチしておいてもらえるかな」


「うん、いいよー」


「わかったっす」


 最上さんなら正確なスケッチが期待できるだろう。


 西湖には既にブラックバスもいるがブラックバスはあまり低温に強くなく、漁業権のために養殖したものを意図的に放流をしてもさほど数は増えているわけではないようだ。


 ヒメマス、サクラマス、クニマスなどの鱒は逆に水温が高くなると死んでしまうから西湖ではクニマスが生き残れたんだろうな。


 1935年3月に田沢湖の漁協から、西湖と本栖湖に10万粒ずつクニマスの卵が送られて、それが孵って生き延びていたというのだから不思議だと思うかもしれないが、もともとヘラブナもヒメマスやサクラマスもワカサギもブラックバスも他所から持ってきて放流された魚で、もともといたのはハヤ(オイカワやウグイ)やカジカくらいだと思う。


 ブラックバス(オオクチバスやコクチバス)やブルーギルの移植放流を制限する通達を水産庁が出したのは1992年で全国の自治体は、相次いで放流禁止の条例を出したが、むしろその後のほうがブラックバスの違法放流が増えていくのはアメリカで禁酒法を出したあとの方がむしろ飲酒が広まっていったということにも似ているが、これは釣具業界がからんだ組織ぐるみの密放流があったらしい。


 業を煮やした水産庁は1999年にキャッチ&リリースや生きたままの持ち出しを禁止し、それを破ったものには高額の罰金を課すようになったのだが、一部の人間の私欲のために生態系はどんどん破壊されていったのである。


 ちなみに日本の淡水魚で最も悪食なのはじつは渓流の王者と呼ばれるイワナで蛇や小鳥、カエルなどに加えて、同類のイワナをも食ってしまう。


 逆にブラックバスは温かい水を好むので、比較的水温が高く、湖沼や下流の河川で繁殖したが、コクチバスがあまり増えなかったのは、おそらくオオクチバスやイワナとの生存競争で不利だったからだろう。


 それはともかくボートを借りて、入漁券を購入し、竿やサビキ仕掛けなども全部借りて、ライフジャケットを着込んだらボートを出して、ポイントでブイにつないでボートを固定して釣りをスタート。


「こうやって釣り針にイクラを指して後は底の方まで投げ込んで竿先が上がるまでまって」


「は、はい、やってみます、えい!」


 浅井さんは釣りも初めてらしいけどある意味、初めての体験がたくさんあってそれらを楽しめるのは羨ましくもある。


「き、きました!」


「落ち着いて。

 ゆっくり竿を上げてね」


「は、はい」


 釣り竿がしなって魚が暴れる。


「浅井さん、ゆっくりリールを巻いて引き上げて」


「は、はい」


 水面近くに上がってきたところをタモ網ですくい上げ魚籠に入れるが、多分これはヒメマスだろう。


 ヒメマスは紅鮭と同じ種類なんだけど住んでいると言われる湖は多くないので十分珍しい魚だったりするんだけどな。


「うん、幸先いいね」


「は、はい!」


 そして俺の方にもかかった。


「よし、きたな!」


 これも浅井さんにタモ網で掬ってもらってなんとか無事ゲット。


 で、15時位までには二人合わせて20センチほどの大きさの10匹ほど釣り上げることに成功。


 まあうまい人なら一日30尾くらい簡単に釣れるらしいけど。


「変わったやつはと……いるっぽいな」


 これが田沢湖の独自種だと言われていたクニマスやクログチマスだといいんだけどな。


 とりあえず全部写真に撮ってからヒメマスやサクラマス、ニジマスだと思う魚は、〆て、エラ取りや内臓取りもして、変わってるやつは魚籠に入れてボートに吊るしておこう。


 生かして水槽で飼うのは可能だが魚を飼うにしても難易度があり、フナ・コイ・金魚などがもっとも簡単でグッピーなどの熱帯魚、海水魚と難易度が上がって、冷水魚が実は一番難しい。


 なんでかと言えば水温を上げてはいけないというのが難しいのだ。


 まあ冷水魚用水槽クーラーという銭湯の水風呂で使うような低温で水温を安定させるようなものは高価ではあるがちゃんとあり、エアコンをつけっぱなしにすれば気温の上昇も防げるが、25℃から28℃が生死の境になるのだ。


 さらに渓流に住んでいる魚は水質の悪化や病原菌・ウイルスに弱くて直ぐに死んでしまう事が多いらしい。


 比較的かんたんなのは養殖もかんたんなニジマスや何でも食べるイワナで、逆に降海型のサケ科も鱒は餌も食わないと言われている程飼育は難しく、まず餌付けできるかどうかで変わってくる上に秋を迎えると大抵は衰弱して死亡してしまう。


 ただし、8月までは餌付けは比較的簡単で暗室で照明をタイマーで調節して夏至と同じ間隔で点灯消灯させれば産卵などをしなくなって長生きはするらしい。


 120cm水槽に入れて仕切リを入れながら水槽用クーラーを回せばなんとかなるだろうけど水槽クーラーの価格は10万円から100万くらいするらしいが、飼うなら必須なので買うしか無いだろう。


 取り合えずはクーラーボックスに西湖の水をブクブクをいれて、氷をタオルで包んでビニール袋で閉じて、入れていけば水の温度があがらずに千葉まで持ち帰ることは可能なはずだ。


 この手の鱒は氷河期には海まで降りていたが、縄文時代に温暖化すると、川の温度が上がってしまって降りられなくなった結果、陸封されたらしいがそのため同じような鱒でも湖によってまちまちな亜種がいたりするのだな。


 とりあえずはクーラーボックスが空くまでは魚籠に入れて西湖で泳がせて餌にはイクラをやるとしよう。


 明智さんと最上さんコンビも同じくらい釣れたらしいからバーベキューのときに美味しい魚料理もできるな。


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