新学期が始まったが野球部の改革も始まったようだ。
さて、夏まつりと花火大会も終わり8月半ばには下がっていた株価も上がったので一度売りを入れて利益を確定させた。
「これでまた何億かの利益は出たかな」
そして2学期の初登校では俺がジュエルスの作成者であることや谷津遊園のオーナーになったこと、高校生クイズで優勝したことがテレビで放映されたこともあり大勢のクラスの人間から声をかけられることになった。
「谷津遊園オーナーで高校生クイズ優勝とかすごいな」
「ほんとほんと」
「すごいよねー」
「前田くん、理事長が理事長室に来てほしいそうよ」
久しぶりにあった武田くんがそう言ってきて周りの女子も頷いてるところで、理事長から呼び出しがかかった。
「今回も株の売却利益でだいぶ予算ができました。
野球部の外部指導者としてマイナーリーグの監督をしている、ロバート・ジャン・バレンタインという方を招聘できましたのでその報告になります」
「あ、無事に見つかったのですね」
「ええ、選手としてはその実績は目立つものではなかったようですが、指導者としての手腕は確かと聞きます、そして日本人に対しての偏見も特に無いようです」
「それなら安心ですね」
「またヘッドコーチ、投手コーチ、バッテリーコーチ、打撃コーチ、守備走塁コーチ、テクニカルコーチ、育成コーチ、トレーニングコーチや通訳も高額ではありますが、彼がひきつれてきています。
そして現在の野球部顧問は入れ替えてバレンタインさんの方針に従って、新しい指導法とチームの運営方針に賛同してくれそうな先生に新しくお願いしましたし、筋トレやストレッチをランニングなどの体つくりを指導するトレーナーも別に呼びました」
「うまく行けば、来年夏の甲子園での優勝は狙えると思いますよ」
「かなりのお金をかけているのですから是非そう願いたいものです」
ああ、やっぱり会長と理事長は親子なんだなとこの言葉で大きく納得したが、話がわかる人なのは助かるし、かけた金に見合う結果が出なければあっという間に野球の方針も、もとに戻ってしまうかもしれないから、何としてでも結果が出るようにしないといけないだろうな。
そしてバレンタイン監督と話をすることが出来た。
「アメリカでは年齢は関係なくその時点での実績とやる気が大事だ。
そして怪我につながることはなるべくさせないのは、当然だからそのあたりは今までとは全く変えていくことになるよ。
朝練も廃止するしね」
「ええ、どうかよろしくお願いします。
朝の練習は疲れて勉強が集中してできなくなるだけであまり意味がないですしね」
「ああ、そうだと思うよ。
日本の野球環境はどうも非効率で非合理的に思える」
日本の部活動だと1年生にはほぼ出場機会がないことも多いが、アメリカはそうではない。
彼なら選手に色々なポジションを試させつつ、ポジションは固定の選手ではなく複数の選手を充て競争意識を高めつつポジションに合った練習メニューを行わせた上で適度に休養を取らせ、選手の適性を見抜きつつその潜在能力や、やる気を引き出し、捕手を先発投手に合わせて相性を考えて入れ替えるなどもできるだろう。
特定のポジションを一人が独占していたらその他の選手はやる気を無くすし、独占しているやつも慢心しやすいからな。
それにどうしても人間には相性があるから捕手が一人だけなのはあまり良くない。
アイシングやストレッチ、マッサージなどの体のケアやメンタルのケアもちゃんとやってくれるだろう。
それだけで他の高校の野球部とは差がでるはずだ。
選手の獲得に関してはここが元女子校ということもあって苦戦はしているようだけど、この頃は公立でも私立でもそんなに選手のレベルに大きな差があるわけでもない。
たとえば最近ならPL学園が甲子園で全部優勝してきたわけでもないしな。
ウエイトトレーニングマシンの導入やルームランナーなどの雨天や酷暑、極寒のときにでも快適にランニングができる設備の導入や、室内のバッティングやピッチングの練習場も専用に作っているようだし来年はいけるんじゃないかこれ。
「まずはカラダづくりのやり直しから始めるが、プロテインもトレーニングの後には摂取させるようにしていくよ。
また早めに寝て十分な睡眠も取らせる」
「あ、それ大事ですね」
技術やメンタルも大事だが例えば
・速いボールを投げられない
・速くは投げられるがコントロールが悪い
・足が遅いため守備や走塁で不利
・打撃の飛距離が出ない
という選手は高い確率で体づくり体力つくりが十分でないことが多い。
ただし筋肉がついてウエイトが増えすぎてもスピードが落ちることもあるから、そのバランスも見極めるのは大事だ。
そしてスポーツや格闘技などでは「食べる事は才能だ」と言われている程、食事をちゃんと食べて体に筋肉をつけることは大切だし、21時には寝て朝7時に起きるくらいちゃんと寝ておいたほうが体の修復もしっかり行われ疲労も回復する。
こういったことを科学的に押さえていった上でやれば、怪我で戦力が予想外に崩れたりすることもないだろう。
「ウィリアムズは投手が振りかぶったとき、直球か、変化球かが、8割わかると言ったそうだ。
そういうことをちゃんと教えていくのも大事だと思うよ」
「ええ、そうですね」
テッド・ウィリアムズはアメリカで「打撃の神様」の異名を持つ、最後の4割打者。
彼が4割もの打率で打てたのは投手は直球と各種の変化球を投げる時にはボールの握りがそれぞれ違うため、投球時の構えにも微妙な変化が生じることを見抜いていたという。
実際にピッチャーはマウンド上でのボールを握るときのしぐさや振りかぶった時のグラブの角度も変わるものらしいし、既にそういったデータ野球をプロ野球では取り入れている球団もあるが高校野球ではまだ殆どない。
だから、アメリカや日本でも先進的な野球チームのやり方を取り入れるのはとても有効に働くだろう。
最終的には高野連あたりがなんか言ってくるかもしれないけど。




