海外TRPGの翻訳作業も一応順調だ
さて、現在明智さん兄妹にはTCGの制作は一度ストップしてもらい、現在は海外TRPGの翻訳作業をやってもらっている。
そして一番最初はカオティック社の”クトゥルフの呼び出し”から翻訳作業をおこなっている。
基本的に”地下迷宮龍”と違って成長してもさほど死ににくく成るわけではないルールであることと、日本でもクトゥルフ神話に影響を受けた小説がすでに結構有名な作家さんによって発刊されていて知名度がそれなりにあり、完全オリジナルファンタジーの”魔法石探索”よりはとっつきやすいだろうことが理由だ。
で今は日本の小説をもとにして作成した付属シナリオを明智さんのお兄さんがキーパー(GM)でテストプレイをやっている最中……なんだけど。
「はい、”それ”を見ちゃったのでSANチェックして」
俺のキャラクターが”火”の支配者と思われるものの正体を見てしまったらしい。
「げ、失敗した」
「じゃあSAN値が1D100減るね」
そして10面ダイスを2個振るとそれぞれ8と5で85!
「ああ、こういうときに限って出目がでかい?!」
「残念ながら君は完全に発狂してしまい二度と正気に戻ることはなかった」
「まじかー、これって日本の小説を元にするとまず正気でいられないんじゃないです?」
「まあ、日本の小説をもとにすると普通にアレやコレやと旧支配者がでてくるからね」
「いやその前に普通に惨殺された死体もたくさん出てくるけど日本じゃありえないでしょ」
元になったアメリカのクトゥルフ小説とかに比べると日本のクトゥルフ小説は外的驚異と直接戦う伝奇小説的な要素がでかいからな。
まあ、もっと先には這い寄る混沌が美女になったり、ネクロノミコンが美少女になったりしてラブコメしていったりもするんで、このくらいならまだましかもしれないけど。
そもそも基本的にはキリスト教社会であるアメリカと違って、日本は神仏習合的なんでもありな宗教に対して寛容な社会でもあるから、アメリカでは唯一の神以外に強力な存在があるということ自体が怖いんだろうけど、キリスト教的な天使もインドの神仏も日本の神々も全部”悪魔”という異界の存在であると言う”女神召喚”の世界観では、クトゥルフの神々も仲魔として使えるのが普通に受けいれられてしまう日本だと怖さというものが半減な気もする。
もともと翻訳前のゲームの舞台は、1920年代のアメリカを舞台としているため好事家のような日本人にはあまり馴染みがない職業や技能も多かったりするんだよな。
「まあ、最終的には自由に改造して遊ばれそうな気もしますけど」
「まあ、そんな気はするね」
実際ユーザーの間では伝奇アクションもの、探偵もの、学園ものなど、およそクトゥルフ神話とは直接関係ないようなテーマのシナリオも、このシステムで遊べ、正気度などの恐怖要素に関するルールを排除すると「現代の学園を舞台にしたゲーム」として普通に遊ぶことができたりもする。
「それはともかく、まずはソロシナリオとキャンペーンシナリオを含めて発売していくのがいいでしょうね」
俺はそう言うと明智さんのお兄さんはうなずいた。
「でもまあSFやファンタジーは多いけど近現代の現実的世界のTRPGは少ないから受けると思うけどね」
ちなみに今回は門川経由の文庫ではなくアドバンスドテクノスの販売網を使ってボードゲーム系のおもちゃ屋で、ボックス形態で直接販売する予定だ。
いろいろな付属品をつけるならボックスのほうがやはり適しているからだけど、そこには小冊子も入れてそれに掲載する小説でクトゥルフ神話の探索の雰囲気を把握できるようにもしておくつもりだ。




