表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10万部突破【書籍④巻&COMIC②巻発売中】五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  作者: あや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/812

あなたを守るちいさな白いゆびさき


「それは何より、どんな美姫にも心を動かさぬと言われた我らが王弟殿下の心を、

 こんな可愛らしいまだミルクの匂いがしそうな姫が動かそうとはの」


ミルクの匂いは、しないと思うのよ。

だってそこまで、ミルク好きじゃないもん。

紅茶とかいちごとかのほうが、まだ匂うかも。


ああ、なんだか、

せっかく綺麗に梳いてもらった金髪が毛羽立ってきそう。


ここ、乾燥してるのかな……、空気が薄いかんじ。


「それはそうと、レティシア姫はまだまだ幼い。二人はしばらく白い結婚となろう。

フェリスよ、レティシア姫のお眼鏡に適う側妃を選んでもらってはどうだ?

こういうことは、正妃の気に入る者を選んだほうがうまくいくゆえな」


そくひ?

え?

え?

ええええええええー!?

何を言ってるの、このお義母さま!!


もちろん、我が推しフェリス様が、いつの日か運命の恋に落ちられたら、

レティシアとて身を引く心の準備はあるものの、

そんなメロンでも選ぶみたいに、レティシアにフェリス様の愛人を選べって……

それはフェリス様と運命のお相手の心が選ぶことで、このお義母様の決めることじゃないでしょ!


だいたい、本日、結婚の最初の挨拶に来てるのに、

王太后からお茶に呼び出しといて、何なのその最悪な嫌がらせ!


いくらレティシアでも、ここに、ちゃぶ台があったら、ひっくり返したいー!!

(このサイズのレティシアにひっくり返せるの、せいぜいサイドテーブルだけど!)


フェリス様とレティシアと側妃(未定)の人権はどうなってるんだ!


「義母上」


王太后からの側妃を選んではどうか発言に、

御茶会のゲストたちのざわめきも最高潮だが(一部きゃあと色めき立ってる令嬢方までいる……)、

フェリスの声が地の底までも冷えていく。


「何ぞ、フェリス? そなたの母君ほどの美姫はおらぬが、

 ディアナの美しき御令嬢たちがここにはおるぞ?」


何もこんな時に、フェリス様のお母様まで引き合いに出さなくても……!!


(………あ、だめ……、なんか……だめ)


フェリス様の心が、遠く行ってしまう……、

レティシアから遠のくんじゃなくて、

なんというか、……ダメ……ダメなかんじがする……。


レティシアが、両親を失って、もう何もかもどうなってもどうでもいい、

と思ったときの虚無感のようなものが、隣にいるフェリスから伝わってくる。


無作法だとは思ったけれど、レティシアはフェリスの上着のレースの袖をそっと掴む。


ふと、フェリスと眼があった。

碧い碧い、凍てついた、冬の海のような瞳。

さっきまで、春の空みたいな、透き通った碧だったのに!


「いや!」


な、何か言わないと。

フェリス様の心が凍ってしまう。


慌てたあまり、いや! だけ言ってしまった。

王太后も、なんだこの小娘は? と言いたげに見下ろしている。


レティシアの人権はこの際もうどうでもいいけど

(そもそもお義母様的にもともとレティシアに人権はなさそう)、

早く、こ、このお義母様の毒気を祓いのけないと……、フェリス様の心が死んじゃう。


「私は、いやです! 側妃など選びません!フェリス様の心はフェリス様のものです!」


ああ。ここは正妃的に、私のものです!

と言うところかも知れないが、いま一番思ってることが、口から出てしまった。


やめて、お願い。

フェリス様の心を壊さないで。


震えるちいさな指先で、フェリス様の小指を繋ぐ。

大切な人の心が、何処か遠くへ、行ってしまわない様に。


「好き」「趣味似てるかも」「面白いかも」「続き気になる」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ