実質活動停止状態にあるアニメ製作会社や出版社も買い取ろうか。
さて、閉園した谷津遊園を無事に買い取ったわけだが、幸いなことにアトラクションのたぐいはできるだけ売るつもりでいたようだから、それらのメンテナンスはちゃんとされていた。
なので人員さえ揃えばすぐに開園は可能なはずだ。
「まあアトラクションを解体して棄てるにも多額の費用がかかるならできるだけ売りたくはなるよな」
俺がそう言うと斉藤さんも頷いた。
「それはそうよね。
でも、そのおかげで助かったわね」
「ああ、夏休みはプールも含めてこういった遊園地の最大のかきいれ時だしな」
8月の夏休みは書き入れ時だからそれまでに開園するために、京成電鉄や国鉄の総武線や総武横須賀快速線、武蔵野線や東武野田線の柏までの路線列車に社内の中吊り広告や千葉新聞などで8月1日より谷津遊園復活の広告を打ちながら求人募集も出した。
なお、谷津遊園の食堂では当面は国鉄と提携して有名観光地の駅弁を販売する。
函館とか仙台とか名古屋とか広島とか博多とかの予定だ。
これはここを桃鉄ランドにするための布石でもあるし、ここを桃伝のゲーム内で買える施設にして知名度を上げるつもりもあるが、ありきたりな食堂メニューを揃えるよりよほどいいと思うんだ。
干潟では海の家を立てて焼きそばとかフランクフルトとかかき氷も売る。
アルバイトの時給は1000円で高校生は900円と、舞浜のアレより100円高くしてみた。
そして8月の一ヶ月の働きを鑑みてその後は正社員として働くことも可能で、その場合の月給は25万円、もともとここで働いていた人はその経験年数次第で月給50万まで支給とした。
「まあこのくらいなら普通だろう」
会長も頷いてくれた。
「まあこんなものでしょうね」
求人数はアトラクション関係で40名、チケットブースや食堂売店で20名、施設内清掃で10名、駐車場整理で5名、企画運営・メンテナンス・広報で25名の計100名は必要だろう。
これに対して採用に必要な経費まで含めると、年間の人件費が12億円で収まれば御の字かな。
更にジェットコースター中心にアトラクションのメンテナンス費用が5億、水道光熱費が1億くらいらしいので支出が年18億程度。
これに対して入場者数が年間百万人でチケット売り上げが40億円その他食堂や売店、ゲームセンター収入が8億円くらいらしいので年48億円くらいだから差分は30億円で計算通りなら1年でもとは取れる。
だけどゲームのように施設を購入すれば後は自動的に金が入ってくるわけではないのがこういった遊園地などの大変な所で、年間の入場者が100万人いればって話だからあんまり甘く考えるのも良くないが、テーマパークとしての入場者数最多は舞浜のアレの次は上野動物園で谷津遊園はそれに次ぐ3番目の入場者数の300万人弱を誇っていたからそこはあんまり心配しなくてもいいかともおもう。
これは谷津遊園の立地的な利便性の良さが大きく、国鉄なら総武快速横須賀線、各駅停車総武中央線、後は京成電鉄の本線の東西に伸びる路線に加えて、船橋には柏の方に走ってる東部野田線、西船橋には新松戸方面へ行く武蔵野線と地下鉄東西線、津田沼には新京成線などもある上に、高速道路は花輪インターが近く、千葉には他に競合するアミューズメントパークがほぼ無かったのも大きいだろう。
東京・神奈川・埼玉はそういう点で結構遊園地がいっぱいあるからな。
舞浜のアレは京葉線がまだ開通してなくて東西線の浦安からバスか車を使わないといけないので利便性はいまいちなのに既に年間入場者数が1,000万人を超えてたりするんだけど、あそこは広告屋がバックに居るし駐車場面積では比較ならないほど広い化物だから気にしたら負けだ。
それはともかく株価も底値になったので理事長の名目で三倍の信用取引の20億円ほど金をつぎ込んで値上がりするはずの銘柄を買っておく。
「3倍の信用取引で20億は大きな賭けですわね」
現状できる限界の金額での株取引に会長はちょっと不安そうだった。
「でも、これから株価は絶対上がるよ」
「そうなると信じていますわ」
「ああ、それから会長、潰れそうなアニメ制作会社や出版社も買収したいんだけどいいかな?」
「それらを買収することで利益が出ると?」
「ああ、スポンサーの撤退で倒産してしまうけど実績がある会社だからね。
アニメ制作会社の方は宇宙の戦士バルディオッスやJ10シリーズっていうロボットアニメを作ってた国際動画社って所で1985年6月に不渡り手形を出してるらしい」
「それは有名なアニメですの?」
「ロボ好きならそれなりにね。
機動要塞ガンガンほどじゃないけど、売り上げも悪くなかったみたいだ」
「それなら美味しいですわね。
早速話をしてみましょう」
「うまくすれば古谷かおるさんのふたり鷲も打ち切りにならないですむかもしれないしな。
けどまあ作画がアレなんだよな、あそこ。
経営悪化してるメガゾーン22の制作会社のアーントランドやジェー・ジェー・スタッフを立ち上げるらしい宮元知行氏や、今はフリーのはずの今河泰宏氏あたりを引き込んだほうがいいかも」
「わかりましたわ、そちらの方々のほうも調べて話をしてみましょう」
「出版社は桃源郷社あたりかな。
あそこは活動をほぼ停止してるけど名義は残ってるみたいだし」
「わかりました、そちらも調べて話をいたしましょう」
というわけで実績はあるけど実質的な活動を停止してるアニメ制作会社と出版社を買収することにしたんだ。
「それぞれ3億円で話が付きましたわ」
「それはありがたい、これでさらにやれることが増えるな」
アニメのほうは宮元知行氏には早朝アニメで魔法少女のバトル物の“ふたりはプリテイファイター”を作ってもらいつつ、ゲームなどのメディアミックス的なアニメ化もしてもらいたい。
TRPGをみんなとやってみてわかったけど女の子のほうがむしろガンガン闘いたいという願望が強い感じがするし、一部の男にも受けるだろうし。
そして今河氏には男臭いロボットものや超人ものをぜひやってもらいたいと思うし、アーントランドにはメカと美少女路線を突っ走ってもらいたい。
出版社のほうは今年の夏の晴海で開催される同人即売会で人材を発掘して、それを書店で売る商用漫画として売るつもりだ。
高川ゆん氏とか同人グループのCLANPとか同人出身の作家から商業でヒットさせた例があるし同人即売会の参加グループもかなり多いからな。
もっともこの時期に行われている同人即売会の参加者は女性、特にコマンダー翼のやおい同人などがめちゃ多いんだけど、同人ゲームを作ってるやつがいたら社員に引き入れたいなとも思うんだよ。




