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日本映画の衰退はこの頃から決定的になった

 さて、テレビの時代劇はこの頃にはいろいろな理由があってかなり衰退しているのだが、邦画の衰退が顕著になったのもこの頃だと思う。


 厳密に言えば日本の映画館の数は50年代が最高で7500ほどあったが、70年には3000を切り80年代半ばには2000を切るほど減っている。


 映画館の入場者数も50年代は11億人いたが70年代には2億人を割っている。


 この理由はもちろんテレビの普及があるのだが、50年代は七人の武士やゴッズイーラなどの怪獣映画の大ヒット映画もあってか、邦画の殆どが時代劇、歴史物、ヤクザ物、怪獣物とポルノ映画ばかりになり、60年代最後の昭和44年(1969年)の“”男はつらいぜ“はテレビドラマからの映画化で大ヒットしたが、やはり邦画の殆どが時代劇、歴史物、ヤクザ物、怪獣物とポルノ映画ばかりだったところに殴り込みをかけたのが門川で、小説を映画化した”日本水没”や”狗神家の一族”が大ヒットした。


 これはテレビでの徹底した宣伝を行い、予めブームを巻き起こして作品をヒットさせる方法で「門川商法」と呼ばれ、マスコミや従来の映画ファンからは批判を浴びたが、門川商法によって、完全に斜陽だった映画に若者も足を運ぶようになった。


  当初、門川映画に批判的だった俳優も十分な予算をかけた撮影現場にショックを受けて支持に転向したくらいでもあったし、実力派ミュージシャンを起用してヒット曲を連発した。


 ただ巧みで誇大な宣伝に釣られて映画館で映画を見るとなんか違うという違和感はすでにあったようだ。


 そして宣伝にも十分にお金をかけるだけならば問題なかったが、だんだん制作費はケチって宣伝費を多くすればいいという方向へ走ってしまうようになった。


 それが顕著になったのが80年代の「アイドル女優とそのファンのための映画」で”セーラー服と機関砲”などの主演女優がアイドル女優路線な映画がそれだ。


 このころはテレビドラマにもアイドルがどんどん起用され、良い演技をする俳優ではなく、演技が大根でセリフが棒読みでも有名な芸能人や若手のアイドルを使って売っていったわけだが、そのうちそういった登場人物ではなく演じる人間のネームバリューに頼り切りになっていき、芸能プロダクションは、その映画の登場人物として芝居が出来るか出来ないかなんかどうでもよく、自分たちが売り出したいタレントを押し付けるから、そのタレントが好きでない限り演技が見ていられないレベルにどんどん下がっていったわけだ。


 まあこれは映画だけでなくミュージカルやドラマなどもそうなっていくわけだが。


  アメリカやヨーロッパの映画、長編テレビドラマではまず基本となる脚本があり、その配役にふさわしい出演者を決めるためのオーディションが行われ、それに選ばれるには有名無名を問わずそのオーディションを受けて、その役柄に合うかどうかを制作者側が判断して選ばれる。


 日本の場合はプロダクションの力関係で配役が決まり、プロダクションの指示によって、現場で脚本が書き直されることも多々ある。


 日本映画の脚本がクソだと言われるのは結局こういった芸能事務所の作品への余計な介入によるものもある。


 もっとも原作付き作品を実写映画化する場合はそもそも原作へのこだわりがない人間が有名で人気だからと作品を選んで、原作が好きならばありえない改悪をすることも多く、監督や役者たちが脚本を勝手に変えていたりもする。


 そして「原作がありアイドルなどが主演の映画はクソ」というのはその後定着していくわけだが、脚本については、原作にない受けを狙った不自然なシーンやおかしなシーンを無理やりねじこもうとするが、特に脈絡もなくピンチのシーンでのラブシーンが始まったりするのもあったりするからやはり脚本そのものにも問題がありそうだけど。


 そういった門川商法が成り立ってしまう原因の一端は日本人の同調圧力による排他主義のようなものがあると思う。


 要は世間一般ですごい作品と言われている明らかに宣伝による話題やアイドルや俳優の名前が売りの映画をつまらないと言えば、おまえは全く分かってないと叩かれるわけで「オモシロカッター」などと言わざるを得ないわけだ。


 でまあ表向きはそう言っておいてつまらないからもう二度と見ないとなるサイレントクレーマーが増えて映画はますます衰退するわけだな。


 あと洋画は作られている数が多いから面白い作品も多いのであって、洋画だってクソ映画と叩かれる作品は多いのも事実だけど。


  とはいえ日本映画はハリウッド映画やインド映画のようにセリフがわからなくてもそれなりに楽しめるという作りになっていない。


 例外はアニメ映画ではあるが、ハリウッドやインド映画がなぜ人気を得らたかというと、特定の言語だけだとその言語が分からない人たちに理解できないから、言語が分からなくてもなんとなく見ているものが皆に分かる映画を作るために、セリフや説明が少ないからだ。


 日本のアニメ映画も絵だけ見ていれば説明などがなくてもわかるという作りをしていたから海外でもうけてる。


  それはともかくテレビ局でもあり新聞社でもあるグループが総力を挙げて自社媒体で宣伝した『南極基地物語』が門川の映画を抜いて興行収入トップに躍り出ると他のマスコミ各社も同様な手法をとっていき、テレビ局が自社のコンテンツや宣伝力を利用して映画をプロモーションするようになり、映画そのものがテレビの宣伝(例えば特撮や漫画の劇場バーションの制作ためのコンテンツ)になっていったわけだ。


 まあそれが絶対的に悪いとも言わないが、実写映画がどんどん評判を落とす一方で、アニメ映画や特撮映画が評価を上げるようになっていくのは、結局は登場人物の名前で売り出そうとした実写に対してそういった傾向が薄くてオーディションなどで演技力やイメージを確認している特撮やアニメの演技力との差が出たからとも言えると思う。


  だから俺が映画やドラマを作る際には、よその芸能事務所にタレントをねじ込ませるようなことはさせないつもりだ。ちゃんとしたオーディションで俳優が登場人物の役柄に合っているか、演技力がちゃんとあるかで決めてまともな映画やドラマを作っていきたいと思う。

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