庭園
「おいで。庭でお茶にしよう。宮殿内は息が詰まるだろう?」
お庭でお茶。
嬉しいなあ。
春の花の咲き乱れるディアナ宮殿の広大な庭園を
大きな窓から、一人、こそっと、背伸びして眺めながら、
ああ、和みそう、お散歩したい…。
いやいやダメダメ、婿殿と顔合わせ…。
ここでお互いに気が合うか合わないか、
王弟殿下に気に入られるか気に入られないかに、
わりとレティシアのこれからの人生がかかってる、
と追い詰められた気持ちでいた。
年も違いすぎることだし、偏屈な人だそうだし、
ばっちり気が合うとはいかなくても、
そこそこ友好的に向かい合えたらなーと思っていた。
これから生涯を誓う相手に会うというのに、
恋に落ちることなんて、全く想像してなくて。
ただただ、物凄く嫌な人じゃなければいいな…、と思ってた。
「お手を? レティシア」
ディアナに来るまで、
怯えたレティシアが見たさまざまな悪夢を覆す、
なんとも優美な婿君。
「は。…恐れ入ります」
「何それー。なんでそんなに恐縮してるの。新人の武官じゃないんだから」
この国に来て初めてかけられた優しい、気の置けない声。
甘い声で話す人だ。
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