うまくいかない学校生活
「彩音!?」
彼女の顔を見るとその顔は四ヶ月前に亡くなった彩音にそっくりだった。
その衝撃な事実についていけず、俺は彩音が帰ってきたかのような気持ちになり、名前も知らない彼女に彩音と叫びながら飛びつき、がっちり両肩をつかむ
当然いきなりそんなことをされた彼女は驚き、
「っへ? なになに 私彩音ってなまえじゃないよ」
その言葉で我に返る
「っあ・・・ごめん・・・忘れてくれ」
肩から手をのけ、うつむきながら謝る
それから俺たちの間に微妙な空気がただよう
「っそ そういやぁ 自己紹介もまだだったね」
気を使ってかこの空気に耐えかねてか彩音に似た彼女はそう切り出してきた
「そ・・う・だな・・・俺の名前は霧谷 光矢ってんだ」
彩音にしか見えない彼女にとまどいぎこちなく名前を告げる
「私はね 朝比奈 優花っていうの よろしくね」
朝比奈のあたたかくてフレンドリーな雰囲気で悪い空気も吹っ飛び、光矢もすこしは冷静になり、改めて朝比奈を見る
腰までかかりそうな長い黒髪、パッチリとした可愛い目、整った顔立ち、胸も決して小さくないのに大きすぎることもない。それに加え、モデル体型の体すべてが彩音そっくりだった
唯一違うところといえば目の色だった
彩音は俺と同じで日本人なのに目が青色だ。まあなんとなく彩音が亡くなってからマナで色変えてるけど
・・・
「あの~そんなに見られると照れるんだけど・・」
彩音と似ているのでどこまで似ているのか見るためにじっくり見すぎていたようだ
「あ・・・ごめん 綺麗だなぁと思ってさ」
そういうと朝比奈は顔を真っ赤にし
「綺麗だなんて お世辞がうまいね 霧谷くんは」
「いや綺麗だよ・・・」
彩音に似ているのでつい彩音に言っているようにナチュラルに褒めてしまった
「ここの男子がほっとかないんじゃない?」
急いで言葉をつなぎ、笑い話のようにする
「そんなことないよ 災高の女子はレベルが高いからね・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてお互い話すことがなくなり沈黙する
そろそろHRの時間なので
「そろそろ行ったほうがいいんじゃない?」
朝比奈は後ろの校舎の方を向き、時計を確認する
「そうだね 一緒に行こうか!」
笑顔で誘う朝比奈に彩音が重なり、一緒に歩いていきそうだったが
「いやちょっと用事があるから先行ってて」
「そう? じゃあ先行ってるね」
そういうと後者の方にかけていき、少し行ったところで立ち止まり振り返る
「学校で見かけたら声かけてね~ またお話しよ」
最後にこっちに手を振り、走っていった
朝比奈を見送り、再び芝生の上に寝っ転がる
「あかり~ 彩音にそっくりだったな マジでびっくりしたよ」
なにも知らない人が見たら光矢は太陽に向けてでもしゃべっているのでは、と思うかもしれないが
「そうだね あんなに似てるなんて いるんだねああいう人も」
光矢の頭の中に声が響く
光矢は手を胸の前に持ってきて、周りのマナを集めてあかりを具現化する
すると手のひらサイズの女の子が出現する
「でもやっぱり違うね まず目の色が違うし、雰囲気も少し違う」
「そこまで似てたら困るよ」
「そうだね・・・」
あかりは俺と彩音が見つけたマナで[オラクル]という種類だ
この名前は俺と彩音でつけた名前で小さい頃はあかりを具現化することができなかったので頭の中で会話しか出来なかった
だからアニメや漫画の中にでてくる神のお告げや神託のようでそれにちなんでオラクルと名付けた
彩音にも同じ現象はあったみたいだけど・・・・・
今は俺だけが世界でただ一人のオラクル使いだ
あかりはどの種類のマナに属しているのかはわからないどれにも属してないかもしれないけど
研究したらわかるんだろうけどまだ政府にはあかりの存在を伝えていない
体ん中いじくり回されるのは嫌だしな
「光矢 そろそろいかないと自己紹介もできない転校生になっちゃうよ」
あかりの声で我に返る
「そうだな そろそろいくか」
絶好の昼寝スポットを後にし、二年用の玄関へ走っていく
暖かい日差しが寒い体を温めてくれて、なかなかいい場所だったななんて昼寝していた芝生に感想を抱きながら教室を探す
2-2H
[最初が肝心よ 服しっかり正して]
あかりがいつのまにか母親のような感じになって注意してくる
ありがたい注意のとおりにし、しっかり服を整え、ドアを開けた
「遅れてすみません」
その声に反応して教室にいた生徒全員がこっちを向く
途中から入ってきたから中の状況がさっぱりだ。担任の先生の対応を待つか
「あ 霧島くん 初日から遅刻なんて・・・あなたは転校生なんだから早く来てくれないと進行に問題が生じるから早く来てって言ったじゃない もう」
担任の先生は自由奔放そうな若い女性の先生で前の日に早く来るようにメールをもらってたんだけど今の今まで忘れていた。確か名前は・・・天野・・・・天野先生だな 名前忘れた・・
「まあちょうど転校生の紹介中だったから本当のギリギリってとこね 次霧島くんだから教卓のとこきて自己紹介して」
先生の言い方だと俺のほかにも転校生がいるんだろうか?まあいいか今は自分のことに集中集中
総勢50人の2-2Hの生徒全員が光矢の方を向く、結構緊張するな
「霧島 光矢です これからよろしくお願いします」
頭を下げ、自己紹介はこれで終わりだとばかりに天野先生を見る
「はぁ 遅れてきてそれだけ? もっとないの?」
いったい何をいえばいいんだ?別に自慢するようなところはないし
「正直私が有能すぎてHRの時間余っちゃってるから埋め合わせして欲しいのよね」
それは有能なのか?それとさらっと生徒に本音言っていいもなのか?
「じゃあ マナの属性は?」
余った時間を光矢への自己紹介で本当に埋める気みたいでありがちな質問をしてくる
[あ わかってとおもうけど属性は光矢の中にある私以外のマナの種類のことだからね]
[しってるよ]
あかりがいらない補足をしてくる
「光です」
俺が答えると今まで沈黙していたクラスの生徒が少しずつざわざわし出す
「へぇ~珍しいわね 強いんじゃない?」
先生が言ったように光の属性を持つ人は少しだけど珍しいそれは光のマナだけほかのマナよりも優れているからだと専門家は言っている。まあでも努力で何とでもなるぐらいしか差はないんだけど
「じゃあ次 タイプは?」
[タイプというのは前衛 後衛か マナ使いは基本ツーマンセルなので前衛か後衛かで分けるのだ。マナの扱い方が大きく異なるのでこの二つのどちらかにだいたい分けられる]
[さっきからいちいち言わなくてもそんな基本中の基本わかるから]
「どっちでもいいです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その答えにクラス全体が唖然とする。ミスったオールマイティーなんていったらナルシみたいじゃん
天野先生もこの答えは予想していなかったようで
「これ・・から・・がたのしみね」
ひきつって苦笑いになっている。極度のナルシとでも思ってるのかそれともギャグと捉えたのか知らないが信じていないようだ。まあそうだろうオールマイティーなんてなってもあまり意味ないし、両方使えるようになるなら一個だけ特化したほうが評価は高いからだ
これ以上墓穴を掘るのは嫌だし、正直過去とか聞かれたくねえし
「もういいですか?」
先生は時計を見て
「これぐらいでいいか」
知られたくないとこまで聞かれなくてよかったぁ
「なら霧島くん席に座って、あそこの空いてる席よ」
教室の真ん中の中の真ん中って感じか
光矢が席に座ると
HRが終わったことを告げるチャイムがなる
今日は多分もうなんにもない
「じゃあHR終わるわよーー・・・・・あ 忘れてた 来週のはじめにランク試験があるからしっかりマナの使い方にでもなれとくことね 二年生なんだから成長した姿を見せなさいよね・・・以上」
[自己紹介のために来たようなもんだな]
[実際そうなってんだからそうなんじゃない]
[そんなにツンツンすんなよ まあ遅れちまったけどさ]
[まあいいわ 今日は正直事情があったし、でもこんどから遅刻なんてなしでいくわよ]
[なんでお前がはりきってんだよ]
[光矢は私がしっかりしてないとすぐ怠けるからね]
「あの~」
「ん?」
あかりとの会話に集中していて、誰かが近づいてるなんて知らなかった。
声のした方を振り向くと
「霧島くん 私たちとお話しない?」
女子に囲まれていた。七人ぐらいいるだろうか
「え っえ?」
いきなり囲まれたことに驚き動揺する。
「霧島くんってマナの使い方 うまいんだよねオールマイティー的なこといってたし、加奈マナの使い方苦手なんだぁ 教えて~~」
加奈という人がいうとほかの人も教えて教えてと迫ってくる
正直災高ではあまり目立たないように生きたいからマナの扱いが得意的なことはこれから言わないようにしよう
「本当はさ 俺マナの扱い超ヘタでさ、自己紹介であんなこと言ったのはどっちもできないって意味だから ごめんね」
できるだけ柔らかく断る方向に持っていく、なんで俺なんか話しかけてくるんだ?
[やっぱり光矢はモテるね でも光矢は好きになったらだめだよこんなの!]
[なんで若干あかりまでおこってんだ?]
「そうなんだ・・・じゃあ一緒にみんなで特訓しよ」
うんうんと女子がリーダーみたいな加奈さん?を中心に迫ってくる
今まで隣にずっと彩音がいたので女子に迫られるのは慣れていない。そんなこと知るかとばかりに女子は迫ってくる
それに耐えかね
「悪い」
顔の前で手を合わせ、謝るポーズをしたあと
自分の机に飛び乗りそのあと窓のまで跳躍、そして振り返り
「今日は無理だからごめんね」
そして飛び降りた
「っえ ここ八階だよ」
と後ろで誰かが言ってくれているがもう遅い
「この学校無駄に高すぎなんだよ」
そして着地の瞬間
【重力霧散】
魔法を使い降り立つ
「全然ヘタじゃないじゃない フィールド外で魔法を使うなんて・・・・」
[フィールドとは魔法が使いやすいように学校側が作成した場所のこという]
[その補足いったい誰にしてんだよ]
またやっちまった魔法なんてどこでも俺やってるからなぁ・・・ここの生徒にしたらF外での魔法なんてまだ習ってねえよな また注目浴びちまった
まあいいひとまず退却だ
こんなんで週明けからの学校大丈夫かよ
光矢は学校に対して一抹の不安を覚えながら帰路をいそぐのだった




