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10万部突破【書籍④巻&COMIC②巻発売中】五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  作者: あや


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御茶会のお誘いについて



「飛翔する美しい竜の姿を、昔の人々は当たり前に見られたらしいが、人の世界からドラゴンが距離をおいて久しい。いい夢を見たね、レティシア」


「はいっ」


やっぱり嬉しい。

フェリス様も、気味の悪い夢とか言わない。


幸せ……!

居心地よくて、ごはんも美味しい……!

レティシアは、このおうちに、お嫁に来てよかった……!

(めちゃくちゃ現金である)


「フェリス様。夢占い師を呼んで、占わせてはどうでしょう?」


「どうかな? ちゃんとした能力のある者が見つかるのかな?」


「占いの内容よりも、シュヴァリエ家の婚姻の吉兆の夢として、佳き宣伝となりましょう」


意外と現実的なことを言ってるサキ。


「竜の歓迎があると、レティシア様がディアナの民に受け入れられやすくなります」


「それはそうだね。みんなレーヴェの御心に弱いから」


「わ、わたしの他愛ない夢ですので、それは大袈裟です」


「そんなことないよ。竜王陛下がレティシアを気に入ってるのは本当のことだからね」


やけに確信を持って保障して下さるフェリス様。

何故ですか。

御顔が同じだと、心も通じるんでしょうか(いや、そんなはずは……)。


「……フェリス様。御歓談中のところ、申し訳ありません」


「何だい?」


あまり浮かない顔のレイが入ってきて、膝をついて、フェリス様に耳打ちする。


「………気軽においで頂きたいと……」


「今日のことを今日というのは、王族のやることではないと思うんだが……」


さっきまで明るかったフェリス様の表情が曇る。


「レティシア」


「はい」


「うちの義母上が、レティシアに、本日午後ごく私的な御茶会においでにならないか、

 と言ってるそうなんだが……」


「御茶会ですか? 今日?」


それは、なかなか……。

王太后様の正式な御招きの御茶会とあれば、何日も前からの招待となるだろう。

今日の今日では、レティシアも、何の支度も……。


「断ってかまわないよ。いつもの義母の気紛れだ。

 もう少し後に、ちゃんとした日程の食事会も予定されてるし…」


「王太后様は、国王陛下から、フェリス様がレティシア様を大変気に入られたと聞いて、

ぜひ会ってみたいと仰せとのこと……」


「もちろんお受けします。王太后様に、お誘い嬉しいです、とお返事してください」


微妙な顔のレイにお返事をしたら、安心した顔をしてた。


それは、行くでしょ。

初のお姑様のお呼び。

私どころか、フェリス様本人の時点で不仲のお姑様だけど。

それでもフェリス様のお義母様。ディアナの国母様。


日本みたいに、おうちが狭かったら、

ここへ来た日に、難しそうなお姑様にもご挨拶だと思うんだけど、

邸宅がわかれてらっしゃるので、お約束してないと、すれ違うこともないという……。

噂の王太后様、どんな方なのかなあ……?


「フェリス様」


「だいじょうぶ? レティシア」


「お義母様が何かお嫌いな仕草などあれば、教えて下さい」


真面目な顔で尋ねてみる。礼儀にうるさい方と聞いたはず。


「大丈夫だよ。レティシアは可愛く微笑ってたら、文句など言われない。

 何といっても、レティシアとの婚姻を一番奨めたのは義母上なんだから」


奨めた理由が善意でないとしても、確かに、これは王太后様の肝入りの婚姻なのだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 婚姻を勧めてくれてありがとう、この国に来れてうれしいと言われたら、嫌みも何も言いづらい(笑)
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