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10万部突破【書籍④巻&COMIC②巻発売中】五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  作者: あや


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竜王陛下の血を継ぐものたち



「叔父上。こんど、遊びに伺ってもいいですか?

 魔法の呪文で、教えて頂きたいことがあって…」


遠慮気味に、王太子殿下が問う。


「もちろん。でも私に教えられるようなことあるかな?

 私のはかなり我流だから……ルーファスは、マーロウ師から、

 最初はきちんと正統派の呪文を真面目に習わなくてはダメだよ?」


「でも、他の師の魔法は、叔父上の魔法みたいに優雅でもないし、楽しくもないんです。

 マーロウ先生が言ってました。ディアナで叔父上が一番、四大の原理を操るのがうまいって」


そうなんだ。

じゃあ、レティシアもフェリス様から魔法習いたいな。

お願いしたら、教えてくれるかな?


「マーロウのお世辞にも程がある。こんどいい果実酒でも差し入れなきゃね。

 ルーファス、うちのレティシアも、マーロウ先生に魔法習い始めたんだよ」


うちのレティシア。うちのレティシア。うちの……。


「叔母上も?」


あれ? 

王太子殿下から、おまえとかそなたとか呼ばれてた気がするのに、

フェリス様来たら、レティシアは叔母上に格上げされた……なんか身分上がった(!?)……。


「はい。初歩の初歩ですが」


レティシアは、初日の授業から倒れて、フェリス様をびっくりさせちゃったけど……。


「レティシア、顔が赤い。

 そのいちご水、いちご酒じゃないほうを頼んだんだけど、もしかしてアルコール入ってた? 

 ルーファスも平気?」


フェリスの指がレティシアの頬に触れる。


「……いえ」


「僕は何とも。アルコールは入ってないと……」


「あの。あの」


うちのレティシアになんだか嬉しくなったのです、と言うべきか……。


「レティシア、疲れた? さっき僕が気苦労かけたから……」


フェリスがレティシアを気にしている。


うう。

フェリス様、なんというか天然でいい人なんだよね……。

このお貌で、天然て言うのも、始末に負えない気がするけれども……。


「ち、ちがいます! 疲れてないです!  あの、うちのって……」


「うちの?」


「うちの?」


金髪のフェリス王弟殿下と銀髪のルーファス王太子、竜王家一族が不思議がっている。


「うちのレティシアが、……なんだか」


顔から火が出そうと思いながら、レティシアがやっと訴える。


「……え? でも、レティシア、うちの子だよね?」


「叔父上の花嫁だから、叔父上の家の方で、さらにいうと我が家の方ですよね?」


ルーファス的に言うと、フェリスのところのレティシアであり、

もっと言うと、レティシアはディアナ王家の人となるので、ルーファスのファミリーにもなる。


間違えていない。


レーヴェが、レティシアの全く知らないところで、「我が家系にお嫁に来たレティシアは、もう、

うちの子だから、オレの管轄」という程度には間違えていない(!?)。


「……はい。でもまだ慣れてなくて」


「そうなの? 具合が悪くないなら、よかった。……うちのレティシア、ダメ? まだ早い?」


「いえ。そんなことはないです……」


ぱああああと、赤くなっているレティシアを、よしよしとフェリスが撫でてくれる。

甥っ子の王太子もいるせいか、フェリスがとてもちゃんとしている。

先刻、心が死んじゃうんじゃないかと、レティシアが心配したフェリスと想えない位に、

優しい美貌の王弟殿下として立派に復元していた……。


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