任務
春は出会いの季節とよく聞く、今日はその通りだと思った
始業式に遅刻なんて最悪と思って、遅れていくとそこには一人の少年がいて楽しくお話をした
あの時はものすごく近くにいたのに今は
「霧島く~ん お話しましょ」
数人の女子に囲まれている
はぁ・・・・
同じクラスになったから話せると思っていたけど今日は話せそうにないなぁ・・・・はぁ・・
「優花~~~ 一緒に帰ろ~~」
霧島くんのことをいつの間にか考えていると後ろから呼ぶ声がする
「ああ 綾かぁ」
「なによ そんなに私だったことがつまらないわけ?」
五月川 綾 私の友達にして、親友と呼べる人
「別に そんなことないよ」
「ふーん そう? まあいいや・・・・てかそれにしてもすごいね霧島くん モテモテじゃん」
女子に囲まれていてかなり目立っていた霧島くんの方を綾が向く
「私 なんていうか 霧島くんタイプじゃないんだよね なんていうのエリートの余裕みたいなもんが見えるのよね あそこでおどおどしてんのも演技だったりして」
霧島くんは女子に囲まれることに慣れていないのか、話しかけれてから終始おどおどしていた。
優花は腹がたった。顔だけで判断して動く女子に対してもそして外見だけで決めている綾に対しても
「霧島くんはそんなひとじゃないよ 全然普通だよ 外見だけでそんなこといっちゃだめだよ」
まるで中身をしっているかのような優花のしゃべり方に
「優花 霧島くんと仲いいの? てかなんで知ってるの? 今日転校してきたばかりなのに」
「飛び降りた? ここ八階よ!」
綾が何か言っていたみたいだけど、悲鳴のような大きな声でかき消される
優花は綾を置いて窓の方にいき窓から下を見る
華麗に着地する霧島くんは本当にかっこよかった
「あんた 霧島くんに惚れてんの?」
「っえ?」
ストレートな綾の問いに思わず、裏声になる
そして否定しようとしたが、なんか自分に嘘をついているようで否定したくてもできなくてそのかわり顔が真っ赤になっていた
「ふーん 詳しい話を聞かせてもうか」
にっひっひひひひと笑う綾は悪魔のようでとても逃げられるような相手には見えなかった
その頃光矢は
銃声が飛び交う銀行の中にいた
「銀行強盗の始末なんて俺じゃなくて警察でもなんとかなるだろ くそ あのおっさんこんな雑用まで押し付けやがって」
銀行強盗を受けている銀行を助けて来いと言ってきたおっさんに愚痴をこぼしながら相手の死角から飛び出て射線上に出る。
すると俺が出てくるのを待っていたかのように銃弾の雨が降ってくる
「まあそうなるよな 【光のベール】」
魔法を唱え、光矢の周りに光の膜が出来上がり銃弾を通さない
「さっさと終わらせるか」
強盗に向けて走る。その間銃弾が数えられないほど飛んできたがベールで阻まれてこないのは分かっているので無視して走る
1mぐらいに近づいた時に強盗の中のリーダーみたいなやつが
「止まれ 止まらなければ人質をころすぞ」
その脅迫で走るのをやめる
強盗は見えてるだけで7人かまだ潜んでる可能性もあるな
そして人質はざっと30人ぐらいか
[さっさとやっつけちゃいなさいよ 正直止まらなくてもなんとかできたくせに]
[いや そのまま俺が行って強盗の全員が人質を撃っていたら正直止めれたかわかんねえ]
[そんなことあるわけないじゃない]
[でも可能性はあるんだ 少しでも俺以外が安全な方をとりたい]
[・・・・・]
「魔法使いそこの壁に後ろ向いて頬つけろ 手は後ろに出しておけよ」
リーダーのようなやつが人質に銃を向けながら命令してくる
「俺思うんだけど人質を撃つぞって意味あんのかな?」
今やってることの無意味さをこいつらにわからせるじゃないと逮捕してもまた繰り返すから
「ああ? なに言ってんだよお前」
光矢を不利な状況にしたと思っていた強盗は明らか動揺する
「俺が動いたら人質を撃つ でも撃ったらあんたらをもう守るもんないんだぜ? こっちは撃ち放題さ だから人質を取る時点であんたら悪の負けなのさ」
強盗全員が光矢の話に意識を向けていると確認しながら話して、最後には全員がむいていたので光矢はフルスピードで人質の前へ
銀行にまた銃声が響き渡る
そのすべてが光矢と人質に向けられていたが
【召喚:戦乙女の盾】
光矢の目の前に大きな盾が顕現する
[なんでオラクル使ったの? ここあんまりオラクルないから体の負担おおきいよ]
[知ってるよ でも圧倒的かつ印象の強い戦いをしないと戦意を喪失してくれないよ]
オラクルは召喚魔法攻守呼び出すもので選べる。
そして光矢の召喚の種類は神話や聖剣
普通の種類のマナでも召喚魔法はあるがだいたいが生物でしかも戦いに参加できるほどの生物を出すのは極めて難しい
召喚に必要なのは想像力らしく皆それができないのだ。だけど俺のオラクルはあかりが俺のイメージをそのまま魔法にしてくれるので神話や聖剣などの曖昧で強力なものを召喚できる
「くそ なんなんだよ あいつは! くそ撤退だ」
強盗が銃で牽制しながら逃げ去ろうとしている
「おっと それよりこっちだな」
【閃光のボーラ】
手裏剣のような三本の光の紐が強盗にそれぞれとんでいき、当たったところで四肢を絡め動けなくする
芋虫のように悶えている強盗に近づいて
「強盗さん俺の目が光ってるうちは悪いことはしない方がいい 次やったら警察に送る前に拷問してあげるからね まあ聞くことなんてないんだけどね」
強盗たちから恐怖の色が濃くなっている。今日の任務は終わりだな
警察呼んで人質を逃がしたあとおっさんに連絡を入れる
「天王寺だ」
低くて重いどっかのヤクザかよみたいな声が受話器から聞こえてくる
「独立治安部隊だっけか? 任務完了だ」
さきほどこの天王寺のおっさんに頼まれていた銀行強盗の逮捕を報告する
「そうか よくやった ではまた任務が入り次第連絡する」
無駄に年齢を感じる声だよな まだ40いったかどうかだった気がするんだけど
「次は警察でなんとかできるレベルの相手じゃなくてもっとすごいやつの時呼んでくれ じゃ」
報告を終え、帰路につく
[なんであんなこと言ったの? 簡単のほうがいいじゃん]
確かに簡単な方が楽だだけど
[簡単ってことはさあんまり人を助けれないんだよ 俺はできるだけ人を救うために直接的でも間接的でも任務がきたらやってるんだ それで人が救えるならな]
[でも光矢が危ないよ?]
[いいよ 俺はにもう待っててくれる人は居なくなってしまったんだから]
その言葉にあかりはなんて声をかけていいのかわからなかった。間違った考え方だとわかっていてももうあかりにはその考えをやめて頑張ろうとは言えなかった
[だからいつでも俺はノーリスクなの だからできるだけハイリターンのほうがいいじゃんって話よ]
明るく話す光矢は見てられず
[そう・・・・今夜のご飯は何にする?]
[うーん そうだなぁ 久しぶりにカレーでもするか]
[カレー私も食べたい ・・・]
あかりは話題を変えることぐらいしかできなかった
夜の闇が今のあかりなら街灯は今の光矢のようだった
無理して明るく光っている
せめて頑張って頑張り続けている光矢に祝福が訪れるようにあかりは空に願うのだった




