谷津遊園の敷地拡張のためにメガフロートを利用しようか
さて、谷津遊園にスペースウォーズのアトラクションができ、ジョージ・ルークス監督にテレビおよび現地でのアトラクション完成の挨拶を行ってもらったことで谷津遊園の知名度と人気は爆上がりした。
しかしあらたな問題が出てきた。
「現状では駐車場の広さが足りませんわね」
「じゃあ、メガフロートの技術の買い取りも終了してることだし、製造させてみようか」
俺がそういうと北条先輩もうなずいた。
「確かにそれがいいかもしれませんね」
メガフロートの実際の設置例としては沖縄国際海洋博覧会での人工島「アクアポリス」がすでにあり、来年の昭和63年(1988年)には長崎県南松浦郡新上五島町の上五島石油備蓄基地でメガフロートが採用される。
上五島国家石油備蓄基地は世界で最初の洋上石油備蓄システムであり、貯油能力は世界最大級でもあったりする。
個々の場合は防波堤によって平穏な泊地を確保し、貯蔵船を並列に配置しているが谷津ならば防波堤を設置する必要もない。
またメガフロートは埋立地と違い、地震に強く、液状化現象の心配もない。
そのほかにも用地が不要、水深や地盤に関係なく海域を利用可能、工期が短い、移設が可能、環境への影響が少ない、拡張や形状変更が容易、上部だけでなく内部空間が利用可能、重量物設置が可能などの様々なメリットもある。
ではなぜ日本でメガフロートの設置があまり進まなかったのかといえば、メガフロートは一種のタグボートで曳航される艀であり、管轄は造船になるのだが、日本では土木のほうが強い力を持っている。
運輸省と建設省では建設省のほうが発言力が強いんだな。
また造船所にとっても、メガフロートはただの「鉄の箱」でしかなく、速度や乗り心地などを追及する余地が全くないため、自社の技術力を格別誇れる案件ではなく、職人魂を刺激されず取り組む熱意が起きにくいという理由もあるようだ。
「できたら沖縄国際海洋博覧会で使われたアクアポリスを買い取ることはできないかな?
たぶん5億円もあればいいと思うんだけど」
「それはたぶん可能だと思います。
沖縄国際海洋博覧会の会期終了後は来館者数が低迷して、本体の再塗装など保守費用の調達も困難となっているようですし。
とはいえ、こちらから急ぎでの譲渡を申し出たのならば、多少は値段を吊り上げられるかもしれませんが」
”前”では保守費用の捻出ができなかったために、錆が進んだ構造本体に一般客を入れることが危険な状態になったため、平成5年(1993年)に施設は閉館され、平成12年(2000年)10月に米国企業に1,400万円で売却されたが、これはあくまでも、解体処分後の廃材再利用であった。
「ま、多少ならいいよ。
できるだけ早く駐車場なんかの拡張はしないといけないからね。
メガフロートを造船所に発注して建造するしても完成に1年くらいはかかるだろうし」
アクアポリスの面積は10,400 m2でおよそ3,146坪。
一般的な自動車の駐車面積は4坪から5坪だが、駐車をしやすくするには5坪。
大型バスなどはおよそ、その倍の10坪ほどが必要だが、それでも十分な数の車は駐車できるはずだ。
「まあ最悪は積載車輛数の大きな車載フェリーもレンタルしようか。
大型フェリーでも大型トラック121台に、乗用車134台とかは載せられるはずだし」
PCC (Pure Car Carrier)と略される「自動車専用船」は普通乗用車を5000台近く積み込むことができるそうだが、そういうのはプロドライバーが車の間隔を開けないように載せていくものだからな。
ホリデードライバーの使う駐車場には無理だ。
「ではまずは大型フェリーをレンタルし、アクアポリスの買取及び谷津まで曳航、建造依頼したメガフロートの完成と曳航が完了しましたら、置き換えを行いましょう」
「うん、それでいいんじゃないかな。
広島のナタリーも駐車場の拡張は必要だしね」
俺がそういうと北条先輩がうなずく。
「そうですわね」
しかし、舞浜のあれは8,000台分もあるらしいからな。
もともと大正14年(1925年)に谷津遊園開園したときから60年代くらいまでは、電車での移動が普通だっただろうし、駐車場スペースの確保は少し頭が痛いな。
そちらの問題が解決できたらごみ焼却場や納骨場など、ないと困るが、あると周囲の地価が下がるような施設を優先に、防災基地やスポーツ施設、レジャーアミューズメント施設及び海上発電所などの展開も、考えていくのがいいかもしれないな。




